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SPECIAL

[アムステルダムマラソン]自己記録を目指すランナーが欧州各地から大挙訪れる!

2020.01.31
Iori Matsudaira
Masahiro Minai

オランダは古くから欧州の交通の要所として発展してきた。現在もアムステルダムのスキポール空港には、世界各国から数多くの飛行機が飛来する。そんなアムステルダムで行われるオランダ屈指のランニングイベントが、正式名称「TCSアムステルダムマラソン」。

1975年に第1回が開催され、2019年の大会で第44回を迎えたが、国際陸連のゴールドレーベルに認定されている。冠スポンサーであるTCSとは、Tata Consultancy Servicesの略で、インドに本拠を置く、世界屈指のITサービス企業で、ニューヨークシティマラソンのタイトルスポンサーでもある。コースは比較的フラットであり、記録が出やすいことで知られているため、欧州全域から自己記録更新を目指すランナーが集結すると言われ、ゴールの平均タイムが世界屈指の速さであることが知られている。

エキスポを訪れると、ゼッケンを手にセルフィを撮るカップルなど、ピリピリした雰囲気は特に感じず、他のマラソンのエキスポと大差ないワイワイガヤガヤ楽しい時間が流れており、オフィシャルサプライヤーのミズノのブースでは、アムステルダム国立美術館とコラボレートしたブラック/ゴールドのウエーブアルティマが飛ぶように売れていた。そしてミズノのブースでは、ランニングシューズを購入すると、オランダを代表する履物であるサボ(木靴)をモチーフにしたルームシューズがプレゼントされるというプロモーションを実施。ここ数年行われている、アムステルダムマラソンエキスポでのギフト ウィズ パーチェスの販促活動だが、このルームシューズは、単体でも購入可能だ。

サボをモチーフにしたルームシューズ。オランダを象徴する、このオレンジ/ブラックと、ウエーブアルティマの限定モデルにも採用されたゴールド/ブラックの2色展開だった。シューズを購入すればプレゼントされたが、これ単体での購入も可能だ。

真剣に走るランナーが大多数。
仮装ランナーはほぼ皆無!

そんな空気感が一変するのは、実際にスタートしてから。スタート前もさほど殺気だった雰囲気はなかったので、安心していたのだが…。自分たちは、前から2番目のBというコラルからスタートしたが、周囲のランナーのほとんどは、明らかにKm/4分台前半で走っている。ある調査では男性の平均身長183.8cmで世界1位、別の調査でも180.8cmで7位というトップクラスの高身長を誇るオランダ人が、凄い勢いで自分を抜き去って行く。それもガシガシぶつかって。というわけで、今度アムステルダムマラソンにエントリーする際は、コラルDくらいで走りたいと思ったのは偽らざる心情。身長だけでなく、90kgを優に超える巨漢に左右から抜かれるのは、恐怖以外の何物でもない(笑) 6~7kmあたりになると、ようやく後ろからのプレッシャーもなくなり、マイペースで走れるように。そうなると、本来のこのレースの素晴らしさを体感できるようになる。

スタートからしばらくの間は、大柄なオランダ人のプレッシャーに弾き飛ばされそうになる。皆ファンランとは無縁で、真剣にゴールを目指していた。

3km地点にはミズノシューズを模した巨大なバルーンがランナーを出迎える。

今回、筆者が履いたのはミズノのウエーブエアロ18。前足部にミズノウエーブを配すことで、中足部からフォアフット着地で走ると、高い推進力をランナーに提供。走っていて、本当に楽しいシューズだった。

アムステルダム国立美術館もコースの一部だ。

アムステルダムマラソンのコースは、大別すると市街地と郊外に分けられるが、市街地エリアは応援も多く、その声援がチカラになった。

風車や放し飼いの羊や牛、フライボードで宙を舞う男性etc. 他の大会では単調になりがちな郊外エリアも走っていて飽きなかった。

沿道の温かい声援、古い建物が残る市街地と、風車があり、羊や牛が放し飼いされているような郊外の絶妙なコンビネーションのコース設定、途中DJによる様々な音楽、足元から勢いよく出されるジェット水流によって、宙を舞うフライボードを楽しみながら応援する人etc.走っていて飽きない。前日のファンランで仲良くなった日本語ペラペラのイギリス人女性とも再会し、偶然にも、また会えたことを喜び合った。そして、あることに気付く。仮装して走っているランナーがいないのだ。これまで40以上の海外マラソンを走ってきたが、多くのレースは日本以上に仮装ランナー比率が高く、しかも仮装が洗練されていた印象だったが、このマラソンではチャラチャラ走っているランナーはほとんどいない。皆が真剣にゴールを目指していて、自分のなかにあった「オランダ人=勤勉」というイメージそのままの光景だった。

ランナーがばらけて走りやすくなったこと、アップダウンの少ないフラットなコースであるということ、当日履いていたミズノ ウエーブエアロ18の推進力が素晴らしく、本当に軽快に走ることができた。調子に乗って以降、ペースは上がり続け、14kmのラップは手元のスント5で、Km/5分09秒。いくらシューズが走りやすいとはいえ、このペースはあまりにも速すぎ。ウエーブエアロ18が走りやす過ぎて、途中5分10秒を切ってしまったのだが、これは自分には速すぎるペースだった。エネルギーを使いすぎてしまったことに加えて、時間が経つとともに上昇する気温にもやられ、32km以降失速してしまった。しかしながら、多少のアップダウンはあるにせよ、走りやすい気温の10月開催ということ(筆者のゴール前後は摂氏19度ほどだったが、例年はもう少し低いらしい)も考慮すれば、アムステルダムマラソンは、記録を出しやすいロードレースであるということは間違いないだろう。

目標を「3時間52分00秒の自己記録更新。ダメなら久しぶりのサブ4」から、「とにかく歩かずフィニッシュ!」に切り替え、黙々とゴールを目指す。市街地に戻ってくると、沿道の応援が多く、彼らの声援は前進するための大きなエネルギーとなるし、小さな子供やお年寄りとハイタッチをすると、精神的にも素晴らしいサポートになる。アムステルダム市民の憩いの場、ボンデルパークまで戻ってくるとゴールまではあと少し。最後の気力を振り絞って、7分台までに落ちたペースを6分台に戻して、オリンピックスタジアムの全天候トラックを疾走する。観客席からは、すべてのランナーに大声で声援を送ってくれる。そして何人ものランナーを抜いて、ゴール。手元のスント5で4時間18分58秒。自己記録更新も久しぶりのサブ4もならなかったが、「諦めることなく、出し切った!」という気持ちだったので、とても清々しい気持ちだった。周囲のランナーを見渡して見ても、いい表情をしているランナーが多い。

沿道の応援と地元住民の理解、そしてボランティアスタッフのサポートがあって初めて、アムステルダムマラソンのような大規模ランニングイベントは成立するのだ。

アムステルダムマラソンの完走者たち。皆一様にいい表情をしていた。何人かに「来年もまた走りたい?」と聞くと、全員が「もちろん!」と応えてくれた。

 

ミズノのランニングシューズは、高い着用率を誇ったが、オフィシャルサプライヤーであるという理由だけでなく、オランダのランナーの体格や着地タイプにあっているようだ。そして、何よりも愛されていると思った。

アムステルダムマラソンは
また走ってみたいと思えるレースだ。

また走ってみたいと思える海外レースは意外と少ないのだが、このアムステルダムマラソンは、そのひとつに挙げられる。前述の通り記録を出しやすいコース及び気候ということも理由のひとつだが、走るランナー、応援する人々の両方が素晴らしいというのも大きい。そして、アムステルダムは観光地としても世界中から数多くのツーリストを引き寄せる魅力的な街なので、ビフォア&アフターも思う存分楽しめる。そんなことから今年、2020年もアムステルダムマラソンを走ってみたいと思う。次回もフルマラソンでもいいが、今度は久しぶりの100分切りを狙って、ハーフマラソンへのエントリーでもいいかもしれない。フラットなコース設定、そして真剣に走る地元ランナーが後押しとなり、しっかりと練習ができていれば決して無理ではないだろう。もちろん、アムステルダムという街を楽しむことを忘れずに。

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