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COLUMN

第53回全日本大学駅伝予想。

2021.11.01
Shun Sato

秩父宮賜杯 全日本大学駅伝対校選手権大会公式サイトより

学生3大駅伝の2戦目となる全日本大学駅伝が7日、スタートする。
出雲駅伝では、優勝候補の駒澤大学が5位に終わる中、東京国際大が圧倒的な強さを見せて初優勝を果たした。アンカーを務めたイェゴン・ヴィンセント(3年)を始め、1区から5人の選手がレースをまとめ、各大学に「東京国際大強し」の印象を与えた。

全日本大学駅伝は、出雲よりも2区間増えて、全8区間、距離も106.8キロと倍になる。前半のスピード区間と後半7区(17.6キロ)、8区(19.7キロ)のロング区間があり、出雲同様に当日朝のメンバー変更が可能だ。それゆえ、全日本は箱根駅伝を想定してのキャスティングになる。スタートは絶対に出遅れないようにスピード重視の選手を置き、ロング区間はいかに強い選手を置けるか。ラストにふさわしい大砲がいるかが全日本を獲るためには欠かせない要素になる。

実際、昨年は、駒澤大の田澤簾(3年)が東海大の名取燎太(現コニカミノルタ)とのラスト勝負で突き放して優勝しており、2年前は東海大の名取が青学大の飯田貴之(4年)をアンカー勝負で勝って、優勝している。ここ2大会の結果を見てもわかるように、アンカーに大砲を置けるチームはレースを有利な展開に持っていけている。そういう意味では、アンカーから逆算していくと、優勝争いが見えてきそうだ。

東京国際大には、ヴィンセントがいる。

この安心感たるや絶大だ。多少前の区間でブレーキになっても取り返せるので、選手は安心して走ることができる。こうした余裕は駅伝には非常に重要だ。もちろんラストにかかるプレッシャーは大きいが、出雲でのヴィンセントを見ていると競り合いがないのが少々物足りないみたいなところもあったので、むしろラストでの勝負は望むところだろう。ヴィンセント以外にも出雲優勝を決定づけた丹所健(3年)がいる。おそらく出雲優勝組のメンバーに2名を加えてくることになるだろうが、その出走者が出雲並みに足並みをそろえて走れるかが優勝のキーポイントになるだろう。

東京国際大を上回る戦力を保持しているのは、駒澤大だ。

アンカーには、昨年の優勝の立役者のひとりである田澤がいる。また3本柱でエース格の鈴木芽吹(2年)が今回、エントリーされ、唐澤拓海(2年)とともに役者がそろった。大八木弘明監督は出雲のメンバーから変更を示唆しており、箱根を見据えて大胆なオーダーを組んでくるかもしれない。出雲駅伝後の練習で好走した佃康平(4年)、山野力(3年)ら上級生がオーダーに入りそうだが、やはりメインは2年生だろう。出雲でまずまずの走りを見せた花尾恭輔(2年)を始め、昨年箱根1区の白鳥哲汰(2年)、鈴木、唐澤らが力を発揮し、最後の田澤にどのくらい余裕を持って襷を渡すことができるか。出雲のように東京国際大に差をつけられた展開になると、駒沢に勝ち目はないが、田澤が1分程度離して戦えればいい勝負になる。駒澤大は、連覇がかかっており、箱根に向けて負けられない大会ゆえに、全力で獲りにくるだろう。

出雲駅伝2位の青学大は、近藤幸太郎(3年)、横田俊吾(3年)が好調だ。大砲とまではいかないが、ふたりともに区間賞を獲れる力を持っている。昨年大会、3区で好走した中村唯翔(3年)、5区区間賞を取った佐藤一世(2年)ら経験者もおり、オーダー的には駒大に十分対抗できるが、やはりアンカーに不安が残る。青学大が勝つならば先手必勝で、前半から中盤までにトップに立ち、どのくらい後続と差を広げることができるか。競り合う展開になると、勝利は厳しい。

この3チームに絡んできそうなのが早稲田大だろう。

早稲田は4年生と1年生が強力だ。特に、1年生の仕上がりの良さが目立つ。出雲では石塚陽士(1年)が4区区間賞、伊藤大志(1年)は5区12位だったが、堂々とした走りを見せた。中谷雄飛(4年)、太田直希(4年)のダブルエースも健在で、出雲で出走しなかったキャプテンの千明龍之佑(4年)が全日本は走るだろう。出雲のメンバーに千明ともうひとり誰が絡んでくるのか。メンバー的には、優勝を争える布陣だが、青学大と同じく序盤でいい流れを作っておきたい。

他大学では出雲で石田洸介(1年)が好走して順位を上げ、今回、主将の宮下隼人(4年)が戻ってきた東洋大、出雲のアンカー区間で好走した平林清澄(1年)を擁する国学大もシード権の8位内を狙える戦力を整えている。おもしろそうなのは、順天堂大だ。出雲では、三浦龍司(2年)を温存し、エースの野村優作(3年)がブレーキになったが、ポテンシャルの高い選手が多く、ハマれば上位に顔を出してくるだろう。他にも箱根予選会で余裕のトップ通過を果たした明大、さらに2位通過の中央大も予選会よりも全日本に向けて調整してきており、シード権の獲得を目指す。

厳しい戦いを強いられそうなのが、東海大だ。

一昨年は優勝し、昨年はアンカーで田澤に敗れ、準優勝だった。例年であれば優勝候補の一つに挙げられるが、今回はエースの石原翔太郎(2年)が故障で離脱中。中間層も伸びてきておらず、出雲は9位という成績に終わった。今回も厳しい戦いが予想されるが、どこまで上位に喰らい付き、意地を見せられるか。

箱根駅伝の前哨戦となる全日本大学駅伝、それゆえに箱根に向けていろんなトライができる最後のチャンスになる。それだけにレースそのものにも注目だが、変則的なオーダーやアッと驚く区間配置が見られるかもしれない。

Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著者の「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
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