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COLUMN

連載第31回「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~

2022.02.10
Shun Sato

第31回 白方健一(プロランニングコーチ) 何のための練習か、理解度を深めて質を高める。-Breaking 3’30”-

今回はプロのランニングコーチである白方さんが、サブ3.5を達成するための、実際のメニューとその内容の達成度を踏まえて解説してくれた。目標達成に向けて、自分の練習メニューと比較してみてはいかがだろうか。

白方健一
職業:プロランニングコーチ(Top Gear代表)
年齢:40代
ラン歴:28年

3months Challenge—breaking 3’30”

この練習メニューは、実際に昨年のレースでサブ3.5を達成した人のものです。しっかりと結果が出ているので、参考になればと思っています。サブ3.5を目指すにあたっては、5000mを22分(4’25/km)、ハーフで100分(4‘44/km)ぐらいのタイムが必要になってきます。この目標値をまず達成できるように、スピードアプローチを先に入れていた方がいいですね。そこに達していない場合は、スピードの基礎工事から始めます。まずは草レースなどに出て、自分の基準を知ることですね。サブ3.5はキロ5分弱のペースなので、4分30秒が余裕を持って走れるようになるのが理想です。最初は長く走るのは難しくても2キロ、5キロ、10キロと距離を伸ばしていって、最終的に20キロを4分30秒くらいで走れる足を、レースの1ヶ月前に作っておくと目標達成がクリアに見えてきます。目標がサブ3.5でもその先(サブ3)を狙い、スピードがあってフォーム改善など準備期間が取れる場合は、5000m21分(4’12/km)、ハーフ95分(4’30/km)をマイルストンとして目指してもらっています。

Training Menu(トレーニングメニュー)

★3months(3ヶ月前)/Training Menu Point



この方の場合は、単発のスピードが十分に達していたので、どちらかというとレースに近い練習、ロング(30キロ、42キロ)ですとか、ミドルを入れています。その際、チェックするのがフォームです。この方もそうですが、後半になってくると猫背になったり、極端に腰が落ちたりするランナーが多いのです。それを確認した後、今度はフォームが崩れない範囲で距離を伸ばしていきます。そうしてできるだけフォームを崩さずに42キロ走れるようにしていきます。もうひとつチェックするのは、心拍数ですね。目標値を目指して走った際、140-160くらいの範囲で収まっていると、そこはキャパシティ内になりますが、どこかで上下してしまうと、それはオーバーペースなのでスピードを落としていきます。距離における余裕度を確認するものですが、みなさんもガーミンなどつけている人が多いので、心拍数を必ずチェックした方がいいですね。

★2month (2ヶ月前)/Training Menu Point



前月に30キロ、42キロを走るなど、足が作れているので、この月はスピードとハーフでの目標値達成にフォーカスしています。チャレンジナイト5000mはペーサーがついていい条件でしたが、20分を切れたので、この時点でサブ3.5には楽勝のスピードがありました。スピードを上げるにはいくつか要素があります。姿勢、着地、バネ、水平方向に力を出すことが必要になってきます。この方は体が硬くて運動スキルはあまりないので、骨盤周りを動かしてというところからいつも始めています。うちは「JINS MEME」を使用して、アプリと連動してフォームなどをチェックしていますので、そのデータを見ながら無理のないフォームを作ったり、ドリルなどで動きの質を改善してもらうようにしています。神戸ハーフはキロ5分のマラソンペースで走ってもらい、30キロ走は足作りのラストラインという位置づけです。エンジンが出来あがっていたので、この段階でのサブ3.5クリアの可能性はバッチリでした。

★1month (1ヶ月前)/Training Menu Point



奈良マラソンとビヨンドが目標のレースになりますが、奈良の前は10キロビルドアップで刺激を入れて、スピードの余裕度を確認しました。前月までにかなり完成度が高かったこともあり、奈良マラソンは無事にサブ3.5を達成できました。その後、マラソンチャレンジで20キロを走っていますが、これは疲労度の確認です。ガチゆる走2キロは、一人でインターバルをするのはきついのですが、1回で済みますし、スピード練習として入れています。アップして2キロ1本走って40分ジョグです。ジョグも早く走ってしまうタイプの方でしたので、6分台にしています。ジョグは、練習のための準備のジョグなのか、疲労抜きのジョグなのか。ただジョグをすればいいのでなく、何のためのジョグなのか、その意味を考えて走ることが大事ですね。ビヨンドは、ぺーサーがついて、条件もよかったのですが、26分台のタイムでした。でも、月2本のレースを走り、ともに目標値をクリアし、自己ベストを更新したので、結果としては良かったと思います。

Another Point -1
Q.「練習に取り組むうえで大事なことは、どういうことでしょうか?」

A. 例えばポイント練習をする際、ただポイントだけをこなせればいいと思いがちですが、スピードを出すための準備がとても重要です。質の高い練習をするためには、ウォーミングアップは欠かせません。それをするのとしないとではポイント練習での動きがかなり変わります。1回、1回、練習での手応えを掴むための準備をすれば、得られるものもすごく大きいのです。あと、目標に向かって練習を積み重ねていくイメージができないと、いきあたりばったりの練習になったり、友人に誘われたから練習に行くケースもよく見られます。そこで負荷のかかる練習をすると自分が目指すところの練習につながっていないので、怪我をしてしまうなど、とんちんかんなことになってしまいます。タイムを出すという点で考えると、メニューがあるのであればそれをこなし、ツボを押さえていくのが大事だと思います。

Another Point -2
Q.「テーパリングについて、どう考えていますか?」

A. マラソンを複数回走って、こなれてきたら自分のやり方でいいと思います。実業団の選手やプロの選手のように、月600キロ以上走っていると休みや練習量を減らすことが必要になりますが、一般の市民ランナーの方、例えば300キロくらいですとテーパリングのやりすぎは注意しないといけないと思います。ランナーの中には、休み過ぎて体がおやすみモードになり、10キロくらいで終わってしまったというケースがわりと多いのです。休まないといけないみたいに不安に思うのかもしれないですが、練習メニューは、体がちゃんとできていればレースで力を発揮できるところまで考えています。多少、張りなどがあっても、その方がむしろいつも通り走れたりします。過度のテーパリングはせず、練習メニューのまま実行してほしいですね。

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