• instagram
  • youtube
  • rss
スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
  • instagram
  • youtube
  • rss
COLUMN

Running Gear Council-ランニングギア評議会-
第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

2025.04.10
MASAHIRO MINAI

スポーツシューズに関連したビジネスに従事して36年になるRunners Pulseの南井編集長が、ランニングギアをマニアックに考察する連載コラム「Running Gear Council-ランニングギア評議会」。第10回のテーマは、昼夜の気温差が大きい春のマストアイテムであるライトウェイトジャケット。アクティビティ時の蒸れをコントロールしてくれるモデル、防水透湿性に優れたモデルから軽量性に特化したモデルまで、さまざまなタイプが各ブランドからリリースされているので、ランニングスタイルやシチュエーションに合わせてピッタリなプロダクトを選んでほしい。

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

1.
MILLET
TYPHON PHANTOM TRECK JACKET

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

<ミレー>のティフォン ファントム トレック ジャケットは、新開発の極薄防水透湿メンブレンが、耐水圧(50,000mm)、透湿性(60,000g/m²/24h)という、桁違いの防水透湿性能を実現。さらに、トップクラスの軽さ(サイズMで163グラム)と、快適性までも実現した革新的軽量レインジャケットだ。

しなやかでドライな肌触りの裏地や計算された立体裁断によって、行動中のどんな動きにも常に自然で快適な着心地を提供。登山での利便性を考慮したハンドジップポケットはパッカブル仕様になっている。

最初に着用したのは小雨の降る午後。驚異的なカタログデータの数値を証明するかのように、雨を弾き、ペースを上げて走っても衣類内部の蒸れも最小限で、ドライさをキープしてくれた。日課としている6kmラン、それも小雨程度では、このジャケットの持つ本来のパフォーマンスを体感できないかもしれない。2度目のトライは晴天の夜。普段より長い距離を走ったが、やはり透湿性は高いレベルにあり、蒸れはこれまで着用してきた軽量ジャケットと比較してもトップクラス。4月以降は降水量が多くなるので、雨降りの日にトライするのが楽しみだ。

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

最初のランで極めて高い耐水圧(50,000mm)と透湿性(60,000g/m²/24h)を体感することができた。

2.
PATAGONIA
MEN’S AIRSHED PRO PULLOVER

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

<パタゴニア>のメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは、撥水性と速乾性と通気性を備えた超軽量なウインドシャツ。フードと袖の下部にストレッチニットを配し、PFAS(有機フッ素化合物)を意図的に使用せずに製造されたDWR(耐久性撥水)加工済み。ポケットに本体を収納できるので携帯も容易。フェアトレード・サーティファイドの工場で製造されるなど、環境にも労働者にも優しい。

このプロダクトの初代モデルも持っているが、今回最新版を着用してみて、着実に機能性がアップしていることを体感することができた。最初に走った日は気温10℃と肌寒い日だったが、走り始めてしばらくすると身体が温まり快適に。前述のとおり袖の下部などにストレッチニットを使用しており、この部分から湿気を排出し、適度に通気性もあることから、衣類内部を快適に保ってくれる。長めのフロントジッパーは両方向から開閉でき、このスペックは衣類内部に効果的に風を送り込んでくれる。同じく<パタゴニア>のフーディニシリーズも気に入って数着保有しているが、フーディニの場合は、長距離を走ると、途中で蒸れが気になることがあるのとは対照的だ。それでいて充分な防風性を備えており、冷たい北風からしっかりと守ってくれた。

そしてメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは、ランニングシーンだけでなく、オフシーンでも活躍してくれる。2月にグレートアロハラン参加のためにハワイを訪れた際にも持っていったが、ハワイのThe Busは日本人からすると冷房が効きすぎているのだが、このプルオーバーのおかげで快適に過ごすことができた。このようにメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは、手に入れてから10回以上着用しているが、ランニング時だけでなく、さまざまなシーンで活躍してくれている。

サイジングに関してはスリムフィットであり若干細身。自分は他のアイテムと同様にUSサイズのSで問題なかったが、ワンサイズ上げている人も少なくないので、実際に試着してから購入したほうがいいと思う。ちなみにランナーズパルスの営業担当である磯氏もメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーを気に入っており、主にトレイルランニング時に着用しているという。以下は磯氏によるウェアリングインプレッションとなる。

今回初めて着用したのですが、身体にフィットする細身のシルエットは走りの動きを妨げず、そして着た瞬間からわかるほどの軽さに驚きます。普段アノラックタイプのジャケットは避けてきましたが、実際にはこのフロント部のダブルジッパーがまた秀逸だということに気付きました。トレイルランニングではのぼり下りを繰り返すため、下側のジッパーを上げるだけで換気でき、首元もバタつかずに衣服内を快適にできるのはうれしいポイントです。また、肘から先がストレッチニットとなっているので、腕まくりしたときにずり落ちてこないうえに汗をかいたときもベタつかない。これはフード部も同じで、フードを被ったときのフィット感と視界が素晴らしかったです。今回試すにあたり、南高尾や湘南平のライトながらアップダウンを繰り返す環境、そして、長い上りが続く丹沢・塔ノ岳で着用しましたが、そのすべてで快適なトレイルランを堪能することができました。特に塔ノ岳では行動中に降雪もありましたが、寒さにもある程度の耐性があったのは嬉しい驚きでした。

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

フードと袖の下部にストレッチニットを配し、快適な着心地と高いレベルの通気性を確保。

3.
HERENESS
7D Packable Jacket

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

<ヒアネス>の7Dパッカブルジャケットは、7D(デニール)の超軽量リップストップナイロン生地を採用したパッカブル・ウインド・ジャケット。その重量はなんと48グラム(サイズM)。このジャケットが開発された背景を、「真冬のロードレースのスタートラインで、凍えるような体験をしたことはありませんか? なかにはポリ袋を防寒着代わりにして、スタート地点がゴミだらけになってしまう、そんな光景に心を痛めたことのあるランナーも少なくないはず。それを解決したいと考えて開発したのが、軽くてコンパクトに収まる〈7D パッカブルジャケット〉です」と説明する。

あまりに極薄なので、「防風性は大丈夫なのか?」と心配になったが、実際に着て走ってみると、しっかりと風を防ぎ、快適な着心地を提供してくれた。ブランド側のメッセージのように大規模マラソンのスタート時に着用するのにもピッタリで、号砲ギリギリまで着ていて、脱いだらコンパクトに収納できる。ビギナーランナーであれば、後半歩いてしまって寒くなったら、また着ることができるというのもありがたい。今回トライしたグレーであればゼッケンも透けるので、着たままレースを走ることも許されるだろう。

そして、このジャケットで忘れてはならないのが、撥水のための加工にフッ素加工物を使用しないPFCフリーであること。このブランドは地球環境に優しいモノづくりで知られているが、7Dパッカブルジャケットも、そんな思想のもと製造されている。

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

背部のポケットにコンパクトに収納可能。サイズMで48グラムという比類なき軽量性も嬉しい。

4.
MAMMUT
AENERGY TR HS HOODED JACKET AF MEN

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

<マムート>のエナジー トレイルラン ハードシェル フーデッド ジャケット アジアンフィットは、同ブランドで最も軽く、最もパッカブルな3レイヤーハードシェルジャケット。トレイルランニングなどのペースの速いアクティビティに活躍するこの超軽量アイテムは、耐風性・防水性に優れ、アルパインでの全力疾走にも抜群の透湿性を発揮する。最小限に抑えたシーム、控えめながら効果的な反射材、心地よくフィットし、かつ視界を妨げないフードといった特徴を備えたこの一枚は、アウトドアで手放せないマストアイテムとなる。

実際に着用して最初に感じるのは、ハードシェルなのにごわつき感がほとんど皆無で、ソフトシェルのように身体に優しくフィットするところ。一般的なハードシェルと比較してランニング時の腕振りが圧倒的にしやすいのだ。雨が降ったり止んだりのなかを走ったが、防水透湿性は高レベル。衣類内部の快適性に優れているので、悪天候下の長時間のランニングにピッタリだと思う。防水ではなく撥水タイプのシェルは購入しやすい価格でポピュラーだが、そのようなタイプで悪天候下を走るのは不安だが、そういったシチュエーションには、このモデルのような高性能のジャケットを選ぶべき。耐水圧20,000mm、透湿性20,000 g/m2/24hという高いレベルの防水透湿性と、170グラムという<マムート>のアウターシェルのラインアップでは軽量性を兼ね備えたプロダクトであり、前述のようにハードシェルでありながらソフトシェルのような着心地も有しているトレイルラン ハードシェル フーデッド ジャケット アジアンフィットは、そのネーミングのようにサイジングに関しても日本人を始めとしたアジア人の体型を考慮しているところも嬉しい。

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

マテリアルには耐風性、防水性、透湿性に優れたPERTEX SHIELDを採用。地球環境に優しいPFCフリー耐久撥水(DWR)加工を施している。

5.
THE NORTH FACE
FREE RUN ANORAK

Running Gear Council-ランニングギア評議会-第10回「寒暖差の激しい春は軽量ジャケットがマストアイテム!」

ここまで紹介したプロダクトは、各ブランドの2025年スプリングシーズン展開プロダクトであるが、この<ザ・ノース・フェイス>のフリーランアノラック(ユニセックス)は、1年以上愛用してきたモデル。

植物由来のナイロン素材を使用した、軽量(Lサイズで110グラム)&コンパクト携行が可能なランニング用ウィンドシェルで、マテリアルは薄手の一枚地ながら、撥水性と防風性を兼ね備えているほか、肌側に「ドライタッチ3Dビーズ」加工で凹凸を持たせたことで、汗ばんだ肌へのまとわりつきを抑制してくれる。この1年以上、ランニングシーンだけでなく、ライフスタイルシーンでも大活躍。「そのカラーリングいいですね!」と知人から褒められることも多かったケルプタンというブラウン系のカラーも気に入ってヘビーローテーションで着用したアイテムであり、今春も活躍してくれること間違いなしのアイテムである。ちなみに、2025年スプリングシーズンでは同様のマテリアルを用いたフルジップデザインのフリーランウィンドパーカ(ユニセックス)が展開されている。

Masahiro Minai
南井 正弘 フリーライター、ランナーズパルス編集長
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「価格.comマガジン」「モノマガジン」「SHOES MASTER」「Beyond Magazine」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」「人は何歳まで走れるのか?」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
RECOMMEND
CATEGORIES