ゴールドコーストマラソンはみんなで走るともっと楽しい!
昨年、Runners Pulse編集長の南井正弘が3時間52分00秒でゴールし、7年半ぶりに自己記録を更新した「ゴールドコーストマラソン」。今年は、東京のBEAMS RUN CLUB、フイナムランニングクラブ、COMMON LANDSCAPE TOKYO、岡山のUDC、そして福岡のAFE FUKUOKAのメンバーが参加。海外マラソンを思う存分楽しんできました! その模様を南井編集長がレポートします。
毎年7月に、オーストラリアのクイーンズランド州で行われるゴールドコーストマラソン。ホノルルマラソンとともに、日本人に最もポピュラーな海外マラソンのひとつです。その理由は、コースが平坦で走りやすく、スタート時の平均気温9度(午前11時は16度)という気候の好条件があり、なんと完走者の約6割が自己ベストを更新しているという、PBを目指すランナーにピッタリなレースだから。ちなみに自分も昨年の大会で久しぶりに自己記録更新しました。また日本との時差はたったの1時間なので、時差ボケに悩まされることもありません。
そんなゴールドコーストマラソンですが、シリアスに自己記録を更新するためだけに参加するのはもったいない。オーストラリア屈指のリゾート地だけに、他のロードレース以上にビフォア&アフターもエンジョイすることができるのです。
今回のメンバーは、BEAMS RUN CLUB(東京) 牧野英明さん、フイナムランニングクラブ(東京)川島祥さん、COMMON LANDSCAPE TOKYO(東京)山口真由さん、UDC(岡山)仲原祐樹さん、AFE FUKUOKA(福岡)倉光のぞみさん、羽立泰雅さん、に自分を加えた計7名。自己記録更新を狙う人、とにかく海外マラソンに参加してみたかったという人etc.その目的は様々ですが、全員に共通していたのは、マラソンを含めて、この滞在を目いっぱい楽しもうという点でした。
ゴールドコーストへの直行便は成田からジェットスターが就航。そのほかにもシドニーやケアンズなどから国内線での乗り継ぎもスムーズです。あと、バスで1時間30分ほどのブリスベン空港にはカンタス航空の直行便が成田から乗り入れていて、こちらも便利。ちなみに自分は全日空でシドニーへ。シドニーからはヴァージン・オーストラリアでゴールドコースト空港に向かいます。今回で3年連続の参加となりますが、最初の年だけブリスベン空港からバス。去年は今年と同じパターンでした。予約したタイミングによりますが、ジェットスターなら往復で5万円台というリーズナブルな価格でゴールドコーストまで来ることができますので、国内線の定価運賃以下。「海外マラソンは高くて…」という人にもピッタリなレースで、このあたりも数多くの日本人ランナーが参加する理由のひとつといえるでしょう。もちろん、「海外旅行は不慣れで…」というみなさんには、H.I.S.やJTBなどによる豊富なバリエーションのツアーも用意されていますから、こうしたツアーに参加すれば言葉の心配もありませんし、マラソンのスタートエリアには参加者専用のテントも設置されていますので、海外マラソンビギナーにはこちらもオススメです。
つぎに宿泊ですが、この4月にボストンマラソンを走った際には1泊5万円~という宿泊費の高さにビックリしましたが、ゴールドコーストの場合は宿泊施設のキャパシティが充分にあることから、贅沢しなければ1泊1万円台~2万円台で収まります。フルキッチン付の部屋も多いので、日本からパックごはんetc.を持参すれば、リーズナブルに食べ慣れた食事で栄養を摂取しつつ、レースに臨むことができるのもありがたいところ。レース後のご褒美のステーキも自分の部屋で焼くことができます。
レース前々日の金曜日には牧野さん、山口さんと一緒にゴールドコーストコンベンションセンターで行われているasics Sport & Leisure Expoにてゼッケンのピックアップ。平日にもかかわらず結構長い列でしたが、スムーズなオペレーションで、それほど待たされることなくゼッケンをゲット。実際にセンサーが反応するかをチェックした後に、物販エリアへ。スポーツ部門のスポンサーであるアシックスがメインスペースを陣取ります。ゴールドコーストマラソンは3度目になりますが、公式グッズは人気で、毎年金曜日にはサイズ欠けのアパレルも多くみられます。公式グッズを確実に購入したいランナーは、金曜日の午前中までに訪れたほうがいいでしょう。このマラソンで嬉しいのは、日本語を話せるボランティアのみなさんがエクスポでもスタンバイしてくれている点。なにか困ったことがあれば、「ご案内係 日本語でどうぞ」とプリントされたビブスを着たスタッフが親切丁寧に対応してくれます。
異国の地で困るのが食事ですが、ゴールドコーストはオーストラリア屈指のリゾート地だけに、セレクション豊富。金曜日夜は、地元でも有名な中華料理店「皇朝 ROYAL DYNASTY」へ。土曜日夜は宿泊先1階のタイ料理レストラン「チェンマイ CHIANGMAI」へ。気のおけない仲間とワイワイしながら食べる料理はおいしさ倍増。
これまで40回以上海外マラソンを走ってきた経験でいえば、普段あまりパスタを食べていないランナーが無理に食べる必要はなく、他の食べ物でも、しっかり炭水化物を補給できれば問題ないかと。あとレース前日は刺身などの生物、貝類など消化の良くない食べ物、レース中にガスが溜まりやすくなるので、大量の野菜や芋などの根菜類を食べるのは避けるべき。サラダが好きな人も、レース前日だけは控えめにしましょう。今回は部屋にフルキッチンが装備されていたので、当日朝の朝食もパックご飯をレンジでチンして、ふりかけをかけて美味しくいただきました。レースの朝は心理的にも食べ慣れたモノがオススメで、ご飯以外にはカップうどんやカステラあたりもいいですね。
レース当日はG:linkでスタートエリアへ。ゼッケンを付けたランナーは無料で乗車できるのはありがたいですね。宿泊先のマントラクラウンタワーズからは30分弱でスタートエリアのサウスポート地区に到着。一足先にハーフマラソンがスタートし、フルマラソンは7時20分のスタート。BAG DROPと表示されたエリアで荷物預かりもできますので、帰りに着る衣類やリカバリーサンダルなどはこちらでチェックインしましょう。
3回目のエントリーだったので、会場に着いて感じたことが。それが「これまでの2回よりもかなり暖かいかも…」ということ。レース後に確認してみると、最低気温が16度と、これまでのスタート時平均気温9度よりも明らかに高い。そうこうしているうちに、スタートエリアへの移動を促すアナウンスが流れ、それぞれのスタートコラル(区分け)へ移動。ゴールエリアでの再会を誓い合います。そしてスタートを待っているとまさかの土砂降りが。靴の中まで浸水する降りの強さで、個人的には少しテンションが下がった状態でスタートしました。しばらくすると雨も止み、フラットなコースを、参加ランナーは楽しそうな表情で走ります。コースはほぼ直線で、折り返し以外のカーブが少ないことも大きな特徴といえるでしょう。沿道の応援も多く、心が折れそうになったランナーは、声援やハイタッチで復活します。今年から若干コースが変更になりましたが、走りやすさは相変わらず。ゴールドコーストマラソンは折り返しが多く、対面走行の箇所も多いので、優勝した設楽悠太選手を始めとしたトップランナーが凄いスピードで走っているのを目の当たりにできるのも大きな魅力。あと、反対側をすれ違う知り合いのランナーに声援を送れるのもいいですね。今回も初のサブ4を目指した倉光さんに「絶対サブ4達成して!」とエールを送ることができました。
37km過ぎの大きな折り返しを過ぎると、ゴールまではあとわずか。海沿いのきれいな景色を眺めながらフィニッシュエリアを目指します。41km手前の箇所を左折すれば、左手はゴールエリアのある公園群が見えてきて、応援の数がグッと増えます。コース上ではランナーを大きな声で鼓舞するサポートスタッフが。「あと少し! せっかくだから走ってゴールしようよ!」etc.と声を掛けられると、さっきまで歩いていたランナーが、彼女たちからエネルギーをもらって、再び走りだす光景を何度も見ました。ランナーにとって応援は何よりも嬉しいもんですよね。
残り数百メートルの箇所でゴールドコーストハイウェイを左折して公園エリアに侵入すれば、フィニッシュはすぐそこ。これまで以上の声援に背中を押され、ペースアップしてゴール。今回はスタート時の気温がこれまで2回よりも高かったので、個人的には満足のいく結果ではありませんでしたが、世界屈指の走りやすいレースであることは間違いありません。この日の最高気温は19度と、スタート時から3度ほどしか上がっていないのは、多くのランナーにとってよかったと思います。完走メダルとフィニッシャーズTシャツを受け取り、荷物預けエリアで待ってくれていた他のランナーから各々のレース結果を聞きます。牧野さん、仲原さんはサブ3をキープし、羽立さんは自己記録を大幅更新、そして倉光さんは、これまで何度も跳ね返されてきたサブ4の壁を破り、3時間48分50秒の素晴らしいタイムでゴール。山口さん、川島さんは、タイムこそ納得いくものではなかったものの、この大会独自のハッピーな雰囲気をスタートからゴールまで堪能できたそうです。
レース後は韓国料理屋にて、レースで断裂した筋繊維を修復。食事後はUberとトラムに分かれて宿泊先のマントラクラウンタワーズに戻り、バスタブでのアイシングなどで疲労回復。夕方にはオフィシャルのアフターパーティで谷川真理さんや川内優輝選手夫妻と交流し、夜は仲原さんと川島さんが滞在する部屋の広々としたリビングルームで打ち上げ。こちらには人気急上昇中のランニングブランド、「エルドレッソ」のみなさんも合流し、総勢10名で今回のレースのことを始めとしたランニング談義に花を咲かせました。そして、「来年もまた来たいですね!」という話になると、その場にいた全員が「ぜひぜひ!」「友達を連れてきたい!」と賛成し、来年は今年より多くのメンバーでゴールコーストマラソンに参加することになりそうです。自分は、この時点で海外レースは43回目でしたが、ゴールドコーストマラソンは、走りやすさだけでなく、費用、エントリーのしやすさ、時差、治安etc.、日本人ランナーにとって、参加の条件が最も揃っている海外レースであることを再認識しました。
来年度のフルマラソンとハーフマラソンは2020年7月5日(日)開催で、エントリーは12月3日(木)にスタート予定。早ければ早いほど参加費は安くなるので、予定を早期に確定できるランナーは、すぐのエントリーがオススメ。詳細は下記をチェック! 日本語ページも後日開設される予定です。あと、来年3月29日からはヴァージン・オーストラリアが羽田―ブリスベン線を運航開始予定。ゴールドコーストマラソンが、より一層身近になりますね。
http://www.gcm.jp/
協力:ゴールドコースト観光局、クイーンズランド州政府観光局