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COLUMN

「いくつになってもチャレンジ」 ~東京マラソン3時間05分10秒への軌跡~ R.R.C.メンバー桜井徹哉さん。 第17回活動レポート。 

2023.04.13
Tatsuya Matsuzaki/RETO RUNNING CLUB

今回はRETO RUNNING CLUBのメンバーとして、目標達成を日々目論んでいる桜井徹哉さん(63歳)にスポットライトを当ててみた。還暦を越え、市民ランナーとしてなおサブ3を目指すそのモチベーションはどこから湧き出てくるのだろうか! 注目です。

東京マラソンを3時間5分10秒で走り、サブ3にリーチをかけた桜井徹哉(63)さん。昨シーズンのマラソンのスタートは北海道マラソンで、3時間31分58秒だった。わずか7ヵ月で26分もタイムを短縮し、サブ3目前にまで迫った走りは、多くのメンバーに刺激と感銘を与えてくれた。そこに至るまで、どんな道程を歩んできたのだろうか──。

昨シーズンのスタートは、最悪だった。足裏に激痛が走る足底腱膜炎に悩まされていたのだ。「6月から足底腱膜炎になり、RETO RUNNING CLUBの富士見合宿ではかなり厳しい状態になっていました。走り始めから痛く、翌日の朝起きた時に痛みのピークが来て、かなりキツかったです。そのため、満足に走れず、7月、8月は120キロ程度と走行距離がかなり落ちてしまいました」。

シーズン初のレースとなった8月の北海道マラソンでは、足の状態が悪く、距離も踏めていない中でのチャレンジになり、最低ラインと考えていたサブ3.5を切れずに終わった。その頃、ライラック治療院とAR-Ex尾山台整形外科に通い始め、治療を始めると、9月の下旬から症状が少しずつ改善していった。「テーピングをしながらですけど、ようやく気合を入れてスピード練習ができるようになりました。ただ、練習ではついていけないことが多かったですね。9月の富士見合宿でも本当は3分40秒でついていかないといけないのですが、4分5秒で1回減らしてとかでしかやれず、10月3日の練習会の皇居2周(4分15秒)もついていけなくて本当に悔しかった。でも、レガシーハーフでPBを更新し、10月17日の練習会で、10キロのMペース走(4分15秒)についていけた頃から調子が上向きになり、金沢マラソン(10月30日)でPBを更新(3時間14分11秒)することができたんです」。

苦しんでいた9月の冨士見合宿では満足に走ることが出来なかった

11月20日の神戸マラソンは、足の調子がかなり改善されたため、自己ベストを狙ったが腹痛が起こり、トイレ休憩を余儀なくされた。逆風での単独走、最後の登坂に苦しみ、3時時間19分07秒に終わった。ただ、タムケン練などに参加し、ビルドアップもこなせることで走力が上ってきている感触は得ていた。

12月29日のビヨンド2022は、前年の経験からとにかくペーサーについて走ることを決め、3時間10分の集団の中に身を置いた。「RETO RUNNING CLUBのメンバーが応援してくれて、スペシャルドリンクまで並走してサービスしてくれたので、本当に心強かったです。最後の1周は、バックストレートでの逆風が強く、心が折れそうになりましたが、RETO RUNNING CLUBでペーサーをしてくれる阿部ちゃんが3時間10分のペーサーにいてくれてマンツ―で引っ張ってくれました。そのおかげでペースを崩すことはなく、3時間8分30秒で目標の3時間10分を切ることができました」。10分を切れたことで、サブ3の山が見えてきた。

ビヨンドでぺーサーの阿部さんに引っ張られる桜井さん

東京マラソンに向けては、1月から3分台で走るスピード練習に自分がどこまでついていけるか、がベンチマークになった。例えば、3分50秒、4分30秒、3分50秒という変化走をこなしていくことで「やれる自信」をさらに膨らませていった。1月の九十九里合宿も大きかった。1月21日の3キロのインターバル、3分55秒、4分5秒、3分55秒をこなし、4分20秒から30秒設定の25キロもラストは4分ちょうどくらいまで上げてやり終えた。2月27日の練習会のメニューの1000m×3本(3分50秒)、3000m(4分)+1000m(3分50秒)×2を完璧にやることができた。「この設定のメニューを東京マラソン前に出来たのは、すごく自信になりました」。

公式練習会では仲間の応援を受け、いつも必死に食らいつく

桜井さんのスピード練習は、RETO RUNNING CLUBの練習会の時だけではない。等々力競技場のトラックで、自主練でもスピード練習をしていた。また、安定したフォームを維持するためにも体幹トレーニングを欠かさなかった。毎朝、プランク(2分×2)、サイドプランク(2分)、腹筋背筋、スクワット(100回×2)に加え、1月の合宿で中野ジェームズ修一氏から学んだトレーニングをこなしている。昨年の夏からはヨガも始めたという。

足底腱膜炎の時からつづく通院も欠かさなかった。1月まではAR-Ex尾山台整形外科に週2回、ライラック治療院には月1-3回、ボディビルダーのバズーカ日高が主宰するスポーツ系マッサージにも通った。AR-Ex尾山台整形外科では、先生がテーピングのやり方を動画で録画してくれた。KTテープもふくらはぎのつり防止のために使用した。圧着するハイソックスの下にKTテープを貼ることで東京マラソンでは1度も攣ることなく走ることができた。「やっていることは、小さなことなんですけど、こういうことの積み重ねが大事かなと思っています。走るだけじゃなく、ケアとかも全部ひっくるめてのマラソンだと思っているので」。

RETOユニフォームを着用した東京マラソンでは、沿道の応援に応えて激走!

東京マラソンでの3時間5分は、桜井さんの諦めない姿勢と小さな努力を1枚、1枚積み重ねてきたことから生まれた必然にも近い結果だったのではないだろうか。そして、これは年齢に関係なく、目標達成を目指す多くのランナーに通じるマラソンへの取り組み方の好例でもある。チェリーさん(桜井さんのクラブ内での通称)の挑戦は、まだまだ終わらない。

★マラソンPBの5つのポイント
1 スピード練習
僕は、RETO RUNNING CLUBに入るまでスピード練習をあまりやったことがありませんでした。特に最初は足底腱膜炎もあり、みんなについていくことができず、キツかったのですが、9月のRETO RUNNING CLUBの合宿くらいから頑張れる感触を得られるようになってきました。みなさん、それぞれ自分の「限界スピード」というのがあると思います。僕にとって3分台のスピード練習は、それを打破するものでした。自分のペースを見ながら計算して走るのってけっこう難しいのですが、ペーサーに引っ張ってもらうとついていけますし、やればできる感覚になるので、練習をやり終えた時は、すごく自信になりました。僕にとってはスピード練習がタイムを上げていく上ですごく有効でした。

2 「ビヨンド2022」
ビヨンドは、僕にとって、とても大事なレースになっていますし、タイムの基準になっています。一昨年のビヨンドに岩出玲亜さんのチームで出場し、3時間20分のペーサーについて走り切れた自信をもって東京マラソンを走り、3時間17分の自己ベストを出すことができました。今回の東京マラソンの結果も昨年のビヨンドで3時間8分のタイムで走れたことで、「自分は大丈夫」と思えたことと繋がっています。今年の暮れのビヨンドでは4分15秒で3時間切りを実現して、来年の東京マラソンで公式のサブ3を達成したいですね。

3 シューズの変更
昨年のビヨンドの時に、NIKEのアルファフライからヴェイパーに変えました。理由は、ちょうどシューズがへたってきて、新(藤原)さんも「腐ってもヴェイパー」と言っていたので、一度、履いてみようと思ったからです。最初、履いて走った時、前脛骨筋とかに変な痛みが出たりして、アルファの方がいいかなと思ったんです。でも、それって自分の走り方が悪いんだなと思い、シューズに合わせた走り方を考えるようにしました。どうやったらいい反発をもらえるのか、三津家(貴也)さんやSUIさんの動画、RETO RUNNING CLUBのAチームの早い人の走りとかを見ていました。足を真下につく、姿勢とか腕振りとか、繰り返して見て練習し、自分の体に馴染ませていきました。いい感触をつかみ始めたのがビヨンドの頃です。東京でのタイムは、ヴェイパーを活かす走りが出来たことも大きいと思っています。

4 走量規制とケア
僕は年齢的なこともあるので、月に400キロは走れません。距離が増えると故障のリスクも高まるので、今は月間で250キロくらいに収めています。同じぐらいケアも大事にしています。練習後、お風呂に入りながら指の間を押すなどのマッサージは欠かせません。風呂上りにはマッサージガンで膝から下をかなり丁寧にマッサージしています。足底腱膜炎など、また故障を繰り返すのはイヤですからね。整形外科の先生からは「走った後、痛くなるのはいいけど、次の日の朝とか痛くなるのはよくない」と言われていますので、その日のうちにケアをして痛みが出ても治まるかどうかチェックしています。翌日、痛みが治まらない場合はランオフにして、決して無理をしないようにしています。

5 マラソンに対する情熱
年齢を重ねていくと、基本的に何事も衰えていく中、マラソンでタイムが伸びていくのは、自分にとって生きがいというと大げさですが、若々しく生きるための大きなモチベーションになっています。それは、RETO RUNNING CLUBの環境にいるから出来ていることだと思っています。タイムでチームが区分けされていますが、年齢や仕事、先輩後輩も関係ない環境の中で純粋に切磋琢磨できるのはすごく大きいですね。莉玖(今川)君や径(新沼)君を始め、最近は加藤真理さんという強いライバルが入ってこられたのですが、負けられないという気持ちが自分を奮い立たせてくれています。もちろん競技面だけではなく、応援し合う仲間ですし、「もっとこういうところをがんばった方がいいですよ」と言われるのもすごく気持ちが良いです。また、径君が詳細なレース報告をしたことで、みんなもレース報告をするようになり、シェアする文化ができました。これは、とても参考になりました。小田鎌(小田原~鎌倉)のように各チーム関係なく、全員一緒に走るのもなかなかないと思うんです。名古屋でサブ4を達成した美帆(吉岡)さんは、途中でやめようと思いながらも諦めずに走った小田鎌の経験が目標を達成した一つの要因だと思いますし、全員で走ることでチームの一体感が高まりました。合宿もそうですが、こうした複合的な要素が噛み合って、RETO RUNNING CLUBは素晴らしいチームになっているし、そこに参加できたことで、僕はここまで頑張ることができたんだと思っています。



◆これからの目標
今シーズンも北海道マラソンからスタートしますが、目標はサブ3達成です。アボットの年齢別世界選手権からメールが来て、シカゴマラソンに出場できるようになったのですが、そこでサブ3ができたらちょー格好いいかなと思っています。初めてのコースで、海外というので難しい面はありますが、チャレンジしたいですね。

僕は、アボットでは60~64歳までのカテゴリーなのですが、東京マラソンで3時間10分を切ったので、来年の年齢別世界選手権の大会に出場ができるらしいのです。今年はシカゴで来年はニューヨークなのか、ベルリンなのか、わからないですが、6大メジャー制覇というのにもチャレンジしてみたいと思っています。もうひとつは、嫁さんとホノルルマラソンに出ることですね。嫁さんは、「走りたくない」と言っているのですが、元気なうちに一緒に走りたいですね。

サブ3の目標達成に向けて、シカゴマラソンでトライしますが、そこが難しくても年末のビヨンドでサブ3を達成したいですね。そうして、来年の東京マラソンで公式にサブ3。これは、しっかりやらないとなぁって思っています。

2022年8月~2023年3月までの桜井さんのランニング記録(画像をタップして拡大)

2022年 月間走行距離
4月 222.2km
5月 190.7km
6月 171.1km
7月 124.1km
8月 121.1km
9月 152.5km
10月 238.6km
11月 216.4km
12月 264.7km
2023年 月間走行距離
1月 253.6km
2月 246.6km

 

いよいよ2年目の活動を開始! RETO RUNNING CLUB(レトランニングクラブ)が新規メンバーを募集

 

施設協力:MARUNOUCHI Bike&Run
営業時間
平日 6:30~22:00 (最終受付21:20)
休日 6:30~19:00 (最終受付18:20)
TEL.03-6269-9806
https://bike-run.jp/

Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
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