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ヴィンテージデニムをプリントしたランニングパンツ

2019.02.01
Yuichi Shibui
渋井 勇一 デザインオフィス「RASSLIN’&CO.」代表
トレイルランニングをベースとしたライフスタイルブランド「Mountain Martial Arts(MMA)」ディレクター。トレイルランニングに出会い人生が変わったことから、アクティビティのあるライフスタイルの楽しさを提案するブランドを立ち上げ、デザイン性のあるオリジナルウェアとトレイルの情報を発信するWEBメディアを展開。マイペースに楽しむがモットー。2012年 STY(Shizuoka to Yamanashi)完走/2012年 日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走/2013年 おんたけウルトラ100k 完走/2017年 Ultra Trail Australia50 完走/2017年 OCC(Orsieres-Champex-Chamonix)完走 https://mountain-ma.com/

Runners Pulseの読者のみなさまは、Mountain Martial Artsをご存知でしょうか?

2012年12月にサイトオープン。2013年春夏からオリジナルウェアスタート。スポーツ業界出身でもなく、トップアスリートとは真逆の鈍足トレイルランナーのぼくと友人で始めたブランドです。始めた頃は、周りのラン友か、コアなトレイルランナーだけが着るようなブランドでした。

知名度が上がったきっかけは、実はRunners Pulse編集長の南井さんのおかげだと思っています。ある日、突然オフィスに南井さんからお電話をいただきました。内容は、MMAのヴィンテージデニムをプリントしたランパンツをRunners Pulseに掲載したいと。

ビックリ&感謝です。

Denim Run Pantsの誕生秘話はフイナムブログに書いた記事から転載します。

遡ること2013年の秋。アイデアはMMAを始めて少し経った頃からあって、まずは「こんなアイテム出来ますか?」と工場に相談するところから始まった。

なにしろあたまの中でイメージしたデニムをプリントしたランニングパンツは世の中にない。工場に出来るかどうか確認して、とりあえずやってみようということでサンプルを製作することになった。

大型スキャナーなんてないので、オフィスのA4スキャナーで自分の所有しているヴィンテージデニムをスキャンする。前身頃と後ろ身頃、それぞれ左右。さらに後ろのカバーの部分。スキャン出来るサイズがA4なので、だいたい1パーツにつき6画像くらい必要とする。それをPhotoshopで合成して、プリントするグラフィックを作っていく。これがかなり手間がかかる。

そんなこんなで出来たデニムデータを生地にプリントする。MMAのランパンは二種類の生地を使っていて、ひとつはストレッチは弱いけど乾きの速い布帛系。もうひとつは乾きは布帛系ほどではないものの伸縮性のあるニットカット素材。もともとデニムが厚めの生地なので、雰囲気が近いニットカット系の生地で進めることにした。

そしてテストプリントが上がってきた時にはビックリ!すごいいい出来!ちょっと見はプリントとはわからない。

しかし、そこからが大変。洋服は生地をパーツの形に裁断して縫うのが通常の製作方法。無地の生地であれば、縦横の方向だけ決めて裁断すれば済むのだが、デニムランパンの場合はポケットの位置などプリントのバランスが重要。それに加えてサイズ展開があるので、まとめて一気に裁断が出来ない。サイズごとにプリント位置がずれないように丁寧に裁断していく。つまり、作業工程にかなり手間がかかる。

また、ポケット裏や後ろのカバーの裏に速く乾くように、少しでも軽くするように速乾性のメッシュを使っている。ウエスト裏部分も吸湿速乾のパイル素材で切り返していて、もちろん同素材のほうが作業は進めやすいのだが、多種類の生地を使うことで縫製時に手間となる。工場の方には悪いけど、妥協出来ないところ。

それでもなんとか満足のいくサンプルが出来た。発売前、サンプルを履いてハセツネコースに行った時は、ハイカーの方から「この人ジーンズ履いてるよ」的な白い目で見られた(実話)。

2014年の春に発売した1stバージョン(シリーズ60)は、本当に極少数だった。というか、MMA自体がまだラン友と一部のコアトレイルランナーにしか知られていなかったので、すべての商品が最小ロットくらいしか作っていなかった。

数が少なかったこともあってか、そのシーズンはすぐに売り切れてしまい、秋に再販。プリントを少し調整して、ヒップ周りのシルエットを少し細身に変更した。

なんとなくこの頃から「デニムをプリントしたランニングパンツがあるらしい」と口コミでランナーに少しずつ広がっていたみたいで、雑誌にも掲載していただいた。実際に走るランナーの間で話のネタになるのはうれしかった。

Denim Run Pantsがあったからこそ、MMAは続けてこられたと思います。ぼくの中でも記念碑的なアイテム。とはいえ、毎シーズンリリースしているわけではありません。

ぼくも大好きだし、ユーザーさんたちにも愛用していただいています。でも、クリエイションもクオリティもブランドとしてさらなる総合的なレベルアップするために、あえて封印しています(たまに不定期に出しますけど)。デンプシーロールを封印した幕之内一歩みたいに(結果的に引退しましたが)。

今回、ブランドの5周年記念のラストを飾るアイテムとして、これまで発売した60、70、60Aをクレイジーに配置したデニムランパンをリリースします。

上記の理由で、しばらくは作らないと思います。多分、次は10周年(?)。MMAに少しでも興味を持っていただいたなら、ぜひ手にとってみてください。MMAのフィロソフィーが色濃く感じられます。そのフィロソフィーとは

「これを履いても速くなりません。でも楽しくなると思います。」

バックにポケットを3つ装備。iPhoneも入ります。

ちなみに60とか70とか60Aは、プリントデータの元になっているヴィンテージデニムの製造された年数です。古着好きだったぼくの私物。

女性バージョンもあります。

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