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駒沢大学の2年連続3冠か! 「第100回 箱根駅伝」をプレビュー。
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。

駒沢大学の2年連続3冠か! 「第100回 箱根駅伝」をプレビュー

第100回大会を迎える今回の箱根駅伝、フォーカスされる点は、2つ。駒澤大が箱根を制し、2年連続での3冠を達成するのか。その駒澤大をいったいどこが止めるのか――。

前回大会、大エースの田澤廉(トヨタ)を擁して大学駅伝3冠を達成した駒澤大だが、今回はそのとき以上にチーム力が上がり、史上最強とも言われるほどの戦力を保持している。駒澤大の強さは、3つの柱からなる。

一つ目は、鈴木芽吹(4年)、篠原倖太朗(3年)、佐藤圭汰(2年)の3本柱の存在だ。
彼らはチーム内でSチームに属し、卒業した田澤とともに練習をつづけている。練習レベルは、中堅の実業団レベルを超え、世界を目指すもので、非常に高度で強度も高い。世界を目指しているので、意識も非常に高く、競技に取り組む姿勢は学生たちの模範になっている。下級生は「Sチームの練習や芽吹さんたちの意識に触れるだけで大きな学びになりますし、競技をしていく上での刺激になります」と、彼らの影響力の大きさを語る。彼らがチームの厳しく、強い雰囲気を形作っているのは間違いなく、それが今の駒澤大の隙のない強さを醸成している。このムードは、作ろうにもそういう選手がいないと生まれない。そういう意味で、駒澤大は、唯一無二の空気をまとっているチームになるし、そもそも世界を目指す選手が3名もいるチームと箱根駅伝で走ることを目標にしているチームとでは、出発点が異なり、レースで大きな差が出てくるのは当然とも言える。

二つ目は、分厚い選手層だ。
特に4年生は、他のチームにいけば主要区間を走れる選手がゴロゴロしている。また、2年生の佐藤、3年生の篠原と各学年に世界を目指している選手がいるのも大きい。能力の差はあるが、基本的にそこを目指していこうという気運が高まることで、全体の底上げにつながる。実際、2年生世代は、今の4年生につながるぐらい優秀な選手が出てきている。山の区間を担うであろう山川拓馬と伊藤蒼唯、さらに12月3日の5000m記録会で13分37秒54の自己ベストを出して16名のメンバー入りした帰山侑大。3年生では、上尾ハーフで62分15秒の自己ベストを出した庭瀬俊輝が頭角を表してきた。4年生の主力を覆うように、各学年の層が厚く、他チームからすれば、「ひとり、ふたり、貸してくれよ」と言いたくなるほどの選手層だ。

三つ目は、一体感だ。
昨年3冠を達成した後、鈴木主将は、すぐに「2年連続での3冠」を目標にした。大きなターゲットだけに、それを達成するためにはチーム一丸となって進んでいかなければならない。普段の練習から厳しさを求め、その先頭に鈴木が立ち、引っ張った。エースで主将が前に立てば、その後につづけと、下級生がついていく。このとき、常に鈴木が戦列を離れず、常に前にいたのは非常に大きい。というのも、3年までの鈴木はケガが多く、シーズン通して走れることがほとんどなかったのだ。主将がいつも練習にいて、前にいることでの安心感は大きく、他選手は「芽吹さんがやっているんだから自分たちもがんばろう」という気持ちになる。やる気がチーム内に充満し、駅伝で勝つごとにチームは自信を増していった。一方で駅伝を走れない選手は、チーム内で献身的なサポートを見せた。主力とサポート組ががっちりと噛み合い、箱根に向けて一体感が増した。箱根のエントリーで落選した選手は、心の持っていき方が難しくなり、時には不満分子になったりするが、駒澤大にはそういう声は一切なかった。箱根までの大事な期間に、ひとつにまとまっているのは総合力とイコールなので、そこからも駒澤大の強さが見て取れる。

駒沢大学の2年連続3冠か! 「第100回 箱根駅伝」をプレビュー

この駒澤大に他校が挑むことになる。
戦力点な観点からいうと、総合順位で駒澤大に対抗できるのは、青学大、中央大、国学大、創価大、そこに早稲田大、城西大が続く感じだろう。だが、正直なところ駒澤大の選手が全員100%で走った場合、他校の勝ち目は非常に薄い。タイムで見ても1万mの上位10名の平均は、28分21秒17でトップ、この中には27分台の選手が3名もいる。距離はハーフなので難しいという見方もできるが、距離対策は十分であり、主力はハーフでも強い。選手の個性と走力を見極め、戦略家の藤田敦史監督は隙のない区間配置を実現するだろう。

その駒澤大を倒す可能性があるとすれば、隙がないだけに、その隙が生じたときにいかにそれを活かせるかということに尽きる。駅伝において全10区間、パーフェクトに走るというのは非常に難しい。そうなった場合には、素直に白旗を挙げるしかないが、簡単にいかないのが箱根駅伝でもある。また、距離がハーフなので、調子が悪いと誤魔化して走るのが難しい。そうなった場合、確実に順位を下げる、あるいは距離を詰められることになる。

そのためには、常時、駒澤大にプレッシャーをかけ続けることが肝要だ。とにかく前半の3区間まで駒澤大が見える距離でレースをする、あるいは前に出てレースを作る。おそらく前半区間で勝負をつけることを考えている駒澤大が、なかなか前にいけない、離せないとなると、後続の選手のプレッシャーは大きくなる。特にその区間に強い、速い選手がいる場合、心理的にかなり追い込まれた状況で走ることになり、自分の走りを見失ってしまうこともある。そういう状況を復路まで、いかにつづけていけるかということ。青学大の原晋監督は、「それまで2位以下のチームが束になって駒澤大に挑んでいかなければなりません」と共闘を呼び掛けていたが、今の駒澤大を倒すには、そのくらいのパワーが必要だということだ。

駒沢大学の2年連続3冠か! 「第100回 箱根駅伝」をプレビュー

箱根駅伝に絶対はないが、駒澤大の今季の強さは、その絶対の域に達しつつある。神的な強さを持つ駒澤大を倒せば、そのチームはこれから箱根駅伝が続く限り、永遠に語り継がれることになるが、果たして、歴史はどのチームを選ぶのか。100回大会は、まさに歴史的なレースになるだろう。

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