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COLUMN

連載第2回「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~

2021.07.15
Shun Sato

第2回 海野敬太郎(市民ランナー) ネガティブスプリットでサブ3.5をブレイク。

「練習、どうしているの?」
キッカケは、ランナーからのそんな疑問でした。
首都圏や大きな都市では、チームで仲間と一緒に走ったり、練習会なども多く、練習についての情報がたくさん入ってきます。

でも、地方を始め、多くのランナーは単独での「ボッチ練」が主で、自らメニューをネットや本などで探し、考え、練習しています。
そういうランナーのために、また効率よく練習するために、目標タイムを達成するために、参考になるような練習メニューがあれば・・・。
そういう思いから「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~ が生まれました。

目標達成をしたプロランナーや市民ランナーのレース3ヶ月前からのメニューを参考にしていただき、ランニングライフのプラスにしてほしいなと思います。

海野敬太郎
年齢:40代
職業:会社員
ラン歴:4年
フルPB:3時間23分28秒(2021年3月27日:第2回葛飾あらかわ水辺公園TM)

3months Challenge—breaking 3’30”

Start (走ることのキッカケ)
最初はダイエット目的でした。元々55キロだったのですが、不規則な生活を送り、72キロまで太って、さすがにこれはまずいなと思い歩き始めました。最初は20キロを週2、3回歩き、1年続けることで元に近い体重に戻りました。その頃は横浜のみなとみらいを歩いていたのですが、走っている人によく抜かされたんです。その人達に刺激を受けて、走れるようになりたいと思って走り始めたのですが、最初は100mがやっとでした。それから1キロ、2キロと距離を増やしていったという感じです。もともとスポーツは何もしていないですし、陸上にもまったく興味がありませんでした。そして走り始めて1年後、神奈川マラソンでハーフに挑戦しました。

Challenge to marathon (マラソン挑戦)
マラソンは記録への挑戦が面白いですね。私はデータマニアでランニングデータを集めるのが好きなのですが、マラソンはタイムという明確な目標があります。それに真正面から挑戦するのが楽しいですよね。あと、小出義雄さんの本を読んだ時、サブ4が初級者、サブ3.5が中級者、サブ3が上級者と書いてありました。上級者は難しいけど、中級者は狙えるなと思ったのがマラソン挑戦のキッカケになりました。
 
Motivation (マラソンの楽しさ)
達成感です。マラソンは、レースまでの準備が長いですし、けっこう苦しい事が多いじゃないですか。それを乗り越えてスタートラインに立てるわけですが、そこまでの道程が面白いですよね。その準備を経て、レースで42.195キロを走り終えた達成感はとても大きいです。最初にサブ4に挑戦した時、こういう風にやっていけばド素人でも結果が出るんだというのがわかりましたが、その喜びも大きかったですね。その達成感と喜びをまた味わいたいのでマラソンに挑戦しています。

Training Menu(トレーニングメニュー)

★3months (3ヶ月前)/Training Menu Point

(1)build up running (ビルドアップ走)
遅いペースでウォーミングアップを兼ねて入り、そこからレースペースにもっていって、ラストはレースペースよりも速く走り、きっちり終わらせる。特に意識していたのは、最後は必ず上げて終わらせることです。これは30キロの壁を越えてからをイメージしています。そのため、ビルドアップ走の前にあえて長い距離を走り、脚に負担をかけて重い状態で走っています。脚が最初から30キロの壁みたいな感じになっているので、その中であえて上げていきます。これを繰り返していたので、レースの時、30キロの壁はぜんぜん怖くなかったです。

(2)negative split (ネガティブスプリット)*
ネガティブスプリットは勇気が要りますよね。自分の実力の設定ペースを理解し、どこまで遅くしていいのか、逆に30キロからどこまで速くすべきか、そのサジ加減が大事ですが、ペースを落とし過ぎてしまうとただのジョグになってしまいます。彩の国マラソンはオーバーペースと暑さのために棄権したのですが、この時、レース戦略を見直して葛飾のレースではネガティブスプリットにしようと決めました。前半1時間47分、後半1時間46分で1分ですが後半伸びて、トータルで15分自己ベストを更新しました。このネガティブの精度を高めたらもっとタイムが伸びると思い、そのための練習を増やしました。
*意図的にレース前半のペースを抑え、後半にペースを上げる走り方

(3)interval (インターバル)
この3ヶ月前の練習メニューにはありませんが、その前は「スピード持久力」の強化として、インターバルを入れていました。1キロを15本、ペースは4’20”‐4’30”で、つなぎは500mのジョグです。設定はレースペースよりも20~30秒速いペースで、大事なことは最初に決めた本数を必ずやり切ること。僕も最初は5本しかできなかったですし、12本目になるとかなりグダグダの走りになってきますが、そこで粘って走ることでスピード持久力がかなりついてきました。個人的にはこの練習がサブ3.5を目指す中で、一番効果がありました。

★2month (2ヶ月前)/Training Menu Point

(1)tempo running (ペース走)
ペース走は、レースでオーバーペースにならないように、一定のペースで走る練習です。いつも走っているみなとみらいは風が強く、信号もあるのでラップを整えるのは難しいのですが、そこはかなりシビアにやりました。目標ペースが4’50“の場合、プラスマイナス5秒差内に収まる範囲で走りました。この練習でレース後半、ペースがタレなくなりました。ペース走は、平坦なロードだけではなく、緩い坂道も利用しています。近くに権太坂があり、そこは8キロぐらいアップ&ダウンがあるのですが、すごくいい練習になりました。

(2) long running (30キロ走)
2ヶ月前は30キロ走を2本入れています。どちらもキロ5分のペース走で、レースを想定して走っています。金哲彦さんの本には、「レース前の2、3週間前は調整期間だけど、その前の3週間は勝負期間で、そこで追い込めば必ずいい結果が出る。」と書いてあったので、ここはボロボロになるまで走りました。トータルで月間300キロを走っています。ロングもペース走も基本的に一人で走っています。仲間と一緒にやると引っ張れられるのでいいのですが、マラソンは自分で全てをコントロールしないといけないですし、一人だと根性も鍛えられます。

(3)practice digest rate(練習消化率)
長く練習をしていると疲れたり、調子が悪くなり練習が消化できない時もあります。私は練習日誌に練習消化率をABCの評価でつけていますが、Cがつづくことがあります。そんな時はため息が出てしまいそうですが、ダメだった頃の日誌を読み直すようにしています。すると、大体1週間位で復調しています。ですから走ってレベルが上がるなと思えば走るし、本当に調子が悪い時、違和感がある時は休みます。そこで無理して走って、フォームが崩れてしまうのが一番怖いからです。そうなるとフォームを修正するのに、また時間がかかってしまいます。

★1month (1ヶ月前)/Training Menu Point

(1)speed running (スピード走)
目的は、大きなフォームと素早い動きでスピード感を体に覚えさせることです。距離は15キロ以内にして、ペース設定は目標ペースよりも20秒速い4’30“にしています。レースが近いので疲労を考えて練習のボリュームを落としていきますが、スピード感覚はしっかり残しておきたいと思っているので、この頃のスピード走はすごく大事です。

(2)check out the course (コース下見)
下見は現地に行って、レース本番の時間に合わせて走っています。レースコースの柏の葉はフラットな周回コースで1周すれば全部わかるので時間がかからなくて助かりました。下見に行った時は石畳があり、けっこう足にきそうな感じだったんですけど、当日いくと50mぐらいカーペットが敷いてあってラクに走れてラッキーでした。あと、ここはペースアップできるなとか、日陰の場所とか、そういうことを知って走るのは心理的に大きいですね。ロードレースはハーフ以上を走らないといけないので大変ですけれど、下見は必ずします。

(3)rest (休養)
レースの1週間前で大事なことは、“いかに疲労を抜いて調整していくか”です。小出さんの本には、1週間前も走って足を重くして、前半スピードを抑えると書いてあったのですが、私はそれをすると「大丈夫かな」と不安が大きくなって走れなくなります。だから、疲労はゼロにして、前日もまったく走りませんでした。この調整方法で2ヶ月前の葛飾トライアルマラソンがうまくいったので、柏の葉でも同じ調整で臨み、サブ3.5をクリアーすることができました。

Another Point -1
Q.「練習環境はどのように調整していますか。」

A. 練習は、平日は17時以降、土日はお昼ごろ走っています。ロードのコースは3本あります。1本目は自宅からみなとみらいの海沿いから山下公園まで。2本目は権田坂のコース。3本目は三ッ沢競技場に向かう新横浜通りという急坂のコースです。練習メニューによって使い分けていますが、インターバルは三ッ沢競技場のトラックで練習しています。私の練習メニューのベースになっているのは、金哲彦さんの本です。「マラソンレース必勝法」「マラソン100日」「マラソンメンタル強化」が3種の神器で、私の中では金さんが心の師匠ですね。

Another Point-2
Q.「次の目標設定をおしえてください。」

A.サブ3を目指しています。ただ、かなり高い目標だと思っています。先日、インターバルでサブ3ペースで1キロを15本やりましたが、キツ過ぎて次の日、歩けないくらいでした。ハーフもキロ4分24秒でしか走れていないので、サブ3のペースの4分15秒まではまだ遠いです。秋にはタイム狙いでいくつかのマラソンにエントリーしているので、そこで達成できるように練習を続けています。

Another Point-3
Q.「初めてサブ3.5を達成した時のラップを教えてください。」

A. 2020年12月9日の「柏の葉TM」です。1kmの平均ラップタイムは以下になります。
0km -5km 4’53”
5km-10km 4’55”
10km-15km 4’54”
15km-20km 4’57”
20km-25km 4’54”
25km-30km 4’50”
30km-35km 4’40”
35km-40km 4’42”
40km-FINISH 4’37”
※初めてフルに挑戦した横浜マラソン2018でサブ4達成。それ以来、5回目のフルでサブ3.5を達成。

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