SteP SPORTSスタッフがadidasと駆け抜けた「ベルリンマラソン2018」
ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロンドン、東京とともにワールドマラソンメジャーズに名を連ねるベルリンマラソン。直近6つの男子マラソンの世界記録がこの大会でマークされたように、世界でも屈指の高速コースとして知られている。そんなベルリンマラソンに豊富なランニングギアの品揃えと丁寧なアドバイスにより、日本全国のランナーから高い支持を得ているSteP SPORTSのスタッフ3名が参加。長きに渡り同大会のメインスポンサーとなっているadidasのランニングシューズを履いて、ベルリンマラソンを力の限り走り切った。ニューヨーク、シカゴに続き、ワールドマラソンメジャーズへの参加は3レース目となるRunners Pulseの編集長・南井正弘がその模様をレポートする。
ベルリンマラソンは、直近6つの男子マラソンの世界記録がこの大会でマークされただけでなく、女子マラソンでも2005年に2時間19分12秒という、いまだに破られない日本記録が生まれるなど、世界屈指の高速レースである。今回は世界133ヶ国から44,389名がフルマラソンにエントリー、40,775名(男性28,443名、女性12,332名)が完走。近年は日本人からも人気の大会となっており、今年も数多くの日本のランナーが参加した。
日本やアメリカではエキスポと呼ばれるゼッケン引換えが行われる見本市は、ドイツではメッセと呼ばれ、今年は去年から場所を移し、2008年に閉鎖されたテンペルホーフ空港の跡地を会場として使用。これまでニューヨークシティマラソンのジャビッツセンター、シカゴマラソンのマコーミックセンター、ロックンロールマラソンラスベガスのサンズコンベンションセンターなど、大規模会場でのマラソンエキスポの経験はあったが、今回の会場はそれらと比較しても桁違いの広さ。
タイトルスポンサーであるBMW、メインスポンサーのアディダスを始めとして、190の出展者が約90,000人という来場者を迎えた。これまで38回の海外マラソン、数えきれない回数の国内レースを出走したが、今回、ベルリンマラソンでゼッケンを受け取る際にユニークだと思ったのは、ゼッケンを受け取る際に番号別に並ぶ必要がなく、どのカウンターでも受け付けしてもらえる点。その理由はランナーが受付したのちにゼッケンを印刷するから。これに関しては待ち時間の短縮にもつながるので、他の大会でも参考にすればよいと思った。
レース前日には、1万人以上のランナーを集めてブレークファストランが開催された。スタート箇所はシャルロッテンブルク宮殿。ここからオリンピアシュタディオンまでの約6kmを走るファンランイベントだ。世界各国から集まったランナーたちの表情は笑顔に満ち溢れており、SteP SPORTSの3名もレース前日の朝をエンジョイした。ゴールのオリンピアシュタディオンは、1936年開催のベルリン五輪のために建設されたスタジアムであり、最近では陸上男子100m競技で、9秒58という驚異的なワールドレコードが記録された舞台としても知られる。それだけにゴールしたランナーの一部は、陸上トラックをダッシュしたりして、トップスプリンターの気分を味わっていた。スタジアムの外周ではミネラルウォーターやベルリン名物のドーナッツのようなお菓子、ベルリーナー プファンクーヘンが供されたが、運動後の甘いものは最高に美味しかった。
いよいよ迎えたレース当日。天気は晴れ。ほとんどの天気予報は最高気温が20℃を超え、25℃あたりまで達すると予想していたが、7時過ぎの時点では空気はまだヒンヤリとしていた。心の中で「お願いだから、気温があまり上がらないでくれればいいのに…」と祈る。スタートエリアはベルリン市民の憩いの場であるティーアガルテン。戦勝記念塔を正面に眺める位置にエリートランナーを先頭に整列してスタートを待つ。
ベルリンマラソンは時間差でスタートするウェーブスタートを採用しており、車いす部門のスタートの後、9時15分にエリートフルマラソンを始めとしたAのコラルのランナーたちがスタート。当初の予定より10分早まり、Fまでのランナーは9時25分にスタート。
筆者はGだったので、9時45分のスタートであった。スタートからすぐに戦勝記念塔にぶつかり、ここでランナーは左右に分かれるが、自分は左へ。コースにはブルーの三本線がペイントされているが、これは42.195kmの最短距離を示すマーカーとのこと。一本線ではなく、三本線なのはメインスポンサーであるアディダスを意識してのこと。こんなところまで気を遣うのはスタイリッシュでユニークだと思った。
時間と共に日差しは強くなり、気温もぐんぐん上昇していったが、木陰がある箇所が多いのが、せめてもの救い。とにかく暑さには弱いので、中間点以降はファンランに切り替えて、写真を撮ったり、ビデオを撮影したり、沿道の人々とハイタッチしたりして、とにかく楽しんで走った。
今回セレクトしたシューズはアディダス ソーラーブースト。このモデルはかかとから中足部にかけてのフィット感が秀逸で、衝撃吸収性と反発性にも優れているので、快適に走ることができた。ベルリンマラソンは高速コースということが強調されるが、実際に走ってみると意外とアップダウンはある。同じく高速コースとして知られるシカゴマラソンのほうが明らかにフラットであり、平坦ということでいえばオーストラリアのゴールドコーストマラソンのほうが圧倒的にフラットだ。
しかしながらこれまでに多数の世界記録がマークされ、今回も男子の部で世界新記録が誕生したのは、ずっと平坦なコースよりも多少アップダウンのあるコースのほうが、脚部に適度な刺激が与えられるからだという説がある。いずれにしろ筆者の周囲でも、今回の暑さに関わらず自己記録を更新したランナーが何人かいたので、市民ランナーにとっても、記録を出したいと思っている人にピッタリの大会であることは間違いないだろう。ニューヨークシティマラソンのような最初から最後までアップダウンの続く大会では、ランナーのレベルを問わず記録は出しにくいので。
レースも終盤を迎え、我々が到着した日に夕食を摂ったレストランが入居しているソニーセンターの横を過ぎると、ゴールまでは数キロで応援も多い。心が折れそうになったときに沿道からの応援は本当に嬉しい。正面にブランデンブルク門が見えるエリアにまで到達すると、沿道からの歓声のボルテージも最高潮に。感極まって涙ぐんでいるランナーもいれば、これ以上ないくらいの笑顔でニコニコしながらゴールを目指すランナーもいるなど、ランナーの数だけマラソンの楽しみ方はあることを再確認するとともに、2009年10月オレゴン州ポートランド、初めてのフルマラソンで思うような結果が出なかったときに、中国系アメリカ人の女性が「どんなタイムでもゴールしたら誰もが勝者なのよ!」と仏頂面をしている自分に声をかけてくれ、気持ちが楽になったことを急に思い出した。
そうこうしているうちにゴールが迫ってきた。今年の日本の夏は記録的な猛暑で練習が充分でなかったこと、レース当日の気温が暑さの苦手な自分には高過ぎたことなどから、記録的には決して納得のいくものではなかったが、「これで終わっちゃうのか、もう少し走りたかったなぁ…」という気持ちでゴール。今回が39回目の海外マラソンだったが、ベルリンマラソンは適度にアップダウンのある走りやすいコース、温かい沿道の応援、ビフォア&アフターも楽しめる街の雰囲気もあり、ニューヨークシティマラソンとともに再び走ってみたいレースとなった。
SteP SPORTSのスタッフ3名が語るベルリンマラソンとアディダス ランニングシューズ
片桐太一さん(SteP SPORTS広島店)
着用モデル アディゼロ タクミ SEN ブースト
「前半は少しゆっくり目で入ろうと思ったのですが、このシューズの持っている軽さ、反発力、フィット感といったポテンシャルにより、想定よりも速いペースになりましたが、無理なく走ることができました。そのときに『このシューズはやっぱりすごいなぁ』と実感しましたね。このシューズにはミムライトメッシュという、伸びずにしっかりとフィットするメッシュをアッパー部分に使用しているのですが、この素材のおかげでスタート地点からゴールまで足の一部のようなフィット感をキープしてくれました。
あとアディゼロ タクミ SENブーストのヒールカウンターの形状は自分の足首周囲の形状にマッチしているので、脚力をロスすることなく、しっかりと蹴って走ることができました。今回は練習不足のために自分自身が納得できる記録をマークすることはできませんでしたが、次回はこのシューズに負けないくらいちゃんとトレーニングをして、必ずリベンジしたいと思います!」
木村早織さん(SteP SPORTS広島店)
着用モデル アディゼロ ボストン ブースト3W
「走り終わって、このシューズに関してまず感じたのはブーストフォームによる優れたクッション性ですね。後半足取りがかなり重くなって、足を上げるのも辛い時があったのですが、ブーストフォームの反発性に助けられました。あと、給水所では水とジェルが混ざったりして、かなりスリッピーになっており、滑って転んでいるランナーも見かけたのですが、このシューズはグリップ性がよく、滑ったりということは全くありませんでした。
そして、何よりもこのシューズに感謝したいのは、足とシューズのフィット感がバッチリだったこと。最初から最後まで靴擦れすることもなく、快適な履き心地をキープしてくれたことが、本当に有難かったです。今回フルマラソンの自己記録を更新することができたのは、このシューズのおかげと言っても過言ではありません。次にフルマラソンを走る機会があったとしたら、やっぱりこのモデルで走ると思いますね」
棚橋秀之さん(SteP SPORTS陸上元町店)
着用モデル アディゼロ ジャパンブースト3
「ブーストフォームは柔軟な素材なので、蹴りだしの際に安定に欠けるイメージがあるかもしれないですが、アディゼロ ジャパン ブースト3は十分なクッション性がありながら、適度なソールの厚みなので、安定性を損なうことなく、しっかりと足裏で蹴る感覚を得られる点がいいですね。アッパーのフィット感も素晴らしいです。今回は給水所周りがかなり滑りやすかったのですが、このシューズはグリップ力が高く、他ブランドのアウトソールよりも明らかにグリップ性がよくて、自分はこのシューズを履いていたおかげで滑ったりすることはなかったですね。
これにはアウトソールに使用しているラバーコンパウンド、コンチネンタルラバーが大きく貢献していると思います。今回は体調が万全ではなかったので、思い通りに走ることはできませんでしたが、近い将来またフルマラソンを走ってみたいと思っています。そのときはやっぱりアディゼロ ジャパン ブースト3を選ぶと思います」