Running Gear Council-ランニングギア評議会-
第9回「寒さに負けずに走り続けるためのランニングギア!」
スポーツシューズに関連したビジネスに従事して35年になるRunners Pulseの南井編集長が、ランニングギアをマニアックに考察する連載コラム「Running Gear Council-ランニングギア評議会」。第9回のテーマは、厳冬期でも走り続けたいランナーのためのランニングギアを紹介する。ウェアからアクセサリーまで、完璧な寒さ対策は、どんなコンディショニングでも走るのを諦めたくないランナーには不可欠だ。
1.
PATAGONIA WIND SHIELD JACKET&WIND SHIELD PANTS
<パタゴニア>のウインド・シールド・ジャケットとウインド・シールド・パンツは、寒い天候下での激しい運動で風や悪天候に対応するプロテクションを提供しながら、戦略的に配置した透湿性パネルや背中のベンチレーションデザインにより、余分な熱と水分を外側に発散することが可能。そのために衣類内部に湿気がこもりにくく、長時間のランでも快適な衣類環境をキープしてくれる。まさに適材適所の構造だ。最初にこのウェアをトライしたのは、韓国の釜山。摂氏4℃という低温下で走ったが、このジャケット&パンツを着用していたおかげで、冷たい北風から身体を守ってくれ、快適に街ランを楽しむことができた。そして、走り終わった後、数分ストレッチをしていると衣類内部の汗は素早く乾燥してしまい、不快感は皆無。このあたりが、防風性は高くても衣類内部の乾燥に時間を要する、ナイロンやポリエステルの単一素材の布帛を使用したシェルとの大きな違いである。マイナス2℃を記録した厳寒のボストンは、チャールズ河畔を走った際にも着用したが、絶妙な防風と透湿のハーモニーで、「これなら早朝や深夜といった気温の低い時間帯を走っても大丈夫!」と確信した。そして、パンツのディテールでとても便利だと思ったのが、両サイドのジッパー付きポケット。スマートフォンや薄手のシェル、手袋などを、脚の動きを妨げることなく、走行中の脱落の心配なしに収納することができるのだ。
2.
icebreaker MERINO 150 LONG SLEEVE TEE
100%メリノウールを使った150g/m2という薄手のジャージー生地を使用したロングスリーブTシャツは、シーズンや着用シーンなどを選ばない汎用性が高い一着。暑くても寒くても衣服内の調温調湿に優れ、快適な着心地になるメリノウールの特性を備えている。ポリエステルなどの化学繊維と違って、汗冷えしにくい点も嬉しく、このモデルは、生地が厚過ぎず、気温の順応性に優れており、東京、釜山、ボストン、サクラメントといった気温も湿度も全く異なる場所でのランに使用したが、快適な着心地を提供してくれた。特に釜山とボストンではかなり気温が低かったが、先に紹介した<パタゴニア>のウインド・シールド・ジャケットとウインド・シールド・パンツと組み合わせることで、寒さに負けることなく、快適に走ることができた。個人的な感想では、ライフスタイルシーンでは200g/m2の厚さの生地がピッタリだが、走る際に着用するなら150g/m2が最適だと思う。
3.
THE NORTH FACE Etip Short Glove
寒い日を快適に過ごすには、身体の末端を露出しないことが重要。そのためにも寒冷時のランニングには手袋はマストアイテムとなる。<ザ・ノース・フェイス>のこのグローブは、充分な防風性、保温性と着けたままスマートフォンの操作可能なイーチップテクノロジーを組み合わせた優れモノ。また、あえて手首側の丈を短くしたデザインは、GPSウォッチに干渉せず、視認性に優れるだけでなく、時計の操作がしやすいのも嬉しいところ。
4.
THE NORTH FACE Heat Stretch Beanie
手と同様に耳や頭部も身体の末端部分となるだけに、この部分を負うことは冬季に快適に走るのに効果的。そういった意味では、キャップデザインやハットデザインよりも頭部と耳を同時に保護できるビーニーやニットキャップのほうがオススメ。個人的には縫い目が肌にあたらないホールガーメント構造を好んでおり、このビーニーは保温性に優れるだけでなく、長時間の着用でも快適なのがありがたい。ちなみにこのモデルは、2021FWシーズンのリリースで、現在は全く同じプロダクトは展開されていないが、<ザ・ノース・フェイス>からは、ランニングにもマッチするいくつかのスタイルのビーニーが展開されている。