パリの地でKIPRUN<キプラン>のグローバルローンチイベントが開催された!
KIPRUN<キプラン>は、世界最大規模のスポーツ用品チェーンストアであるDECATHLON<デカトロン>より2024年3月に独立展開。以来、ワールドワイドで存在感を高めることに成功しているが、今年の4月に世界中からメディア、インフルエンサ―etc.をフランスのパリに招待し、ブランドの未来、コンセプトを発信するグローバルローンチイベントを開催。新たなブランドビジョンと製品ラインアップが発表されたこのイベントに南井編集長が参加した。
個人的にもDECATHLONで取り扱っているランニングアイテムを長年愛用してきた。上級アスリート向けのKIPRUNだけでなく、KALENJI<カレンジ>のジョギングシューズやEVADICT<エバディクト>のトレイルランニングギアやウェアなど、実際にランニング時に使うことで、その優れた機能性とコストパフォーマンスの高さには驚かされ、知り合いのランナーに薦めることも多かった。
昨年3月のDECATHLONのブランド再編により、ランニングカテゴリーはKIPRUNのブランドに集約され、ある意味シンプルかつユーザーにとってわかりやすいラインアップとなった。ちなみにKIPRUNのブランド名は、レースの沿道で応援する人々の声援“Keep Running”から命名され、ブランドの目的である「WE ARE COMMITED TO SUPPORT EVERYONE TO KEEP RUNNING SO THEY CAN EXPLORE THEIR POTENTIAL AND GROW-誰もが走り続けることを支援し、その可能性を探求し成長するための存在-」を反映している。

新しいロゴのKは陸上競技のスターティングブロックを模っている。
今回KIPRUNが世界中から数多くのメディアやインフルエンサーを招待し、パリの著名な観光スポットのひとつである、レピュブリック広場(共和国広場)そばの歴史ある建物の一角でローンチイベントは行われた。
会場内部には先鋭的なアート活動で知られるフランスのクリエイティブ集団「OBVIOUS(オブビアス)」とタッグを組み、テクノロジーと芸術が融合した革新的なアパレルコレクションが展示されており、そのインパクトのあるデザインが来場者の目を奪った。これらのエリート向けキットは、AI技術を用いて生成された、ひとつとして同じものが存在しないパターンを各アイテムに採用。スピード感あるトラックの直線と、自然の起伏を思わせるトレイルの曲線を組み合わせたデザインは、個人の進化と仲間とのつながりという、ランニングの持つ2つの側面を象徴。KIPRUNが掲げる「機能性×表現力」の融合を体現するコレクションとなっている。そして、熱圧着など縫製を最小限とした製法は、長時間での着用でも快適で走りを阻害しない着心地を、1分1秒を争うトップアスリートに提供する。

イベント会場に展示されていたテクノロジーと芸術が融合された革新的なエリートキット。フランスのクリエイティブ集団「OBVIOUS」とタッグを組んで完成。
プレゼンテーションは、まずCEOのAnthony DULIEUより、KIPRUNのブランドコンセプトと目標etc.が発表された。次に、デザイン ディレクターのBenoit BURONFOSSEよりニューロゴの由来が発表された。独特な形状のKは、陸上競技のスターティングブロックを模っており、「サポート、衝動、ダイナミズム」を象徴している。そして、個人的には元々の母体であるDECATHLONが、すべてのスポーツカテゴリーにおいて、誰もが買い求めやすいビギナー向けプロダクトを取り揃えることで、競技を始めること、すなわちスタートを後押ししていることを思い出した。
次に、KIPRUN契約アスリートの活躍ぶりが、チーフ マーケティング オフィサーのJulien VANCAUWENBERGHEよりプレゼンされた。リオデジャネイロオリンピック、東京オリンピックにおいて2大会連続でメダルを獲得したPaul CHELIMO、UTMBの女子総合で2023年に3位、2024年は5位入賞したBlandine L‘HIRONDELといった契約アスリートの活躍をKIPRUNがサポートし、一方で製品開発には、彼らからのフィードバックが不可欠である。Paul CHELIMOとBlandine L‘HIRONDELの2人にはインタビューする機会があり、Paul CHELIMO は「このブランドの魅力的な部分は、まずはじめにアスリートをサポートする体制がとても充実していることです。ケニアに42 HOUSEを建設して若い才能を見出す活動を行っていることは、その象徴といえるでしょう。また、プロダクトの機能性はどのブランドと比較しても遜色のないレベルに達していることに加え、カラーリングやデザインも高いレベルに到達していると思います」とコメントし、Blandine L‘HIRONDELは、「私自身フランス人なので、フランスのブランドであるということで、各部署のスタッフとコミュニケーションが取りやすいのは、私にとってとてもありがたいことです。さまざまな細かい要望をダイレクトに伝えることができ、契約選手という立場というより、家族のように扱ってもらえることも嬉しいです」と教えてくれた。そして印象的だったのが、Julien VANCAUWENBERGHEのプレゼンの最後で表示されたのがSEE YOU AT THE FINISH.のFINISH の部分が棒線で消されて、SEE YOU AT THE STARTINGとなっていたこと。まさにKIPRUNというブランドらしいメッセージであった。
プロダクトのプレゼンテーションへと移り、シューズ プロダクト マネージャーのRomain DEGEZELLEより、一般ランナー向けシューズの「KipX」が紹介され、このシューズはKIPRUNが目指すサステナブル・ランニングの未来像を体現したプロダクトであり、製造工程では、環境に負荷をかける接着剤を使用することなく、独自の特許技術でソールユニットとアッパーの一体化に成功。これによりCO2排出量を26%削減するとともに、アッパーとソールを単一素材で設計することで、リサイクルもしやすくなっているという。さらに、実際に履いたランナーに聞くと、「アッパーとミッドソールの間に接着剤の層がないことで、クッションのよさを足裏で感じやすい」としている。
そして、インターナショナル オファー ディレクターのPierre-Emmanuel GAILLARDが、「KD 900X LD2」、「KD 900X LD+」といったレーシングシューズのラインアップを紹介。先日のヨーロッパランニング選手権のハーフマラソンで、自己記録の59分45秒で金メダルを獲得したフランスを代表するランナーであるJimmy GRESSIERのビデオメッセージに続いて、シューズ テクノロジー ディレクターのDavid DRURYより、167g(サイズEUR42)という同ブランド史上最軽量の「KD 900X Lab」が9月に発売されることが発表されると、会場内は最高潮に盛り上がった。
このシューズは耐久性、安定性、スピードを犠牲にすることなく比類なき軽量化に成功しており、会場に展示された「KD 900X Lab」のサンプルを実際に触った来場者からは「早くこのシューズで走りたい!」「これなら自己記録更新できそうだ!」といった声が聞かれた。

アッパーとソールユニットの一体化に接着剤を用いない「KipX」は、CO2排出量を26%削減するとともに、アッパーとソールを単一素材で設計することで、リサイクルもしやすくなっている。

「KD 900X LD2」は、カーボンプレート内蔵ながら、進み過ぎることが無くRunners Pulse本誌で南井編集長がレビューしたようにスピードコントロールしやすい1足だ。

今回のグループランで多くの参加者が着用したのが「KD 900X LD+」。反発性に優れたミッドソールとカーボンプレートを組みあわせることで、業界トップレベルの推進力を誇るが、着地安定性にも優れている。

サンプルが壇上に飾られると同時にイベント参加者の注目を集めた「KD 900X LAB」。167g(サイズEUR42)という超軽量性を誇る最新レーシングモデル。今年の9月に限定発売予定となっている。

プレゼンテーションの途中で、2大会連続五輪メダリストとなったPaul CHELIMOと、フランスを代表するマラソンランナーで、パリ五輪代表であったMeline ROLLINのミニトークショーも行われた。
プレゼンテーションが終わると、グループランが行われた。6kmを「KD 900X LD+」を履いて走り、このシューズの走行性能の高さを体感することができた。このシューズで特に感じたのは、カーボンプレート内蔵、高反発ミッドソールを採用した推進力の高いレーシングシューズでありながら、着地安定性に優れ、ペースコントロールがしやすいところ。「速く走らされている…」といった感覚がなく、トータルバランスに優れた走行性能を有しているところも嬉しい。そして「KD 900X LD2」よりも明らかに推進力がアップしているので、機会があれば勝負レースで履いてみたいと思った。
今回集まったメンバーは、KIPRUN以外にさまざまなブランドのハイパフォーマンスモデルもトライ済みだが、「ほとんどのブランドのスーパーシューズと比較しても遜色ないよね!?」「特に着地安定性は本当に高いレベルにある!」といった声が聞かれた。「KD 900X LD+」に関しては、すでに日本でも展開されているので、ハーフマラソンやフルマラソンで自己記録更新を狙うランナーにぜひトライしてほしい1足である。

世界中から集まったメディア、インフルエンサーとグループラン。KIPRUNのランニングシューズの走行性能の高さを体感することができた。

グループラン参加者の足元の多くは「KD 900X LD+」が飾った。