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COLUMN

新連載COLUMN「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~

2021.07.08
Shun Sato
Shun Sato

第1回 神野大地 「継続」の先に、サブ4達成が見えてくる。

「練習、どうしているの?」
キッカケは、ランナーからのそんな疑問でした。
首都圏や大きな都市では、チームで仲間と一緒に走ったり、練習会なども多く、練習についての情報がたくさん入ってきます。

でも、地方を始め、多くのランナーは単独での「ボッチ練」が主で、自らメニューをネットや本などで探し、考え、練習しています。
そういうランナーのために、また効率よく練習するために、目標タイムを達成するために、参考になるような練習メニューがあれば・・・。
そういう思いから「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~ が生まれました。

目標達成をしたプロランナーや市民ランナーのレース3ヶ月前からのメニューを参考にしていただき、ランニングライフのプラスにしてほしいなと思います。

神野大地
年齢:20代
職業:プロランナー
フルPB:2時間10分18秒(2018年東京マラソン)

3months Challenge—breaking 4’00”
僕がサブ4達成において、一番大切だと思っていることは「継続」です。レースまでの3ヶ月間、いろんなメニューを全部こなすことよりも、まずは走ることを継続することが大事です。気分がもうひとつ乗らないとか、故障して練習ができないとか、そういうことも起こると思いますが、焦らなくても大丈夫。マラソンはこのメニューを全部やり終えたからといって目標を達成できる競技ではありません。1回の練習ができた、できないで一喜一憂するのではなく、走ることを継続し、走る量を担保してください。それを3ヶ月続けられれば、サブ4は十分イケると僕は思います。

Training Menu(トレーニングメニュー)

★3months (3ヶ月前)/Training Menu Point



(1)jog (ジョグの重要性)
これは3ヶ月間通してのことですが、ジョグは練習のベースです。ただ、ジョグをする際は、目的意識を持つことが大事になってきます。僕はリカバリーのジョグに当てたり、自分のフォームを見詰め直したり、ラクに走れるフォームを確認したりしながらジョグをしています。ただ、60分のジョグに行ってみようではなく、必ず目的意識を持ってジョグをしてください。ジョグのペースは、サブ4の場合、1キロ平均5分41秒ぐらいだと思うのですが、目的意識を持った中で最初はゆっくり入り、ラストでレースペースに上げて終わらせてもいいと思います。

(2)easy to moderate
メニューの中にeasy to moderateがありますが、これはペースの幅を作ってのジョグです。これは僕も練習によく取り入れています。イージーからイージーで終わってもいいし、イージーからペースを上げて終わらせてもいい。基本的に走り出した時の自分の体調で決める感じです。僕のイージーは4分半から5分を切るぐらいで、3分30~40秒で上がります。平均すると3分45~50秒が僕のモデレートのペースになります。サブ4狙いですと、最初は6分半ぐらいでアップがてら走り、最後に5分20秒~30秒の早いタイムで終わらせてもいいと思います。

(3)wind-sprint(流し)
僕は、サブ4を達成する際、5分41秒のペースをいかにゆっくり感じられるかが大事だと思っています。それにはスピード練習が必要になってきますが、市民ランナーの方はなかなかできない人もいると思います。ジョグ後の流しは、スピード能力を維持したり、向上させるためのメニューです。ただ、普段、スピードを出し慣れていない人がいきなりやると肉離れなど故障のリスクがあります。近くに坂がある方は、坂ダッシュでOKです。故障のリスクが低いですし、足はもちろん、心肺機能も100mの流しよりも負荷がかかるので良いトレーニングになります。

★2month (2ヶ月前)/Training Menu Point


(1)more your practice(ボリュームを増やす)
2ヶ月前の練習は、かなり距離が伸びるなど全体的にボリュームと質が上がります。ここをしっかり乗り切れば、あとはこれまでの練習を維持していくようなメニューになっていきます。マラソンで結果を出すために、この一番苦しい、ある意味勝負の2ヶ月前を我慢して乗り越えないといけません。

(2)Long run(ロング走)
42キロを走る上で距離の不安は、いくら練習しても残るものだと思います。ロングの練習は、そういう不安をなくすことが大きな目的になります。初めて30キロを走るとへばってきてしまうこともあると思いますが、そういう経験を練習でしておくことも大事です。逆に5分41秒ペースだとけっこうイケるかもと、序盤ハイペースになりがちですが、練習でロングを走り、苦しいことを経験しておくと、「試合でも絶対に苦しくなるから序盤ペースを守っていこう」という気持ちでレースに臨めます。

(3)tempo running(ペース走)
ペース走は、僕らの場合、レース設定よりも少し遅いペースにしています。サブ4狙いの場合、レース設定よりも早いペース、なんとなくキツいペースの中で、我慢して走るのがいいと思います。5分30秒ぐらいのペースでボーと走っていくとペースが上がっていきがちですが、そこで上げるのではなく、そのペースを維持すること。42キロを走っているとなんとなくキツいなというタイミングが何回もくるので、そういう時に辛抱するための練習がペース走です。

★1month (1ヶ月前)/Training Menu Point



(1)long run(ロング走)
僕は30キロ走をレースの2、3週間前に走ります。1ヶ月を切ってくると練習全体のボリュームが落ちてくるのですが、その中でキーになるのがロングです。ラスト1ヶ月でロングを1回もせずにレースに臨むのは不安でしょう。また、ロングを走って仮に疲労が残っても他のメニューはボリュームを落としているので練習の余裕度はかなりあるはずです。この時期のロングは、遅いペースで距離を積むのではなく、レースペースよりも早い設定で走り切ることが大切です。

(2)keep(ためる)
ラスト1ヶ月になって、確実にレベルアップしてきていますが、このままで大丈夫かなと言う不安はあると思います。そうして無理して練習をし過ぎしてしまうと故障のリスクが高くなってしまいます。この時期は、最低限メニューをこなしていくだけでいいのです。ラスト1ヶ月で無理して練習を積んだとしてもレース当日にその力を発揮できるとは限りません。むしろ、その効果が出てくるのは2、3ヶ月先でしょう。本当は、もっと練習はやれるけど、溜める時期。それを試合で爆発させるのが理想です。

(3)rest(休養)
休養は、2パターンあります。完全休養してしまうと体の動きがなまり過ぎてしまい、次の練習やレースに影響が出てしまう人は、散歩したりエクササイズしたり、軽く体を動かしてもいいと思います。また、完全休養で体全体がリフレッシュできる人は、完全にオフにしてもいいと思います。休養も目標を達成するためには大事な要素。どうしても走りたい場合は、休養がメインのジョグにしてください。


Another Point -1
Q.「練習に気が向かない時はどうしたらいいですか」

A.練習を飛ばしてもいいと思います。プロはそれだと強くなれないですけど、市民ランナーのみなさんは走ること以外にも仕事など大切なことがあるし、乗らないまま走ると故障のリスクもあります。今回のサブ4のメニューでいえば、3ヶ月間、基本的に変わらないメニューが続いているので、1、2回飛ばしても次の練習がめちゃくちゃハードになることはありません。気持ちが乗らない時は、やらなくても結果が悪くなることはないですし、残業後にメニューをやるのは後追いで違う疲労が出てくるのでやらなくてもいい。そのくらいの気持ちの余裕が大事です。

Another Point-2
Q.「痛みが出たら、どうしたらいいですか」

A.サブ4狙いのランナーは、練習を続けていくと初めて痛くなるところが出てきたりすると思います。そういう時は1週間以上痛みが続いたら走るのをやめましょう。僕は、痛みの度合いを10段階で練習日誌につけていて、5段階以上の痛みが1週間続いたら休むようにしています。逆にハードな練習をして痛みが出ても翌日に痛みがひどくなっていなければ練習は継続してもいいと思います。痛みの変化を自分の中で把握し、継続か休むか、判断できるようになるのが理想ですね。

Another Point-3
Q.「ケアは、重要ですか」

A.市民ランナーのみなさんは、走るのはすごく頑張るのですが、普段のケアに目がいかない人が多いかなと思います。僕は、その日の疲労はその日のうちに取るという意識でいます。走る前に40分、終わった後も40分ほどストレッチをして、交代浴をしています。市民ランナーのみなさんは、そこまで時間が取れない場合、今日は臀部、明日はハムとか、1日1部位だけのストレッチでもいいと思います。こういうことを繰り返していくことで他人との差がついていくと僕は思います。練習を継続し、ケガを予防するためのケアは走るのと同じぐらい大切です。

Another Point-4
Q.「ラン仲間は必要ですか」

A.市民ランナーのみなさんは、一人で練習している人が多いと思います。気分が乗っていたり、調子がいい時は一人で練習することに抵抗はないですが、長いスパンで見るとやはり一緒に練習できる仲間を作ったほうが走力はつきます。一人でやるとすごくキツイ練習もみんなでやると「キツかったなぁ」くらいで終わるのを僕は感じているので、もし仲間や練習できるチームがあったら一緒に走ってください。お互いに刺激し合えるし、楽しく、強くなれると思います。

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