2020全日本大学駅伝予想。
学生3大駅伝のひとつである全日本大学駅伝が11月1日、スタートする。
今年は、コロナ禍の影響により、出雲駅伝が中止になった。全日本大学駅伝の開催も一時期、危ぶまれたが、感染予防対策として無観客などの手を講じてスタートできるようになった。
例年であれば、トラックシーズンでのレース結果を見つつ、夏合宿、さらに出雲駅伝など結果を踏まえて、各大学の戦力を分析し、区間配置を含めてレースの行方を考えるのだが、今年は結果としてあるのは全カレと記録会の結果のみ。中には、出場していない主力選手もおり、なかなかチームの全体像がうかがい知れない状態にある。
そんな中、最初の男子学生駅伝が開催されるわけだが、焦点は東海大が2連覇を達成できるのか、どこが東海大の連覇を阻むのか、になる。
東海大は、黄金世代が卒業し、戦力がダウンしている。館澤享次、鬼塚翔太、阪口竜平、関颯人、小松陽平、郡司陽大、西川雄一郎、松尾淳之介らチームの主力選手がごっそりといなくなったわけで、チームの力が変わるのは致し方ない。それが学生スポーツの宿命でもある。ただ、昨年の全日本大学駅伝を見てみると、黄金世代で走ったのは小松ら4名だった。
1区:小松陽平(4年)
2区:西川雄一郎(4年)
3区:塩澤稀夕(3年)
4区:西田壮志(3年)
5区:市村朋樹(2年)
6区:郡司陽大(4年)
7区:松尾淳之介(4年)
8区:名取燎太(3年)
黄金世代の主力である舘澤享次、鬼塚翔太、阪口竜平、関颯人らは出場しておらず、塩澤、西田、名取の3年生の黄金トリオが踏ん張り、また郡司が区間賞を取る走りを見せて、最終的に優勝を勝ち取った。
今年は、この3人に加え、市村がエントリーされている。松崎咲人(2年)が不在なのは、チームにとっては痛いが、その分、好調の1年生が6名もエントリーメンバーに名を連ねた。黄金世代なき後、中間層の成長が必須だっただけに、彼らのエントリーは力が伸びてきている証拠であり、今年の箱根駅伝、そして来年以降も見据えてのものだと考えられる。
では、今年の区間配置は、どうなるのだろうか。
コースは、2区(11.1キロ)、3区(11.9キロ)、7区(17.6キロ)、8区(19.7キロ)が主要区間になる。1区は、先頭に遅れなければいいので、スピードに優れた1区特性のある選手が起用されるだろう。例年だと鬼塚がまさに1区走者の典型だったが、今年は誰がその役を担うのか。2区、3区には塩澤、市村が入る可能性が高い。塩澤は昨年3区で3位と快走しているが、両角速監督は果たして同じ区間で走らせるかどうか。
4区、5区、6区は、駅伝デビューを飾る選手が走ることになるだろう。主要区間を塩澤、西田、名取、市村が走ることになると、それ以外はエントリー選手の誰が出ても駅伝初レースになるのだ。東海大としては、この区間が大きなポイントになる。
中間層といわれる選手たちが、他大学のエースクラスの選手とどのくらい戦えるか。中間層が成長している強さを見せることができれば、7区8区を走るだろうと思われる名取らにつないで後半勝負に持ち込むことができる。東海大としては、なんとか中間区間で踏ん張って後半区間勝負に持ち込みたいところだろう。そういう流れを作ることができれば2連覇は見えてくる。
東海大の2連覇阻止の一番手は、青学大だ。
昨年は、8区で飯田貴之が東海大の名取に抜かれ、優勝を逃した。今年は、4年、3年、2年にエース格の選手がおり、昨年よりも選手層が分厚くなっている。昨年、各駅伝で活躍した岸本大紀(2年)は、コンディション調整で間に合わなかったが、それでもエントリーメンバー全員の実力は、出場校では間違いなくトップだろう。前半区間で主導権を握り、後半の7区、8区には吉田圭太、神林勇太のダブルエースを置き、しっかりと逃げ切る。今年の青学大は隙がなく、東海大にとっては一番警戒すべきチームになる。
青学大以外で東海大を倒す可能性のあるチームは、駒澤大、明治大、順天堂大だろう。
特に明治大は、各学年ともに非常に調子が良く、4年生から2年生まで記録会などで自己ベストを更新し続けている。そういう時のチームには勢いがあるし、それだけ選手に力がついている証拠でもある。東海大や青学大がもたついていると、その隙を明治が突いて主役に躍り出たとしても何ら不思議はない。
順天堂大は、箱根予選会をトップ通過し、そのレースで日本人トップ(61分41秒)になった三浦龍司(1年)という大物ルーキーを擁する。予選会では10人全員がハーフを62分以内で走り切り、そのメンバーが今回、全員エントリーされている。区間配置がうまくハマれば優勝争いに割って入る可能性は十分にある。
コロナ禍の影響で無観客での開催となり、沿道の声も少なく、選手にとっては違和感しかない中での駅伝になる。例年と異なる状況の中では、そのチームが持っている底力が重要になる。トラックシーズンが消えた中、各チーム、どれだけ見えない努力の紙を重ねてきたか。
それを証明する駅伝になるだろう。