スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
COLUMN

【ボストンマラソン】 映画で感じる世界最古のフルマラソン

2018.04.11
Kazuya Yokosawa

みなさん、こんにちは。
いよいよ4月に突入して、大型連休前にマラソンの出場を予定されている方はラストスパートですね!

さて早速ですが、みなさんに質問です。現在開催されているマラソン大会の中で、日本最古の大会はどれか、ご存知でしょうか? 正解は、3月の第1日曜日に開催される「びわ湖毎日マラソン」です。1946年に第1回目が開催され、場所を変えながらも、今年が73回目の開催。歴史がありますね。

それでは、世界最古のマラソン大会はどの大会か、みなさんはご存知でしょうか? 正解は、4月の第3月曜日、パトリオット・デイ(愛国者の日)に開催される「ボストンマラソン」です。今月の開催で何と122回目! 100回を超える大会は世界でたった一つなのです。日本のびわ湖毎日マラソンより50回近く多く開催されているなんて驚きですね。

ちなみに2番目は、今年3月に89回目を迎えた「ソウルマラソン」だと思っていましたが、スロバキア第2の都市・コシツェで開催される「コシツェ平和マラソン」。1924年にスタートし、歴史を積み重ね、なんと今年10月の大会で95回目を迎えるようです。96年前の記録も検索できるようになっていて驚きでした(https://www.kosicemarathon.com/historicke-vysledky/?lang=en)。第100回の記念大会は2023年でしょうか。ぜひいつか走ってみたいですね!

世界を走っていると会話の中で、“BQ(ビーキュー)”という2文字が出てくることがあります。これは、「ボストン・クオリファイ」の略で、ボストンマラソン参加資格タイムを満たす記録を出すこと。性別・世代別に22の申込資格タイムが設けられ、余裕が多い人から順に出場が決まる仕組みのため、このBQというワードをよく聞くのです。

ボストンマラソンは、国際陸連が記録公認のために設定したコース条件を満たさないため、2004年以降、世界記録を上回っても、国際陸連公認の“世界記録”とは認められなくなりました。しかし、米国のフルマラソンのウェブサイトを見ると、BQに認定される大会かどうかが必ず記載されています。ラン仲間同士「BQ出して、来年、ボストンでまた再会しよう!」が完走後、お別れの挨拶。記録として認められなくても、米国人ランナーにとって、ボストンマラソンは本当に特別な大会なのです。通常のスタート後に、参加が叶わなかったランナーが走り出す大会でもありました。そう、あの年までは…

ボストンマラソン全員の名前が掲載されたポスターの左下にはBoston Strong

ボストンマラソンに参加すると、『Boston Strong』という言葉を何度も目にします。この言葉を理解するためには、ボストンマラソンの歴史を5年さかのぼらなければなりません。2013年4月15日、第117回目のボストンマラソン開催中に起こり、世界中を震撼させたボストンマラソン爆弾事件。この事件で3人が死亡し、多くの方の身体の一部分を吹き飛ばし、ゴール地点は大混乱に陥りました。

ボストンマラソンのスタート地点はBoston Strong

私が事件を知ったのは翌日の2013年4月16日、羽田便を待つ佐賀空港の早朝の待合室でした。テレビ画面で目にしたのは信じ難いボストンの様子。いつかボストンを駆け抜ける確信のあった私は、ただ茫然とその画面を見つめていたのを思い出します。ゴール付近に設置された記録用の時計が示していた“4時間9分43秒”は、ほぼ私の目標タイム。既に2013年10月のシカゴ出場が決まり、フライトも取得済みだった私は、怒りと恐怖の念に駆られました。

この卑劣な行為に全米、そしてボストン市民が『Boston Strong』を掲げて立ち上がりました。オバマ大統領(当時)の強い決意表明を経て、爆弾事件から102時間、銃撃戦の末についに犯人は逮捕されました。

沿道からの応援もBoston Strong

コース途中では、Boston Strongとペイントされた道路の下をくぐる

2013年10月のシカゴマラソンでは、出走前にランナー全員で黙とうを捧げました。2013年10月のシカゴマラソンから2014年2月の東京マラソンまでの20代最後の5カ月間、シカゴマラソンEXPOでもらった“CHICAGO Runs for BOSTON”のリストバンドで練習を重ねました。

2015年4月のボストンマラソンは、悪天候のパトリオット・デイに『Boston Strong』を胸に完走しました。悪天候の中の熱い応援も、ボストンは何者にも屈しないという強い決意が込められていると感じました。

2017年4月のボストンマラソンで大迫傑選手が3位に入り、日本人30年ぶりの表彰台にあがりました。その裏では、ボストンマラソン爆弾事件で、右足を失った犠牲者の一人がハンドサイクル部門で完走。この日を迎えることができた感謝の気持ちで、笑顔でゴールしたという感想に胸が熱くなりました。

ボストンで購入したお土産と完走メダル

映画『パトリオット・デイ』は、ボストンマラソン爆弾事件から犯人逮捕までの102時間の実録ドラマです(http://www.patriotsday.jp/)。URLのVIDEO ARCHIVESにある映像からでも、当時の緊迫した様子が伝わってくると思います。Blu-rayとDVDもリリースされました(http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/patriotsday/)。

残酷な映像に、目を覆いたくなる部分も多々ある実録ドラマですが、翌々年にボストンマラソンを走った自分と爆発現場に居合わせたランナーの姿が重なり、ボストンマラソンを走ってからの3年間、事件からの5年間が一気に蘇りました。

ボストンマラソンを完走したみなさんには、こんな価値ある場所を走ったのだという喜びを感じるために。ボストンマラソンを今後走るみなさんには、こんな価値ある場所を走れるのだという喜びを感じるために。

悲劇を乗り越えて前に進み続ける世界最古のマラソン大会であるボストンマラソン。そして、『Boston Strong』に込められた強い決意を感じていただきたいと思います!

Kazuya Yokosawa
横澤和哉
中学・高校時代はテニス一色、大学時代からマラソンに挑戦。これまでフルマラソン51回、ハーフマラソン15回完走し、2016年4月のロンドンマラソンで日本人39人目のWorld Marathon Majorsを制覇。ASEANマラソンコンプリートに王手。普段は味の素株式会社において研究員として従事している。 海外フルPB 3:17:41(シカゴ2016)、人生のフルPB 2:58:32(さが桜マラソン2018)
RECOMMEND
CATEGORIES