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“Born to Run”―走るロックスターたち

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角谷 剛
アメリカ・カリフォルニア州在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持ち、現在はカニリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務めるほか、同州ラグナヒルズ高校で野球部コーチを兼任。また、カリフォルア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に電子書籍『ランニングと科学を斜め読みする: 走りながら学ぶ 学びながら走る』がある。https://www.amazon.co.jp/dp/B08Y7XMD9B 公式Facebook:https://www.facebook.com/WriterKakutani

“Born to Run”―走るロックスターたち

アメリカ・カリフォルニア州に在住し、同州の高校でクロスカントリー走部のヘッドコーチを務める角谷剛氏による連載コラム。今回は、大物ミュージシャンたちとランニングの関係を少し探ってみます。年を重ねても精力的に活動できるその秘訣。その一つの要素に、どうやらランニングもあるようです。

ブルース・スプリングスティーンの伝記映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』が、日本では11月14日から公開されましたね。見ましたか? 私は一足先にアメリカで2回見ました。

ランニングと何の関係があるの? とお思いでしょうが、じきに繋がりますので、どうかもう少し我慢して読み続けてください。

英米では、大物ミュージシャンの伝記映画は定番ジャンルのひとつと言えます。今年惜しくも亡くなったヴァル・キルマーさんが、ジム・モリソンを演じた『ドアーズ』(1991年)などはもはや古典作品ですね。とくに最近は、フレディ・マーキュリー『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)、エルヴィス・プレスリー『エルヴィス』(2022年)、ホイットニー・ヒューストン『I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』(2022年)、ボブ・ディラン『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024年)、と立て続けの様相を示しています。

スプリングスティーンの映画もこの系譜に連なる作品ではあるのですが、私見ではひとつだけ他作品とは異なった特徴があります。映画の本筋とは関係ありませんので、ネタバレにはならないでしょう。あくまで私にとっての驚きであったのは、この作品中に酒やドラッグが一度も登場しないことです。

酒やドラッグに溺れて破滅的な人生を送り、そして若くして命を落とす。一昔前はロックスターと言えばそんなイメージがありました。モリソンもプレスリーもマーキュリーも、歌姫ヒューストンでさえそうでした。前述した彼らの伝記映画では、酒やドラッグが重要な要素のひとつとして扱われています。

ところが、スプリングスティーンは酒もタバコもドラッグも一切やりません。そしてランニングや筋力トレーニングで体を鍛え、デビューから半世紀以上を過ぎた現在でも精力的なライブ活動を続けています。

ブルース・スプリングスティーン

 
 
 
 
 
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健康に留意して、日常的に走る。そんなライフスタイルを実践する、新しいタイプのロックスターは、実はスプリングスティーンだけではありません。

それでもスプリングスティーンを「走る」ロックスターの代表に挙げたいのは、何といっても出世曲の『Born to run』が私のもっとも好きな曲でもあるからです。「走るために生まれた」―同タイトルの世界的ベストセラー書籍がランナーたちの間では有名ですが、むろんスプリングスティーンの曲の方がずっと先です。

スプリングスティーンは 1949年生まれ(2025年時点で76歳、以後すべて同じ)。若い頃から一貫して非常にストイックな体づくりを続けています。その一部にはランニングも含まれているとのこと。Business Insiderの記事によると、3時間以上にも及ぶコンサート後の翌朝でもジムでウェイトトレーニングを行い、さらに有酸素運動としてトレッドミルでのランニングを行う、とあります。

「ザ・ボス」の愛称で呼ばれるスプリングスティーンは、単なるロック歌手ではありません。社会的・文化的な影響力も非常に強い存在です。最近ではステージの上からトランプ米国大統領を強い口調で批判したことでも話題になりました。

半世紀以上も衰えることなく走り続ける、「枯れない」ロックスター。そのエネルギーの源は日々の節制と鍛錬の賜物のようです。

ジョン・ボン・ジョヴィ

 
 
 
 
 
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ジョン・ボン・ジョヴィは 1962年生まれ(63歳)。スプリングスティーンと同じく、ニュージャージー州の出身です。彼が率いるバンド「Bon Jovi」は、80年代末に大ヒットを連発し、ハードロックの象徴的存在でした。

ちなみに私はまさに直撃世代です。高校生の頃、『Livin’ on a Prayer』とか『You Give Love a Bad Name』なんかはカセットテープが擦り切れるまで聴きました。Bon Joviはそれくらい大昔から活躍しているバンドなのです。

ボン・ジョヴィもまた、長年にわたりトレーニングを日常に取り入れてきました。ランニングや筋トレにのめり込み、その過程でさまざまな故障を経験したそうですが、60歳を越えた現在も、週に5~6日は朝のトレーニングを欠かさないとMen’s Healthの記事で紹介されています。

ボン・ジョヴィは、慈善活動の分野でも非常に影響力が大きい人物です。JBJ Soul Foundation(ジョン・ボン・ジョヴィ・ソウル財団) を設立し、ホームレスや低所得者を支援する活動を行っています。また、2024年9月には、ミュージックビデオの撮影中に、橋から飛び降りようとしていた自殺志願者を説得・救助したことがニュースになりました。

「コミュニティを助けることは、自分を助けることでもある」と語るボン・ジョヴィ。まさにヒーローです。

エミネム

 
 
 
 
 
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スプリングスティーンもボン・ジョヴィも、一貫してアメリカ社会の貧困層やブルーカラーの心情をリアルに表現してきました。「史上もっとも成功したラッパー」と称されるエミネムもそうなのですが、世間的な人間像はやや異なるかもしれません。前記2人のそれがポジティブな人格者だとすれば、エミネムには「過激」とか「不良」とかの形容詞がつきまといます。

エミネムは 1972年生まれ(53歳)。半自伝的映画『8 Mile』の主題歌『Lose Yourself』が大ヒットを飛ばした2002~2023年頃がキャリア初期の最盛期でした。しかし、その後は薬物乱用による体調不良がたびたび伝えられ、2007年頃には精神病院で入院生活を余儀なくされました。ある意味では、伝統的なロックスターのスタイルを身に纏っていたわけです。

しかし、エミネムは自らの選択と努力によって人生の危機を乗り越えました。ドラッグ依存から抜け出し、回復のために始めたランニングが大きな支えとなったことを、The Guardianの記事で語っています。

「僕は中毒者の脳を持っている。走り始めると、思わずやり過ぎてしまうんだ。1日 17 マイル(約27km)走ったこともある。朝起きてスタジオに行く前に 8.5 マイル走って、帰宅してもう 8.5 マイル。毎日2000カロリーを燃やすことに執着していた。一つの依存を別の、体に良い依存に置き換えたわけだ」

2025年4月には娘さんに子どもが生まれ、「おじいちゃん」になったエミネム。それでも、相も変わらず放送禁止用語が満載のパワフルな作品を生み出すエネルギーは健在です。頑張って走って、体力をつけて、いつまでも「ろくでもない不良」のままでいてほしい。ファンの私はそう願っているのです。

レニー・クラヴィッツ

 
 
 
 
 
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レニー・クラヴィッツは 1964年生まれ(61歳)。ロック、ファンク、ソウルを自在に行き来する多彩なスタイルで知られ、幅広いリスナー層を持ちます。その音楽は芸術性が高く、ロックスターと呼ぶより、アーティストと呼ぶべきかもしれません。

クラヴィッツはファッショナブルな容姿と服装で知られますが、フィットネスに関しても独自の哲学があるようです。The Guardianの記事で以下のように語っています。

「深夜2時に90分トレーニングしたこともある。僕にとっては日常のルーティンだからだ。体、精神、魂。これら3つの要素を調和させることが大事だと考えている。調和がなければ、ただ鍛えただけの体になってしまう。見せかけだけの体には興味はない」

白人でユダヤ系の父と、黒人でバハマにルーツを持つ母との間に生まれたクラヴィッツは、人種・文化の境界を越えるアーティストです。特定の音楽ジャンルにこだわらないスタイルは多くの人に影響を与えてきました。健康や自己管理に対する姿勢もロールモデルになり得るのではないでしょうか。

ミック・ジャガー

 
 
 
 
 
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さて、走ろうと走らなかろうと、ロックスターを語るなら、この人は外せません。ローリング・ストーンズのリードボーカル、ミック・ジャガーは 1943年生まれ(82歳)。1962年に結成・デビューして以来、60年以上の長きに渡ってロック界の第一線を走り続けてきました。まさに生きる伝説です。

ローリング・ストーンズは、2024年に18年振りとなる新アルバム『Hackney Diamonds』を発表し、北米を中心にコンサートツアーを行いました。まだまだ現役バリバリなのです。80歳を過ぎたリードボーカルのジャガーは、以前と変わらぬ細身の体にぴったりしたジャケットを着込み、元気いっぱいにステージ上を走り回り、さらに飛び跳ね、あの魔術的なシャウトで観客を熱狂させました。

ローリング・ストーンズ公式Youtube:2024年ツアー開幕ライブ

その長いキャリアのなかで、ジャガーは食生活に気を配り、定期的なトレーニングを続けてきました。ワイルドな風貌に似合わずとは失礼かもしれませんが(でもきっと大勢の人がそう感じているはず)、健康オタクと称されることもあります。

FOXニュースの記事によると、現在でも週2回はダンスのリハーサル、さらにジムでのワークアウトも取り入れているそうです。元体育教師で93歳まで生きた父親の影響も大きいと述べています。

2025年に予定されていたローリングストーンズのヨーロッパツアーは中止されました。ジャガーや同じく80代になった他メンバーの健康問題が噂されましたが、彼らはそれを否定。中止の理由は会場やプロモーターとの交渉が不調だったことにあり、2026年にはツアーを再開する意向だということです(Yahooニュースより)。

日本のロックスターは走っているか

酒やドラッグに溺れる破滅的なロックのイメージとは一線を画し、むしろ健康的な食事とトレーニングを継続する自己管理によって「長くロックし続ける」。そんな姿勢を見せてくれているロックスターは、日本でも何人か思い浮かべることができます。

たとえば、矢沢永吉(76歳)、浜田省吾(73歳)、小田和正(78歳)。彼らの音楽やスタイルはそれぞれ異なりますが、2025年現在も精力的に活動を続けている点で共通しています。

きっと、その陰には健康的なライフスタイルと日常的なトレーニング習慣があるのだろうと想像するのですが、実際はどうなのでしょうか? スーパースターには努力する姿を見せない美学があるのかもしれませんが、社会的影響力が大きい彼らには、ぜひその辺りも明らかにしてほしい。私はそう思います。

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