LA SPORTIVA<スポルティバ>初のウルトラトレイル専用モデル「プロディジオ」を試してみた!
1928年、北イタリア・ドロミテ山麓のヴァル・ディ・フィエンメで創業したLA SPORTIVA<スポルティバ>。本格的な登山靴を中心に、高品質なアウトドアシューズを世に送り出し、世界中の登山家やクライマーの足元を支えてきた。
そんなスポルティバが2024年春、新作「PRODIGIO(プロディジオ)」をリリース。同ブランドはこのシューズを「スポルティバ初のウルトラトレイル専用モデル」と位置付ける。
荒れた山岳地も快適に走破できる
ロングディスタンス対応モデル
このシューズの最大の特徴は、新開発のXFLOWフォームをミッドソールに搭載していること。軽量性、クッション性、反発力など、トレイルランに求められるあらゆる要素を兼ね備えたこのフォームは、従来のEVAと比較すると18%の軽量化、15%のクッション性アップ、18.5%の反発力アップを実現しているという。
アッパーには通気性と速乾性の高いメッシュ素材を採用。ソール形状はつま先とかかとが上がったプログレッシブロッカー構造で、トゥボックスは足指を動かしやすいよう高めの設計に。スタックハイトは34/28ミリ、ドロップは6ミリ。
アウトソールの素材は耐久性とフリクション性を両立した独自のコンパウンド、FriXion RED。グリップ力と衝撃吸収性に優れ、長時間のトレイルランでも快適な履き心地を支える。
「走ればわかるさ!」
副編集長・榎本一生のウェアリングインプレッション。
『ランナーズ・パルス』副編集長・榎本一生のウェアリングインプレッション「走ればわかるさ! トレイル編」。今回は、スポルティバ初のウルトラトレイル専用モデル「プロディジオ」をレビューする。
トレイルランニングシューズは「スポーツブランド系」と「山岳ブランド系」に大別される。前者はロードランのテクノロジーをトレイルランに応用し、後者は登山靴で培った機能をトレイルランに落とし込む。スポルティバは、もちろん後者。主力商品の登山靴は頑丈で耐久性の高さに定評があり、8,000メートル級の高峰を目指す登山家からも愛される。そしてこのブランドには「トレイルランニング」というカテゴリーは存在しない。あるのは「マウンテンランニング」というカテゴリー。今回テストした「プロディジオ」もこれに属する。
「ウルトラトレイル専用」を謳うワケとは。
今回「プロディジオ」をテストしたのは茨城県の筑波山周辺の山域。柔らかい土の登山道や砂利の林道のほか、沢や岩場などもあり、サーフェスは変化に富む。低山の魅力がギュッと詰まった山域だ。そのバラエティ豊かなトレイルに、このシューズが好相性。軽やかで足さばきが良いうえ、つま先部分のオーバーレイが木の根や小石から足をガード。あらゆる地形を楽しく安心して駆け抜けることができた。
特筆すべきは、XFLOWのミッドソール。ふわふわというよりも、もっちりと弾力のある質感で、着地時のエネルギーを前方への推進力へと変換してくれる。着地のたびにポーンと弾むような履き心地だ。今回はトレイルを約15キロ、ロードを約10キロ走ったが、ラン中に余計なストレスや違和感を感じることはなく、ラン後の疲労感もほとんどなし。「スポルティバ初のウルトラトレイル専用モデル」と謳っているのはこういうことかと納得感があった。
個人的な印象として、これまでのスポルティバの「マウンテンランニング」カテゴリーのシューズは、頑丈で耐久性が高いものの、足当たりの硬さが気になっていた。ミッドソールも最近のトレンドであるマシュマロ弾力系とは真逆の硬さ。悪路走破性は高いがクッション性に乏しく、走り方にちょっとしたコツが必要だった。一方、「プロディジオ」は、ミッドソールのクッション性が高く、足当たりも柔らかい。これまでのスポルティバのシューズとは明らかに趣を異にするスポーティなフィーリングだ。ある意味で「らしさ」は薄れたものの、ブランドの持ち味であるプロテクション性やグリップ力は健在。全体的にバランスが良く、汎用性の高い一足に仕上がっていると感じた。あらゆるトレイルを楽しく快適に走りたいファンランナーはもちろん、中長距離のレース用シューズを探している人にとって有力な候補になると思う。
LA SPORTIVA PRODIGIO
サイズ:38~48(約24.0㎝~30.0㎝)
¥ 25,300(税込)
INFORMATION
日本用品株式会社 スポルティバジャパン・ディビジョン
Tel. 03-3841-6965
https://www.sportivajapan.com/