• instagram
  • youtube
  • rss
スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
  • instagram
  • youtube
  • rss

Warning: Undefined array key 0 in /home/r4081379/public_html/runnerspulse.jp/wp/wp-content/themes/runnerspulse/author.php on line 17
年に数日しか入れない「オレンジ郡のヨセミテ」で行われたトレイルランニングレース

Warning: Undefined array key 0 in /home/r4081379/public_html/runnerspulse.jp/wp/wp-content/themes/runnerspulse/author.php on line 52
角谷 剛
アメリカ・カリフォルニア州在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持ち、現在はカニリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務めるほか、同州ラグナヒルズ高校で野球部コーチを兼任。また、カリフォルア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に電子書籍『ランニングと科学を斜め読みする: 走りながら学ぶ 学びながら走る』がある。https://www.amazon.co.jp/dp/B08Y7XMD9B 公式Facebook:https://www.facebook.com/WriterKakutani

年に数日しか入れない「オレンジ郡のヨセミテ」で行われたトレイルランニングレース

アメリカ・カリフォルニア州に在住し、同州の高校でクロスカントリー走部のヘッドコーチを務める角谷剛氏による連載コラム。今回は、米国ロサンゼルス郊外で、12月に行われたトレイルランニングレースに参加した様子をお届けします。年に数日しか入れないという「オレンジ郡のヨセミテ」を舞台にしたローカルレース。果たしてその結果やいかに。

地元ロサンゼルス郊外、オレンジ郡で行われたトレイルランのレースを走ってきました。距離はおよそ28km。累積標高差は1230m。めちゃくちゃきついというわけではありませんが、それなりに歯ごたえのあるコース設定です。

このレースのウリはめったに立ち入ることができないトレイルを走り、めったに見られない風景を眺められることです。Irvine Regional Parkという大きな公園からスタートし、すぐに山の中に入っていき、ぐるりと回ってスタート地点に戻ってくる周回コース。その大半を占めるのが、Fremont Canyonと呼ばれるエリアです。

Fremont Canyonは自然保護のため、普段は一般の立ち入りが禁じられています。年に数回の公開日か、許可されたレースでしか入ることができません。私の自宅からは車で30分ほどの距離ですが、「近くて遠い」ランニングコースなのです。

年に数日しか入れない「オレンジ郡のヨセミテ」で行われたトレイルランニングレース

コース地図

実はこのレースを走るのは今回が初めてではありません。6年前にも同じコースを経験しています。

ただ、そのときは天候に恵まれませんでした。ずっと曇り空で、濃霧で視界が遮られた時間もあり、「オレンジ郡のヨセミテ」とも呼ばれる景色をほとんど見ることができなかったのです。せっかく参加費を払ったのに、と悔しい思いをしながら走っていたことを覚えています。むろん誰を責めることもできないのですが。

6年越しの絶景。

幸い、今年のレース当日は朝から雲ひとつない青空が広がっていました。スタート時刻は午前7時45分。山に囲まれた盆地のような地点なので、太陽の光がまだ届いていませんでした。そのため、走り始める前は長袖のTシャツを重ね着する程度には肌寒かったのですが、30分もすると暖かくなり、ほとんどのランナーが半袖+ショートパンツ姿という、いつもの南カリフォルニアらしいレース風景になりました。

このレースは、最近のトレイルランでよくある“cupless”というルールを採用していて、エイドステーションでは使い捨ての紙コップが提供されません。言うまでもありませんが、ゴミを削減し、自然を守るためです。ランナーは自分の水筒やボトルを携行することが義務づけられています。それもあって、ほぼ全員がバックパックを背負って走ります。脱いだ上着もそのバックパックに収められるわけですね。

年に数日しか入れない「オレンジ郡のヨセミテ」で行われたトレイルランニングレース

まだ薄暗かったスタート前。参加者は120名程度。

レース前半はひたすら登りです。太陽が高くなるにつれ、光と影のコントラストが濃くなってきました。乾いた谷がゆるやかにうねり、その向こうにまた別の稜線が続いています。高い場所からは視界が一気に広がり、遠くには海が見えます。まるで立体的な地図を眺めているようでもありました。

南カリフォルニア一帯は半砂漠気候です。トレイルには樹木は少なく、乾いた大地が広がっています。行く手を遮る雑草もあまり生えません。日本の自然のような繊細な美しさには欠けますが、見晴らしが良く走りやすいとは言えるでしょう。

むろん世界的に有名な「本物」のヨセミテ国立公園の眺望とは比べようもないのですが、私にとっては6年越しの絶景でした。そこまでは良かったのです。

年に数日しか入れない「オレンジ郡のヨセミテ」で行われたトレイルランニングレース

「無理をしないで眺めを楽しもう」のつもりだったが…

アップダウンの多いコースですので、タイムや順位を狙って走るとなると、かなり厳しいレースだと思います。しかし、今回の私は最初から無理をしないつもりでした。登りは歩いて、平坦な部分や下りになったら走ろう。トレイルランというよりは、ちょっとペースの速いハイキングくらいのつもりで、眺めを楽しもう。そんな目論見でした。

そんな作戦とも言えないほどの作戦ですが、前半は想定通りに物事が進んでいました。登りを歩いている間に数人に抜かれ、下りになると抜き返す。そんなことを繰り返しながら、所々で立ち止まり、写真撮影に興じておりました。

ところが、コースも後半に入り、ここからは基本的に下り基調でゴールに向かうだけ、というタイミングで、太ももの前面に違和感が出始めました。下りだというのに脚が重く、時折鋭い痛みも走ります。次第にそれは痙攣の予感へと変わっていきました。

太ももの前面は主に下りで身体を支える筋肉です。ランニング中の故障と言えば、普通はふくらはぎやハムストリングスといった脚の裏側が痛くなることが多いのですが、今回の私に関しては、登り坂では歩いて脚を温存した分、下り坂でスピードを出し過ぎたようです。

下りは楽に走れる分、ついつい油断してしまいます。登り坂に比べると、呼吸も苦しくなく、ペースも自然に上がります。しかし、その分だけ着地衝撃も大きくなります。とくに傾斜が険しく足元も不安定なトレイルでは、スピードを調整しながらブレーキをかけることの繰り返しです。知らず知らずのうちに筋肉への負荷が蓄積していたのでしょう。

そもそも、下りの「楽さ」は自分の実力から来たものではありません。調子に乗っていると、後で痛い目にあうよ。と頭の中では分かっていても、これまでに何度も下りで脚を痛めてきました。まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」です。反省して次回から慎重になればいいのですが、アホは生まれつきなので仕方ありません。

そんなわけで、レース後半の5~6kmくらいをとぼとぼと歩く羽目になりました。本来なら楽なはずの下り坂ばかりなのですが、少しでも走ろうとすると脚が攣りそうになるのです。当然、後ろからどんどんと抜かれていきます。雄大な景色もさすがに見飽きてきました。脚はますます痛くなり、お腹も空きました。はっきり言って、楽しい要素はひとつもありません。

年に数日しか入れない「オレンジ郡のヨセミテ」で行われたトレイルランニングレース

いつものことながら思った「次こそは上手くやろう」。

これが街中のロードレースなら途中リタイヤという選択肢もあったでしょう。しかし、ここは山の中。ランナーを収容してくれるバスはありませんし、タクシーだって通っていません。痛かろうと、苦しかろうと、とにかく自分の足を進めてゴールに辿り着かなくてはならない。それがトレイルランの辛いところでもあり、また醍醐味でもあります。

6年前にこのレースを走ったときは、悪天候で景色が眺められなかったこともあって、走りそのものには集中できていました。3時間ほどでゴールし、年代別順位では2位にもなりました。天候と眺望に恵まれた今回のタイムは4時間超。年代別順位は逆に最下位から2番目という体たらくでありました。

同じトレイルでも、走る日によっては、見える景色も、身体の反応もまったく違います。前回は天候に恵まれず、今回は自分のミスで満足に走れない。なかなか上手くいきません。

ゴールした直後こそ体はヘトヘト、気分は最悪でしたが、家に帰りついて、シャワーを浴びたころには、「さあ、来年はもっと頑張らないといけないな」なんて考えていました。懲りないのはいつものことです。次回こそ最後までニコニコと気分良く走り続けられるように人事を尽くし、お天気だけは運に任せます。

CATEGORIES