Running Gear Council-ランニングギア評議会-
第5回「日本においてもポピュラーな存在へ。アディダス スーパーノヴァという選択」
スポーツシューズに関連したビジネスに従事して35年になるRunners Pulseの南井編集長が、ランニングギアをマニアックに考察する連載コラム「Running Gear Council-ランニングギア評議会」。第5回のテーマは、日本でも急速に注目を集めることとなったadidas Running(アディダスランニング)のサブカテゴリー、SUPER NOVA(スーパーノヴァ)を紹介する。
日本においてアディダスランニングのプロダクトコレクションといえば、真っ先にその名前が挙がるのは、adizero(アディゼロ)で間違いないだろう。その理由としては、最高のフィット感をランナーに提供するために、0.01mm単位までこだわって削り出したラスト(木型)による“microfit(マイクロフィット)”を開発した、シューズクリエイターの大森敏明氏を始めとした日本人がそのスタートに大きく関与していたことや、日本人ランナーの好む軽量なプロダクトが数多くラインアップされていたからだろう。
しかしながら海外に目を向けると、アディダスランニングの他のコレクションを履いているランナーを頻繁に見つけることができる。2018年にベルリンマラソン、2019年にボストンマラソンを走った際は、ウルトラブーストやソーラーブーストといったブーストフォーム搭載モデル、アディスターやスーパーノヴァといったプロダクトを履いたランナーを数多く見かけた。日本では、これらのシューズをフルマラソンで履いているランナーは決して多くないが、欧米では当たり前なことに驚いた。そして2023年末、「<アディダス>が日本でもスーパーノヴァのシリーズに注力する!」という話を聞いたときは、従来のスーパーノヴァのプロダクトが「日本人ランナーには重いし、固い」という印象だったので、最初は信じられなかった。
2023年11月30日、千葉県の「リソルの森」で行われたメディア、インフルエンサーを招いて行われたイベントでは、大幅に刷新されたスーパーノヴァの第一弾となるSUPERNOVA RISE(スーパーノヴァ ライズ)をトライすることができ、ミッドソールの<アディダス>の高機能ランニングシューズに採用されているライトストライク プロをインスピレーションに開発された新フォーム素材のドリームストライク+(プラス)や、ランニング中の足の動きから着想し、アウトソールに組み込まれた革新的なサポートロッドシステムが、サポート性とスムーズな体重移動の絶妙なバランスを実現していることを体感。イベント参加者からは「こんな感じの気軽に履ける<アディダス>のランニングシューズを待ってた!」「柔らかいクッションが印象的で、本当に楽しく走れるシューズですね!」といった声が聞かれた。あえて他ブランドのプロダクトの名前を出すと、ソフトな走行感はHOKA<ホカ>のクリフトンシリーズを想起させられ、イベント後はヘビーローテーションで履く1足に。先行販売された店舗では短期間で完売することも珍しくなく、日本のランニングシューズ市場でもスーパーノヴァは、アディゼロとともにランニングシューズの選択肢として、確固たる地位を築くことに成功したと思う。
スーパーノヴァは今春から本格展開され、走り心地と安定性、高いクッション性を実現したSUPERNOVA RISE(スーパーノヴァ ライズ)、快適な走り心地とスムーズな体重移動を叶えるSUPERNOVA SOLUTION(スーパーノヴァ ソリューション)、毎日のランに必要な安定性を追求したSUPERNOVA STRIDE(スーパーノヴァ ストライド)をラインアップ。走ることを楽しむための心地よさを提供し、ビギナーランナー、気分転換や健康のために走るファンランナー、そして自己記録更新などレベルアップを目指すランナーまで、幅広いレベルのランナー、さまざまなタイプのランナーにマッチ。スーパーノヴァは日々のランを心地よく楽しむことを足元からサポートしてくれるのである。
そして6月4日には、快適性とサポートを両立したニューモデルであるSUPERNOVA PRIMA(スーパーノヴァ プリマ)をリリース。ドリームストライク+をスーパーノヴァ ライズよりも13%増量。この素材をつま先からかかとまでフルレングスで配され、前足部の強い蹴り出しを実現するとともに、これまでに体感したことがないような走行感と快適性を提供してくれる1足となった。そのフワフワとした走り心地は秀逸で、あまりに快適なので、いつもより走行距離を伸ばしてしまったほど。さらにボリュームアップされたミッドソールは、ペースアップもより一層スムーズになったと思う。今後もスーパーノヴァは走行性能向上を怠ることなく、ランナーを快適に走らせてくれる存在であり続けるだろう。