自己記録更新を狙うならゴールドコーストマラソンで決まり!
今回で44回目となるゴールドコーストマラソンが、2024年7月6日(土)・7月7日(日)に開催されました。この大会に参加するのは全種目で約30,000人。日本からは1,000名ほどのランナーが参加し、日本人に愛される海外マラソンのひとつとなっています。南井編集長は今回で6回目の参加となりますが、2022年に自己記録を更新したように、ゴールドコーストマラソンは完走者の約6割が自己ベストを記録すると言われる、PB更新を目指すランナーにとってはオススメのロードレース。さらにショッピング、観光、グルメetc.ビフォーアフターを思う存分楽しめるなど、日本のランナーにとって総合的な満足度が最も高い海外マラソンのひとつです。そんなゴールドコーストマラソンの魅力を紹介したいと思います。
毎年7月に、オーストラリアのクイーンズランド州で行われるゴールドコーストマラソン。数多くの日本人ランナーが参加し、ホノルルマラソンとともに、日本で最もポピュラーな海外マラソンのひとつとなっています。その理由は、日本との時差がたったの1時間なので、時差ボケに悩まされることもなく、コースが平坦(最大高低差8m)で走りやすいところ。世界記録が何度も記録されているベルリンマラソンの最大高低差が20mなので、いかにフラットであるかということが理解できると思います。さらに、スタート時の平均気温9度(午前11時は16度)という気候の好条件があり、完走者の約6割が自己ベストを更新しているという、PBを目指すランナーにピッタリなレースだから。ちなみに自分も、2022年の大会において3時間50分50秒でゴール。2018年のこの大会以来4年ぶりに自己記録を更新することができました。
ゴールドコーストへのアクセスは、以前はジェットスター航空が直行便を就航していましたが、現在は運休中。しかしながら、カンタス航空とジェットスターは、ゴールドコーストから車で1時間強の位置にあるブリスベン国際空港まで成田から直行便を運航していますし(ジェットスター航空は関空からも直行便を運航)、全日空、日本航空、カンタス航空がシドニーまで直行便を就航しており、シドニーからゴールドコーストまでは、カンタス航空、ジェットスター航空、ヴァージンオーストラリア航空などが多くの便を飛ばしているので、乗り継ぎもスムーズ。今回はカンタス航空を利用し、シドニー乗り換えでゴールドコーストに向かいましたが、ジェットスター航空のケアンズ便からゴールドコーストへと乗り継ぐのも便利だと思います。宿泊は、ゴールドコーストの中心街であるサーファーズパラダイス地区ではなく、3年連続でサーファーズパラダイスから南へ4kmほどにあるブロードビーチエリアのMeriton Suites Broadbeach(メリトン スイート ブロードビーチ)。一昨年も宿泊しましたが、ベッドルームとは別に広大なリビングルームを有しており、フルサイズキッチン、洗濯乾燥機も備えているので、日本の観光客にはコンドミニアムと表現したほうが分かりやすいかもしれません。
マラソンエキスポは、宿泊先から徒歩数分で到着するゴールドコースト コンベンション&エキシビションセンターにて開催。この施設は、最近TBS系で放映されたドラマ「ブラックペアン 2」にも登場しました。去年は、シドニー空港付近の強風のために多くの飛行機が遅れ、そのためにエキスポ会場に長蛇の列が見られましたが、今年は例年通りにスムーズ。会場到着からゼッケンを受け取るまでに5分とかかりませんでした。英語に自信のない方も手慣れたボランティアスタッフにより、ゼッケン受け取りはスムーズに行われるのでご心配なく。ゼッケンを受け取ると、物販エリアの手前にあるチェック装置で、記録センサーが問題なく作動するかをテスト。物販エリアで最も大きなスペースを占めるのはスポーツ部門のオフィシャルパートナーである<アシックス>。日本でもまだリリースされていないゲルカヤノ31がメインでフィーチャーされており、数多くのランナーが試し履きをしていました。その他にも、今回自分がレースで履くことにした、レーシングシューズであるメタスピード エッジ パリを始めとした豊富なランニングシューズのバリエーション、ランニングアパレル、大会限定Tシャツetc.が販売されていましたが、金曜日の夕方に訪れた際は、記念モデルの多くがソールドアウト状態。ニューヨークシティマラソンやロサンゼルスマラソンといったアメリカの大規模大会では、エキスポの最終日にはオール半額セールが行われることも珍しくありませんでしたが、ゴールドコーストマラソンは参加者の購買意欲が強いのか、在庫を絞っているのかは定かではありませんが、確実に大会限定アイテムを手に入れたい場合は、エントリー時に事前購入予約ができるそうなので、そちらを利用するか、早めにエキスポへ訪れたほうがよいでしょう。ちなみに、エキスポは木曜日から開催されています。
<アシックス>エリアを出ると、一般のブースが並び、そのなかにはレース当日に供されるスポーツドリンクの試飲やエナジージェルの試食もできるので、どんな味のスポーツドリンクが供されるかを事前にチェックしておくことをオススメします。ちなみにゴールドコーストでは、Fixx Nutrition<フィックス ニュートリジョン>がスポーツドリンクを担当。アメリカでポピュラーなGatorade<ゲータレード>や、日本で高いシェアを誇るアクエリアスよりもかなり薄めです。事前に知っておけば、レースで最初に飲んだ時にビックリしないでしょう。こちらのエリアにはランニングアパレルやアクセサリー、マラソン大会etc.多岐に渡るブースが展開されており、今回でエントリーしたのは6回目になりますが、アメリカや日本では取り扱いのないブランドや、デザインテイストが異なるグッズも発見できるので、いろいろチェックしていると楽しくて時間が経つのも忘れてしまうかもしれません。
フルマラソンの前日にはウルトラランナーのみゃこさん、ファッションランニングアドバイザーであるBEAMSの牧野英明さん、元実業団ランナーで、ランニングを通じて美を追求するまかラン(真柄碧)さんのリードによるモーニングランも開催され、集合場所となったサーファーズパラダイスのアーチ型サインには20名ほどのランナーが集まり、約3kmのファンランを楽しみました。走ったあとには、自動車を減速させるためのバンプという車道の凸型のふくらみに気を付けるといったゴールドコーストマラソンを走る際の注意点や、フルマラソン全般に関するアドバイスも受けることができ、翌日のフルマラソンに備えました。
今年のゴールドコーストマラソンは、8つの競技が下記のようなスケジュールで開催されました。2019年まではハーフマラソンとフルマラソンが同日開催でしたが、一昨年より別日の開催となりましたので、両方を走ることが可能となり、完走者には合計した距離の63.3kmが表示されたスペシャルメダルをゲットすることができます。
7月6日(土)
ハーフマラソン(AM6:15スタート・制限時間3時間20分)
2kmジュニアダッシュ(AM9:40スタート・制限時間20分)
4kmジュニアダッシュ(AM10:00スタート・制限時間40分)
5kmファンラン(AM10:30分スタート・制限時間1時間10分)
7月7日(日)
車椅子フルマラソン(AM6:10スタート・制限時間6時間45分)
フルマラソン(AM6:15スタート・制限時間6時間40分)
車椅子15kmレース(AM6:40スタート・制限時間1時間45分)
10km(AM6:45スタート・制限時間1時間40分)
レース当日は、日本から持ってきたパックご飯にふりかけをかけて、簡単な朝食を摂ります。去年も書きましたが、ニューヨークシティマラソンやホノルルマラソン、ロサンゼルスマラソンではホテルのそばにおむすびを売っているお店がありますが、ゴールドコーストではなかなか手に入りませんので、食べ慣れた食事を食べたいランナーは、日本から持ってきた方がいいでしょう。ちなみに「どん兵衛」や「赤いきつね」といった即席うどんをレース当日の朝に食べた年もありました。
その後、今回一緒に参加したみゃこさん、牧野さん、まかランさんとロビーで待ち合わせ、最寄りのトラム駅であるブロードビーチサウス駅へ。雨は降ってなく、少し肌寒く、体感で10℃ほどでしょうか。停車していた列車に乗ろうとしたものの、残念ながらすんでのところで出発。しかしながらすぐに次の列車が到着します。ここは始発駅なので、座席に座ることができるのはありがたい。駅に停車するごとにランナーは増えていき、中心街のサーファーズパラダイス駅に着くころには満員に。例年のことですが、乗車を諦めて次の列車を待つランナーも珍しくありません。30分ほどしてスタートエリアのあるサウスポート駅に到着。大規模大会だと駅から出るだけでかなりの時間がかかりますが、スムーズにスタートエリアのあるブロードウォーターツーリストパークへ行くことができました。アメリカのマラソン大会だと小競り合いっぽい雰囲気で、「ちょっぴり殺気立ってるなぁ…」と思うこともありますが、オーストラリアではそういった経験はありません。ここでランナーは、着替えや荷物預けを済ませて指定されたスタートゾーンへと整列しますが、スタート20分くらい前でも問題ないのも嬉しいところ。ニューヨークシティマラソンや東京マラソン、大阪マラソンといった規模のレースになると、スタートからかなり前のタイミングでスタートゾーンに整列することが求められるので。
以前は、ハーフマラソンのあとにフルマラソンがスタートするスケジュールで、フルマラソンは明るくなってからの号砲でしたが、昨年から別日の開催になりました。今回は6時10分の車椅子フルマラソンの5分後の6時15分スタート。日の出は6時38分なので、真っ暗な中をしばらく走ることになります。日本で天気予報をチェックしたときは雨予報でしたが、雨の心配はなさそう。スタートエリアに到着したときも肌寒く感じましたが、後日チェックした気象データによると、実際の気温は13℃ほどと、去年の16℃よりは低かったのですが、最初に参加した2017年や2回目の2018年のスタート時気温よりは高かったようです。
今回の目標タイムは3時間50分切り。ゴールドコーストマラソンは6回目なので、いろいろレースプランを考えましたが、スタート直前に「日の出前にある程度距離を稼いでおこう!」と決めました。10km通過はこれまでで最速の52分54秒。スタートしてゴールドコーストブリッジを渡ると、今回からコースの変更があり、ホエールウォッチングツアーでも有名なシーワールドの方へと向かいます。コース変更は参加人数が増員となったための混雑緩和の解消も目的としていますが、確かに走りやすかったです。15km通過タイムは、去年よりプラス2分近く速い1時間19分28秒、20kmは去年比で2分20秒ほど速い1時間45分44秒、「このまま行けば、3時間50分切りどころか、3時間42分くらいでゴールできそう!」と、捕らぬ狸の皮算用をします。こんな感じでスムーズに走れているのは、フラットなゴールドコーストマラソンのコースと、今回セレクトした<アシックス>のメタスピード エッジ パリのおかげ。しかしながら、25kmあたりから気温が急上昇して発汗量が多くなり、それが原因でふくらはぎがピキピキと攣っているのがわかります。明らかに電解質不足です。それでも25kmのラップは2時間12分13秒、30kmも2時間40分38秒と過去最速で通過します。しかしながら、ゴールドコーストブリッジの上りで脚力を使ったために、ピキピキという痛みは我慢できないレベルとなり、遂に32kmで全く動けない状態に。沿道の応援の多いエリアだったので、元気を貰ってなんとかストレッチして再び走り始めますが、ペースはkm/6分30秒を超えており、このままでは3時間50分切りは不可能です。「とにかく歩かずに自分のベストは尽くそう。そしてなんとかサブ4は達成しよう!」と、気合を入れます。残り10km弱は身体的にはかなりキツかったですが、沿道の応援が途切れることなくパワーを貰えたので、36kmから39kmまでのラップはそれぞれkm/6分10秒ほどまで持ち直します。これは32km地点で動けなくなったことを思えば、本当に想像できないことです。41kmで再びひどい足攣りがあり、ペースダウンしましたが、先にゴールしていたくれいじーかろ選手etc.の日本語の声援もあり、笑顔でゴール。手元のカロス ペース3で3時間58分34秒(公式タイムは3時間58分33秒)でゴール。成功したとはいえないレースでしたが、諦めず最後まで走り続けたことは、自分を褒めたいと思います。また、このような満足いくレース展開でなくても、サブ4をマークできるゴールドコーストマラソンのポテンシャルの高さを再認識することとなりました。
フルマラソンはまだ暗い6時15分にスタート。徐々に明るくなっていきます。
ゴール後は完走Tシャツとメダルを受け取ります。「Congratulations!」と首にかけてもらえました。今年サプライズだったのは、デザイン&カラーリングもクールで、つくりのしっかりしたランニングキャップがもらえたこと。このキャップに関しては、アパレルの専門家であるBEAMSの牧野さんが、「日本で売ったら5000円以上するクオリティですよ!」と絶賛。そのほかにもスポーツドリンク、水、オレンジ、バナナなどを受け取り、クールダウンとストレッチを行ってレースを振り返ります。今回は芝生エリアの多くが前日までの雨で濡れていたため、芝生の上でリラックスできなかったのですが、例年はブロードウォーターツーリストパークの芝生の上で思い思いにくつろぐランナーを見ることができます。個人的には自己記録更新、3時間50分切りができなかったことは残念でしたが、最後まで走ることを諦めず、あの脚の状態でサブ4できたので満足です。来年も自己記録更新を目指してゴールドコーストマラソンにエントリーするつもりですし、PBを目指す日本人ランナーにぜひとも走ってほしいと思います。今回一緒に参加したウルトラランナーみゃこさん、BEAMSの牧野さん、まかランさんの3人とも、「来年も絶対にゴールドコーストマラソンを走りたい!」とのこと。3人のポテンシャルなら、このレースにターゲットを絞って調整すれば、自己記録更新の可能性は高いと思います。
ちなみに現在オーストラリアでは空前のフルマラソンブーム。コロナ禍以前はハーフマラソンのほうが人気が高く、レース前日でもフルマラソンにエントリーできる頃もありましたが、今年のゴールドコーストマラソンのフルマラソンの部は、エントリー募集開始からしばらくして売り切れ。来年ゴールドコーストマラソンにエントリーしたいと思う方は、下記の公式サイトをチェックして、早めにエントリーを完了してPB更新を目指してください。
GOLD COAST MARATHON
https://goldcoastmarathon.com.au/
ゴールドコーストマラソン日本語サイト
http://www.gcm.jp/