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COLUMN

連載第14回「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~

2021.10.07
Shun Sato

第14回 岩出玲亜 レース60日前からは攻めて、自信をつける。-Breaking 3’30″-

今回は第1回に登場した神野大地さん以来のプロランナー、岩出玲亜さんが登場! サブ4を達成した人が、次に目標とするサブ3.5を達成するための3ヶ月間の練習メニューとポイントを伝授してくれるので、見逃すな!

岩出玲亜
年齢:20代
職業:プロランナー
フルPB:2時間23分52秒(2019年3月10日 名古屋ウイメンズマラソン)

3months Challenge—breaking 3’30”

サブ3.5を達成するための3ヶ月の基本的なメニューは、ジョグと1週間1回のポイント練習がメインです。ポイントは週1ですが、サブ3.5はこれをやっていれば達成できるという目標ではありません。それ以外にも有酸素系のトレーニングを入れ、日々のジョグでしっかりと距離を追っていくことが重要です。

レースの3ヶ月前の練習を月毎に考えると、最初は体作りの期間です。質より量を追って、走ってほしいですね。2ヶ月前は前月で作った体を活かして、距離を伸ばし、より実戦的な練習に入っていきます。ここは攻めてほしい月です。30キロをキロ5分ペースでいけると、試合でもサブ3.5を達成できる確率が高くなるので、積極的に強化に取り組み、自信をつけてほしいですね。1ヶ月前は、質重視になってきます。この頃は体ができて、ペースは作れていると思うので、レースをイメージして練習してほしいと思います。

Training Menu(トレーニングメニュー)

★3months(3ヶ月前)/Training Menu Point



(1)jog(ジョグの重要性)
ジョグは、私にとって毎日当たり前にあるものですが、市民ランナーのみなさんは働いている方が多く、なんとなくジョグが疎かになりがちなのかなと思います。時間がないので、5キロぐらいの距離を30~40分でサクッと終わらせる人が多いのではないかと思います。確かにそのくらいですと気持ちいいんですよね。でも、マラソンは3時間以上走るわけですからやはり70分のジョグを週2回は確保してほしいなと思います。ここで走る量をしっかり担保しておくことで、後半のタイムの落ち具合や疲労感を軽減できますし、体力が消耗していく中で動かせる力が変わってきます。さらにもう一つ、ジョグはリラックスして、気持ちよく走ってください。逆にポイント練習は集中してこなします。オンとオフがあった方が体のリズムができて、楽にこなせるようになるからです。

(2)wind-sprint(流し)
ジョグにプラスしている100m‐150mは、流しです。これを入れているのは、きれいなフォームでトレーニングを終わらせたいという意図があります。走っていて疲れてくると、フォームが小さくなって、理想のフォームから離れていきます。そのまま終わらせるのではなく、最後はトップスピードで、大きなフォームで、ダイナミックに走ってきれいなフォームでピリッと締めることが大切です。流しは、別に最後に入れなくても問題ありません。ジョグの途中にある坂道や芝生や不整地などで入れてもらってもいいと思います。私はよく芝生の上を走っています。着地がしっかり吸収されて、ロードと違った感覚で走れます。

(3)tempo running(ペース走)
ロングのペース走は、とても大事です。マラソンは、どれだけ距離を踏めるのかというのが重要になってくるので、必ず取り入れてほしいメニューです。ここでは、サブ3.5のレースペースに10秒ぐらいプラスの設定ですが、この時期はタイムを意識するよりも20キロをまずこなして、長時間走ることに体と心を慣れさせるのが目的です。最後はオールアウトしてもらってもいいですが、ペースが厳しければ、設定をちょっと遅くしても大丈夫です。ここで故障をしてほしくはないので無理せず、ちゃんと体を作ってからタイムを上げていけばいいと思います。

★2month (2ヶ月前)/Training Menu Point



(1)interval(インターバル)
1000m10本は、サブ3.5のアベレージは4分58秒ですが、そのタイムに余裕を持たせる練習です。長い距離だけやっていてもタレてしまうので、レースペースよりも少し早いペースで1キロ走って、レストします。アベレージのタイムに余裕を持たせるには4分20‐30秒で走ることが求められます。体感では少し早く感じてしまうかもしれませんし、1キロだと600~800mぐらいがキツいです。でも、そこを耐えていくと4分58秒がラクに思えてきます。

(2)jog(距離を増やす)
ジョグの時間が増えていますが、この時期になると、このくらいの量も気にならずに走れると思います。前月よりも1-2キロ伸ばしてもらう感じで、気持ちよく走ってほしいですね。ジョグのコースは、常に河川敷の往復とかではなく、近くの公園を走ってみたり、オフロードを走ってみたり、いろんなコースで、いろんな方向からの風を受けて走ってほしいです。そうした小さな積み重ねや経験が試合に繋がってきます。

★1month (1ヶ月前)/Training Menu Point



(1)interval(インターバル)
2キロ5本ですが、最初の1‐2本は余裕をもって4分30秒に近いペースで走ってもらって、後半、余裕があれば4分20秒に近づけて、上げていくのが理想です。3‐4本目がキツいなと思ったら、リカバリーの時間を多く取ってください。5分間程度取ってもらい、しっかりと4分20秒のペースで走って、後半は出し切ってほしいですね。リカバリーはステイでもジョグしながらでも、どちらでも問題ありません。普段、練習している時のリカバリーの取り方をそのまま活かしてください。

(2)long running(ロング走)
レース前、最後の距離走(30キロ)になります。ほぼレースペースですので、ここで1度自分の調子を確認します。ラスト27キロ以降に一気にペースアップできると理想的です。このメニューは、試合をイメージして、意地でもやるみたいな覚悟で取り組んでほしいですね。ここでうまく動かなくても試合まで20日間あるので、疲労の回復もできますし、次の15キロ走までに修正して、気持ちよく走ることができれば問題ありません。この15キロ走は、レースペースよりも若干高いですが、時計を気にせず、気持ちよく走ることが大切です。タイムを気にしてしまうと、フォームが崩れてきてしまうので気をつけてほしいです。

(3)one week(ラスト1週間)
試合まで1週間を切ると調整期間に入ります。1-2キロ走るのは、刺激です。私もよくやるのですが、レースの3日前ぐらいに1度、心肺機能に負荷をかけます。そうすることでレース序盤に心拍数がパーンと上がることを防げるので、必ずこれはやってほしいですね。ウォーターローディング、カーボローディングも私は取り入れています。カーボローディングは日曜日が試合だとすると、月火水は肉、豆腐、納豆とかタンパク質がメインで炭水化物を摂らずに抜いていきます。木金土で米、パスタ、うどん等炭水化物をたくさん食べます。試合では3‐4時間も体を動かすので、体重とか気にせずにしっかりと栄養を摂ってほしいですね。あと、レース中の脱水症状を防ぐためにスポーツドリンクを多めに摂ってもらいたいと思います。

Another Point -1
Q.「筋トレは、した方がいいですか?」

A. 私は、毎日走る前に入れています。シューズが厚底になって、クッショニングが増したので、お尻とかが鍛えられていないとクッショニングに負けて、沈んだフォームになってしまいます。厚底を履きこなすには、お尻周りをトレーニングで引き締めないといけないと思いますし、そうすることでいいフォームを作ることができます。私は、お尻周辺以外にも腹筋、背筋など40分ぐらいしています。走る前に筋トレを入れるのは、トレーニングで筋肉を起こして走るためです。筋肉が寝ている状態で走るよりも起きている方が圧倒的に走りがいいですね。安定感が全然違うので、走る前に筋トレを取り入れてみてください。

Another Point -2
Q.「メニューは必ずこなさないといけないのでしょうか?」

A. 例えば、ロング走のメニューの日、スタート前から今日はコンディションが悪いなと思う時は、キロ5分ペースを5分20~30秒に落として入ってもいいと思います。時期にもよりますが、メニューにキロ5分とあっても、そこは絶対にそのペースで行けということではなく、それよりもきちんとロングを走ることが一番重要です。走っていて、体が動いてくればキロ5分に戻していいと思います。それでも今日はこなせなかったなぁという日はあると思います。私のコミュニティーサロンの会員さんには、できなかったメニューを翌日にこなす人もいます。私は、2日ぐらい休んで、次のポイント練習で倍返しするつもりでトライしています。

Another Point -3
Q.「練習で痛みが出た場合は、どうしたらいいですか?」

A. 自分が知っている痛みでしたら続けてください。例えば、膝痛がよく出る場合は、自分が知っている痛みなので、治し方もわかっていると思います。でも、なぜ痛みが出たのか分からない、あるいは初めて痛くなった場合は2、3日、休んで様子を見ます。私の経験でいうと、突発的に生じた痛みの場合は、1、2日置くとだいたい治るので、そこは走りたい欲を抑えて休みます。ランニングはシンプルな競技ですし、バランスが崩れると痛みが出やすいです。経験がない重い痛みが出た場合は、無理せず、焦らず、休んでください。

Another Point -4
Q.「プロランナーとして、新たな活動を考えていますか?」

A. 7月末から「Charge」というコミュニティーサロンを始めました。市民ランナーの方と触れ合う機会が増えたのですが、すごく新鮮ですし、楽しいですね。みなさんから感じるのは、走ることへの貪欲さとパワーです。30キロを走る時、私は1日の中で30キロを走る準備をして、出し切りますが、市民ランナーのみなさんは、1日働いた後に30キロを走るわけじゃないですか。私からすると1日中働いているだけで大変だと思うのに、仕事を終えてから30キロ走るのって、どこにそんな体力があるのって思うんです! すごいですよね。市民ランナーのみなさんのそういう姿勢を見ていると、「私の努力ってまだまだだな。明日もがんばろう!」って思います。

「Charge」岩出玲亜選手 コミュニティーサロン
「Charge」は、メンバーに知識や活力などをチャージする場所にしたいということから生まれました。
岩出選手がメニューについてのアドバイスだけでなく、メンバーの練習報告などの投稿にアドバイスや感想をリプライします。メンバー同士でもアドバイスや悩みの共有などの交流が行われており、実際にメンバーの走力もメキメキ向上しています。また、リアルな練習会でメンバーの皆さんと一緒に走り、その場でいろんなアドバイスをして、走りの向上に役立ててもらっています。
【内容】
●メニュー配信(サブ3/3.5/4向け:2週間に一度)
●練習会
●LIVEトレーニング
●オンライン交流会
●スポンサーさんからの特典(商品提供、出走権など)他
期間:7月末〜10月末の3ヶ月限定
(11月以降については現在協議中。決定次第、岩出玲亜のSNSでアナウンスさせていただきます)
料金:月額8,800円(税込)
詳しくはコチラ:https://butaiura.fan/lp/community/iwadereia/

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