第50回全日本大学駅伝予想。
3大学生駅伝(出雲駅伝、全日本学生駅伝、箱根駅伝)のひとつ、全日本大学駅伝が11月4日(日)、スタートする。駅伝シーズンの開幕戦となった出雲駅伝は、青学大が1区から東洋大を終始リードし、他大学を圧倒。2年ぶりの優勝を果たし、今シーズン3冠達成に大きな一歩を踏み出した。全日本大学駅伝は、全区間の距離が短い高速駅伝の出雲とは異なり、長短織り交ぜた区間が特徴の駅伝だ。
50回の節目を迎えた記念大会では各区間距離の変更がある。とりわけ目立つのが7区である。従来は11.9キロだったが、17.6キロに変更になった。アンカーの19.7キロと合わせて、長距離区間が2つになったのである。ラスト2区間にドラマが起きそうな気配だ。
優勝候補は、出雲を制して勢いに乗る青学大だ。
優勝した出雲メンバーにプラス、箱根駅伝で7区区間新を出した林奎介(4年)、6区のスペシャリストの小野田勇次(4年)が順当にメンバー入りしている。また、駅伝デビューを果たしていないが実力のある吉田裕也(3年)もメンバーに入った。エースの森田稀歩(4年)、鈴木塁人(3年)も好調を維持しており、層の厚さは大学随一で、スピード、長距離に強い選手が揃っている。原監督もオーダーに悩みそうなほど、充実したメンバーで今のところ死角は見当たらない。スピードに定評のある橋詰大彗(4年)からスタートし、アンカーはエースの森田で締めるだろう。
対抗馬は、東洋大、東海大、駒沢大になるだろう。
東洋大は、出雲駅伝では昨年箱根往路区間優勝の力を見せた6区の吉川洋次(2年)が、アンカー勝負で青学大の竹石尚人(3年)に一時は5秒差まで迫ったが、あと1歩及ばず惜しくも2位に終わった。5区の今西駿介(3年)、6区の吉川は区間賞を取る素晴らしい走りを見せたが、ベストメンバーを配して勝てなかったのは、チームにとっては少なからずショックがあった。今回、そのショックを払拭できるか。メンバーは相澤晃(3年)、西山和弥(2年)、山本修二(4年)、小笹椋(4年)、今西、吉川ら出雲組に加え、期待されるのは1万m、29分17秒のタイムを持つ1年の鈴木宗孝。主力が本来の力を発揮することに加え、鈴木ら中間層の選手たちが奮起すれば勝機は十分にある。
東海大は、出雲駅伝では青学大の影すら踏めなかった。現在もエースの關颯人(3年)、鬼塚翔太(3年)がまだ本調子ではなく、昨年快走した三上嵩斗(4年)もおらず、苦しいオーダーになりそうだ。唯一、西田壮志(2年)がチーム入りしたのは大きい。3月の学生ハーフでは3位に入賞し、直前の日体大記録会では28分台を出し、今年の成長株だ。山中心で強化を続けてきたが、長距離も苦にしない。今シーズン好調の館澤亨次(3年)とともに、どの区間で起用されるか。東海大も出雲駅伝で5区3位と健闘した郡司陽大(3年)ら中間層の選手の走りが順位に大きく影響するだろう。
駒沢大は、今年の箱根駅伝予選会で断トツの1位通過で、好調を維持している。予選会30位内に入った片西景(4年)、伊勢翔吾(4年)、山下一貴(3年)、中村大聖(3年)、加藤淳(2年)、伊東颯汰(2年)、中村大成(3年)、下史典(4年)、堀合大輔(4年)、神戸駿介(2年)が順当にメンバー入りしている。ただ、距離重視で強化を務めてきた結果、スピードにやや難がある。前半区間で離されてしまうと苦しくなるので、いかに前半に上位チームに喰らいついていけるか。4区までトップについていく我慢のレースができれば後半、チャンスが出てくる。
レースの見どころは、2つ。前半の1区~3区と7~8区のロング区間だ。
出雲駅伝は全体が短い距離なので、青学大、東洋大ともに3区までにエースを揃え、「前半勝負」のオーダーになった。今レースは、7区の距離が伸びたこともあり、1区~3区の前半はトップを狙い、中間区間で維持、7区~8区のロングで勝負を決める配置になるのではないか。アンカーが勝負どころになる可能性が高いが、かといって最初に出遅れるわけにはいかないので、最初の3区間は非常に重要だ。そのために1区はかなり重要になり、流れをつくる2区、3区も力のある準エース級の選手が配されるだろう。
7区、8区はエースが並ぶはずだ。昨年のレースは、アンカーで神奈川大の鈴木健吾が東海大の川端千都を抜いて逆転優勝をした。アンカーに絶対的なエースがいるチームは、強い。それ以前の区間で選手が安心して走ることができるからだ。そういう意味ではエースがいる青学大と東洋大は、今レースの本命になる。その2強を東海大と駒沢大が追うが、果たしてジャイアントキリングを実現するチームが出てくるのか。
50回目の記念レースとなる全日本大学駅伝は、距離変更で波乱の展開になりそうな気配だ。
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