連載第33回「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~
第33回 さーたん(市民ランナー) 陸上未経験、初フル、サブ3達成。-Breaking 3’00”-
初マラソンでサブ3!? と聞いただけで驚いた人も少なくないと思いますが、さらに、ラン歴はたったの10ヶ月という女性ランナーのさーたん。それは才能なのか、努力なのか? 彼女の目標の立て方や考え方を参考にしてみてはいかがだろうか。
さーたん
職業:ブロガー
ラン歴:10ヶ月
フルPB:2時間58分02秒 (2021年12月29日 beyond2021)
3months Challenge—breaking 3’00”
Start(走り始めたキッカケ)
以前、減量目的のためにジョギングをしていたのですが、走ることはそれほど楽しいとは思っていませんでした。昨年の春くらいに友人の朋(尾藤朋美)ちゃんに「走ろうよ!」って誘われたんです。朝、走って、いろんなところで写真を撮って、ご飯を食べてというのがすごく楽しくて、そこから走ることが楽しいなと思えるようになりました。その後、「スポティーナJAPAN」という番組に出ていた時、心肺機能を高めたくてクロスフィットをしていたのです。でも、事情で毎日いけなくなって、「誰か私を追い込んでください。」ってインスタに上げました。そうしたら知り合いの方から「インターバルトレーニングやろうよ。」と声をかけていただいて。すごくキツかったのですが楽しかったですね。それから何度かランニングの練習会に誘っていただいていく中で白方健一コーチと出会って、練習メニューを作っていただき、6月から本格的にマラソンの練習を始めました。
Target(ターゲット)
マラソンは、どのくらいの時間で走れるとすごいのかわからなかったのですが、最初は3時間30分が目標タイムでした。「初フルでサブ3.5はすごい!」と周囲の方に言われたのですが、そのすごさが今ひとつピンとこなくて・・・。でも、サハラ砂漠250㎞マラソンを走った朋ちゃんに「イケる!」と言われたので、「はい!」と取り組むことにしたのです。でも、YouTubeで「フルマラソンに挑戦します。」というのを上げた時は、3時間15分に変更しました。一緒に走っていた友人が3時間30分を目標したのですが、私は彼女より走れていたので「同じタイム?」ということで目標を上げたのです。さらに、秋にはサブ3に変更しました(笑)。目標が高いほど、自分を追い込んで頑張れますし、初フルでサブ3は一度しか挑戦できないじゃないですか。その目標でグンとモチベーションが上がりましたね(笑)。
Marathon(マラソン)
まだ1本しか走っていないので、何とも言えないのですが、最初のレースは単純に楽しかったです。よく30‐35キロ付近でキツくなると言われるので、「どうなるのかな?」、「いつ来るんだろ?」と思っていたら全然来ない、みたいな(笑)。35キロでラスト1周(1周5キロコース)になった時は、もう終わるのかと思うと、ちょっと寂しくなりましたね。ゴールして走り終えた後の達成感、目標をクリアできた喜びは本当に大きかったですし、特別でした。それがマラソンの面白さなのかなって思います。
Training Menu(トレーニングメニュー)
★3months(3ヶ月前)/Training Menu Point
(1)half(ハーフマラソンチャレンジ)
3ヶ月前で印象に残っている練習は、ハーフマラソンチャレンジです。9月に情熱ハーフを走って88分台を出せたので、それ以上か同じくらいのタイムで走れないわけがないと思っていました。でも、実際は15キロぐらいでリタイヤしてしまって・・・。終わってからも練習をクリアできなかったことにモヤモヤしていて、夜、友人に頼んで一緒に走ってもらい、再チャレンジしました。めちゃくちゃしんどかったのですが、キロ4分15秒の設定ペースをクリアできました。練習を終えて、自宅に戻ってきたのが深夜1時ごろでさすがに疲れましたが、性格的に自分のなかにモヤモヤしたものを残しておけないので、気持ち的にはスッキリしました。
(2)5000mTT(タイムトライアル)
白方健一コーチ曰く(以下、白方コーチ)、5000mTTは、目標は20分切りと伝えたのですが、19分切りの勢いで突っ込んでいったのです。でも、そのまま押し切って18分59秒だったので、かなり手応えはありましたね。この5000mTTとハーフマラソンチャレンジのふたつをやり切ったことで、サブ3が見えてきた感じだったので、あとは足を42キロ持たせればいいかなって思っていました。
★2month (2ヶ月前)/Training Menu Point
(1)hill running(激坂王)
激坂王のレースは、最初、朋ちゃんが参加すると言っていて、「招待選手として呼んでもらえるから一緒にどう?」と誘われたので行きました。峠走は何回かしていたのですが、大会まではいいかな、という感じだったのですが、レースは楽しく上って、下ればいいかなっていうノリで参加したのです。でも、「よーいドン!」を聞いたら本気になっちゃって(笑)。女子の部で優勝できて、びっくりでしたけど、坂をしっかり走れたことで足への自信がつきました。
白方コーチ曰く、激坂王は、峠走の練習のひとつとして送り出したので、優勝したのは本当に驚きでした。坂でこれだけ走れたので足作りとしては十分でしたし、もともとスピードもあるので、この段階でサブ3はできるなという感覚でしたね。ここからは故障に気を付けて、走りの精度を上げていくことに務めました。もうめちゃ早く走る必要はなく、4分から4分10秒で15キロをラクにこなしていければ、サブ3ペースの4分15秒はかなりラクに感じると思うので、ジョグ感覚で走れるように調整していくだけでした。
★1month (1ヶ月前)/Training Menu Point
(1)half(マラソンフェスティバル)
9月に情熱ハーフを88分で走れた時はすごく自信になったのですが、この12月1日のマラソンンフェスティバルもそうでした。最初は、自己ベスト更新くらいを想定していたのですが、コーチに「85分(大阪国際女子マラソン参加標準記録)を切るとエリートしか走れない大阪国際女子マラソンに出られるよ。」と言われたのです。それを聞いた瞬間、がんばって85分を切ろうと思いました。キロ4分ペースだったのですが、このペースでハーフを走ったことはなかったので、まずは行けるところまで行こう、とけっこう突っ込んでいきました(苦笑)。でも、もうめちゃキツくて、85分を切れなかったのですが、サブ3クリアに対しての自信はつきました。
白方コーチ曰く、ハーフでこのスピードで走れていればサブ3は問題ないですし、その先(サブエガ)を見据えてのレースでしたが、結果としては十分でしたね。この後に40キロ走をいれていますが、これはペースを遅くして、本番のレースをジョグ感覚でサブ3を達成するためのロング走です。レース前の2週間は、詰めすぎず、でも落とさずという感じで調整段階に入っていきましたが、ほぼパーフェクトな状態でレースに臨めたと思います。
Another Point -1
Q.「今後の目標は?」
A.まずは、名古屋ウイメンズ(3月13日)でサブエガを達成したいなと思っています。そこで来年の大阪国際女子マラソンの参加標準記録(3時間07分)を切りたいですね。サブ3を達成した後、そのままの流れで名古屋ウイメンズにいけるとよかったのですが、故障や体調不良で1ヶ月以上、トレーニングができませんでした。今はめちゃキツいですけど合宿並みの練習をこなして取り戻している感じです。しんどくても練習を続けられるのは、私自身が超絶負けず嫌いで、途中でやめると気持ち的にモヤモヤしてしまうのがイヤだからです。ひとつの練習が終わった後の達成感が次へのやる気に繋がるので、今まで通りこれからも与えられた練習は全部こなしていきたいですね。そうして自分がどこまで行けるのか、楽しみですし、イケるところまでいきたいです。マラソンを続けていって「最強の市民ランナー」になりたいですね(笑)。
2021年12月29日 beyond 2021 2時間58分02秒。
0km -10km 42分17秒
10km-20km 42分07秒
20km-30km 42分05秒
30km-40km 42分13秒
40km-FINISH 09分20秒
スタート前は、特に緊張はしなかったです。半年間、厳しい練習をほぼ全部こなせて、サブ3はイケるという自信がありましたし、ペーサーもいたのでむしろ楽しみでした。スタートしてからは、すぐにペーサーのうしろについて、ほぼ動かないようにしていました。1周5キロの周回コースなので、みんなが応援してくれるところに行くのを楽しみにして、走っていましたね。30キロくらいまでは、ジョグ感覚で走れて、まったく疲れもなかったです。給水も基本的に水で、ゼリーも一つだけ携帯していましたが、摂らなかったです。普段からお腹がすいた状態で走っているので、かなり省エネの体になっていたのだと思います。ラスト7キロの時にペーサーの方が「引っ張ってほしい人は引っ張りますよ。」と声掛けしてくれたので前に出て行こうかなって思ったのですが、誰も行かないので私も躊躇して行かなかったのです。残り4キロになって、そろそろ上げていこうと思って前に出たのですが、そこから1、2キロが暴風でまったく前に進まなくて(苦笑)。そうしたらうしろから来た一緒に走っていたグループに回収されて、めちゃ恥ずかしかったですね。ゴール前、ラストスパートをかけた時は、これまで半年間の練習が思い浮かんできました。ゴールした時は、足が折れたんじゃないかって感じで崩れて落ちて・・・、そのままめちゃ泣いていました。今までで一番練習したし、コツコツと頑張ってきたので、本当に人生で一番うれしかったです。
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