• instagram
  • youtube
  • rss
スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
  • instagram
  • youtube
  • rss

Warning: Undefined array key 0 in /home/r4081379/public_html/runnerspulse.jp/wp/wp-content/themes/runnerspulse/author.php on line 17
キャンプ&ランのススメ

Warning: Undefined array key 0 in /home/r4081379/public_html/runnerspulse.jp/wp/wp-content/themes/runnerspulse/author.php on line 52
角谷 剛
アメリカ・カリフォルニア州在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持ち、現在はカニリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務めるほか、同州ラグナヒルズ高校で野球部コーチを兼任。また、カリフォルア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。 公式Facebook:https://www.facebook.com/WriterKakutani

キャンプ&ランのススメ

アメリカ・カリフォルニア州に在住し、同州の高校でクロスカントリー走部のヘッドコーチを務める角谷剛氏による連載コラム。第8回を迎える今回は、アメリカで実践しているキャンプとランの素晴らしい関係と、その魅力について。そして、「大人のためのサマーキャンプ」と呼ばれる、コロラドロッキーを舞台にしたレースもご紹介します。

先日、カリフォルニア州北部にあるタホ湖近くにテントを張り、付近のトレイルを走るという数日間を過ごしてきました。

朝の涼しいうちに走り、日中はのんびり遊び、夜は焚火をして、火が消える頃にテントに入り、気絶したようにぐっすりと寝る。翌朝はまた走るというパターンです。

キャンプとランを組み合わせる。略してキャンランが今ランナーの間でトレンドです。というのはウソです。そんな言葉はありません(たぶん)。ありませんけど、それを楽しむキャンパー、あるいはランナーは私以外にもたくさんいます。

何ものにも代えがたい早朝の数時間

キャンプ&ランのススメ

早朝のタホ湖。

ところで、キャンプ生活とは意外に退屈なものです。ソロキャンパーの私にとってはとくにそうです。1泊か2泊くらいだと、テントを張ったり、逆に畳んだりすることにけっこう時間がかかりますし、それが済めば、あれもやろう、これもやろうと忙しいのですが、3日目、4日目となるにつれ、あり余るヒマと自由を持て余すようになります。

なにしろキャンプ場には、テレビもなければインターネットもなく、下手をすれば携帯電話の電波すら届きません。日頃慣れ親しんだ、外部からの刺激が一切なくなるわけです。つまり、ヒマつぶしも自力で方法を見つけないといけません。

なかにはBBQや野外料理に凝る人もいますが、私はそうではありません。キャンプ中は「死なない程度に食べる」が基本で、お腹が空くとバナナやらミックスナッツやらプロテイン・バーやらを口に入れるくらいですので、食事にちっとも時間は潰れません。

あくまでも私の場合ですが、キャンプ生活でもっとも大切な時間は早朝の数時間です。キャンプ場は湖畔や川岸にあることが多く、その「水」を含めた景色が一日でもっとも美しくなるのは朝日が昇る時間帯だと思うからです。もちろん、私の主観に過ぎません。

まだ夜が明け切らないうちに寝袋から抜け出し、コンロでお湯を沸かしてコーヒーを飲み、アタマがすっきりしてきたら、ゆっくりと走り出します。空気は冷たく、澄んでいます。暗かった山々が刻々と色を変えていき、朝霧が水面を流れていくのが見えます。トレイルにはすれ違う人もいません。

キャンプ&ランのススメ

タホ湖畔のトレイル。

そんな神々しい時間も長くは続きません。太陽が上がり、空気が緩み、周りのテントからガヤガヤと人が這い出して来る頃には、神聖なるキャンプ場もだいぶ俗っぽくなります。

しかし、文字通りの「朝飯前」に至高の時間を過ごしてさえいれば、どれだけキャンプが長くなっても気持ちがダレることはありません。満ち足りた気分で一日の残りを過ごすことができます。繰り返しますが、私の場合はそう感じる、というだけですけど。

究極のキャンプ&ラン「大人のためのサマーキャンプ」の思い出

キャンプ&ランをやってみようとするとき、最大の問題は「どこに行こうか?」かもしれません。景色がきれいで、キャンプができて、走るコースがあって、万が一の時には助けを呼ぶことができて、と考えれば考えるほど、そんな場所を見つけることは難しくなります。

そうしたやっかいな問題を一挙に解決してくれるイベントがアメリカにはいくつかあります。コロラドロッキー山脈を、テントで寝泊まりしながら6日間かけて約200kmを走るレース、Transrockies Run(レース公式ウェブサイト:https://www.transrockies-run.com/)もそのひとつです。

私は2021年にこのレースに参加しました。これまでに数えきれないほどたくさんのレースを走ってきましたが、心の底から「きつかった、でもやり切った」と思える数少ない経験のひとつです。

6日間はぶっ通しではなく、毎日異なるレースが行われます。どれも周回ではなく、スタートからフィニッシュまでの片道コースです。つまり、ランナーたちは集団で山中を移動するわけです。

キャンプ&ランのススメ

コロラドロッキーで眺める「ご来光」。

移動距離は1日平均32km。そのほとんどが標高3,000m以上の高地で行われ、そのなかには富士山より高い山に登る日も含まれています。きつい、と先に述べた意味が分かってもらえるでしょうか。

その一方で、あれほどラクで快適なキャンプ生活もありませんでした。なぜなら、ランナーは自分でテントを張る必要がないし、テントを畳む必要もなかったからです。全員のテントがスタッフによって用意されていて、寝袋や荷物もスタッフが運んでくれました。食事はテント村で用意され、シャワーや簡易トイレも設置されていました。

ランナーはただバックパックのみの軽装で、ひとつのテント村から次のテント村までのコースを走るだけ、というわけです。毎朝7時にレースがスタートし、3~5時間かけてゴールすると昼頃になっています。午後はテント村でのんびり過ごし、翌朝また走り出す。その繰り返しが6日間続きます。それがすべて、雄大なコロラドロッキーの山中で行われるのです。

キャンプ&ランのススメ

ある日のテント村。

いわばキャンプ&ランの美味しいところだけを凝縮したようなレースです。キャッチフレーズは” Summer Camp for Big Kids”(大人のためのサマーキャンプ)。アメリカのみならず、世界中のランナーに人気があります。2021年はパンデミックの影響もあって、日本人参加者は私ひとりでしたが、過去には何人か走っているそうです。

6日間はちょっと無理だな、と思う人には3日間コースもあります。毎年売り切れになるこのレース、2025年は8月4~9日に開催ということです。興味のある人は、上の公式ウェブサイトで詳細を確認してみてください。「一生に一度の冒険」なのだそうです。私も同感です。

キャンプ&ランのススメ

レース前夜祭でのランナー集合写真撮影。

CATEGORIES