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COLUMN

“挑戦”をサポートする、RETO Running Club powered by Runners Pulse 第5回活動レポート。

2022.07.18
Kanta Nakamura

RETO Running Clubが8月からの第2クールに向け、定員拡大による新規メンバー募集を開始!

RETO Running Club(以下、R.R.C.)の第5回目の練習会が行われた。冒頭、高木聖也コーチからメンバーに感謝の言葉が告げられた。「第2クールの継続、100%でした。みなさん、本当にありがとうございます。これからも目標達成に向けて頑張っていきましょう!」。メンバーからは、大きな拍手が上がった。継続型のクラブ事業で、どのコースからもひとりも退会者が出ないのは、すばらしいこと。コーチングスタッフは安堵の表情を見せるとともに、引き続きメンバーの目標達成に向けて充実したカリキュラムとトレーニングの場を提供していく覚悟を新たにしていた。

そして、この日の練習メニューが高木コーチから発表された。
4000 m(1000 m+3000 m)+1000 m (レスト5分)
最初の1000mは、追い込み体を疲れさせる。3000mはMペースで走り、残り1000mは最後に上げるイメージで終える。変化走のひとつで、マラソンで後半のエネルギー不足を確認し、1000mで追い込むメニューだ。ABCの各チームの設定タイムが告げられ、少し緊張感が漂う。

ここでゲストコーチが紹介された。神野大地選手がケニア合宿に旅立ち、8月末まで練習参加ができない。そこで今回、三津家貴也さんがゲストコーチとして招かれた。三津家さんは筑波大陸上部出身で筑波大大学院でも陸上をつづけ、主に800mと1500mを主戦場とし、800mでは日本選手権にも出場した。現在は、ランニング指導を始め、Instagram(5万人)、YouTube(5万人)、TikTok(36万人)など多くのフォロワーを持ち、インフルエンサーとしても活躍している。イケメン過ぎて、陸上ファンというよりも三津家ファンが非常に多いランナーだ。

「今日は、神野選手のチーム練習に呼んでいただきありがとうございます。この後、ドリルを少しやらせていただきます。よろしくお願いします。」

メンバーから「よろしくお願いします!」というハリのある声が響き、いつもの練習場へと向かった。三津家さんのドリルが始まった。神野選手の動的ストレッチにだいぶ慣れてきたメンバーだが、初めて体験するドリルに少々戸惑い、三津家さんのツッコミに、時々笑いが起こる。

「足を前に出すとブレーキがかかるので、体の真下に足をつくようにします。」
「もも上げは、ただ、もも上げするんじゃなくて、空中で足を切り替えることを意識します。」
「ただ、動きをマネするんじゃなくて、この動きがどういうことにつながるのか、頭で考えてください。」

三津家さんの言葉に頷くメンバーたち。飲み込みが早い人も、右手と右足が同時に動く人もいるが、いいムードの中でドリルが進んでいった。

「やったことがなかったので、三津家さんのYouTubeで復習します。」、複数のメンバーがそう口にしたように、ドリルは大きな刺激になったようだ。こうしたひとつひとつの学びを無駄にせず、取り入れて走りを改善させていくことが速く走るためには不可欠だ。

ドリルが終わると、Aチームからスタートしていく。Aチームは高木コーチ、Bチームは田村コーチ、Cチームは村山智彦コーチと三津家さんだ。Cチームの村山コーチが「先頭で走る人?」と声掛けしたが、最初の設定が少し早いせいか、反応が薄い。いつもは小池朋輝さんが前の方で走っているが、今回も彼が先頭でスタートした。

小池さんは、元高校球児(捕手)で神奈川大3年生。ランニングを始めてまだ1年だが、キッカケはコロナ禍の影響でリモートでの授業が増えて外出する機会が減り、運動不足解消のためだった。「お金もかからないし、好きな時に走れるので。最初は2キロでもゼーハーだったんです。でも、5キロ、10キロと距離が増すごとに走り切った後の充実感がすごくて、ランニングの沼にハマりました。」。その5ヵ月後にはハーフに出て1時間38分を出した。「とりあえずペースメーカーについていったらこのタイムで、自分でもびっくりしました。」という。それ以降も月間で350キロ以上を走り、今年の4月のハーフで90分を切った。秋、初フルで富山マラソン、湘南国際マラソンに出走予定だが、「30キロ走を4‐5回していますが、後半かなりタイムが落ちるのです。マラソンは30キロ以降がきついと聞くので怖いですね。」と不安を隠さない。それでも「やるしかない!」という覚悟でいる。「チームには自分より年齢が上の人ばかりで、すごく頑張っている。そこで自分は弱音を吐けないです。まずはサブ4をクリアして、最終的にはAチームに入ってサブ3に挑戦したいです!」。力的には、もうBチームでも行けそうだが、今後どうのようにステップアップしていくのか楽しみだ。

小池朋輝さん

同じく前の集団で走っていたのが、浜田義行さんだ。浜田さんがランニングを始めたのは6年前、キッカケはメタボ解消だった。当時は仕事が忙しく、夜の付き合いも多かった。運動を何もしていなかったので、みるみるうちに体重が増え、90キロを超えたという。「見た目にもデブでしたし、健康診断で危ない項目がどんどん増えていって、このままだと死んじゃうと思い、何か運動をと思ったのです。その時、手軽に始められるということで走ることを始めました。」。浜田さんはマラソンではなく、トライアスロンを始めた。だが、3種目こなすのに疲れ、トレイルランニングに転向。その楽しさにハマって、今はトレランがメインになっている。今回、R.R.C.に参加したのは、走力をアップし、ロードでも結果を出したいという思いからだ。「トレイルでも走力が欠かせないですし、ロードをやることで走力も付くと思うので、まずはサブ4をしっかりクリアしたいですね!」と語る。秋のターゲットレースは、岩手盛岡シティマラソン。以前にも出走した経験があるので、コースは把握している。トレイルも今年は50キロ、来年は110キロ、再来年は100マイルのレースに挑戦する予定だ。

浜田義行さん

1000mが終わった後、マラソンペースに入る。先頭集団から少し遅れていたメンバーも徐々に前に追いつき、大きな集団になっていった。三津家さんは、集団全体を見る感じで、「そうです、そうです、お尻を使ってくださいね。」、「さぁ追いつきましょう。いけますよ。」と声をかける。

金美淑さんも前に追いついた。金さんがランニングを始めたのは8年前、近所にできたジムの会員になってからだ。基本はトレッドミルで、週1日はジムの練習会でロードを走り、週5日はコア系のトレーニング含め筋トレをした。3年後に那覇マラソンに出走し、4年後には湘南国際マラソンでサブ4を達成した。「走っている距離は少ないのですが、コアトレとか筋トレとかの効果があったのだと思います。」と金さんは笑うが、2018年の湘南国際で3時間45分を出した。翌年の湘南国際はゴール手前3キロ地点で脱水症状になり、3回も転倒しながらゴール。悔しさを抱えてリスタートしようとしたら健康診断で胸に良性の腫瘍が出来て、手術した。1日で退院し、1週間後にジムに通い、3週間目に走ったとのことで、まさに超人的な回復だった。ただ、コロナ禍の影響で在宅になり、7キロ体重が増えたので、1年かけて10キロを落とし、昨年の長野マラソンが復帰レースになった。その後、R.R.C.に入り「メンタルが変わった」という。「いつも遅いけど、それでもここに来て、練習して早くなる!」と前向きに練習に取り組んでいる。さいわい、術後1年の経過観察も終わった。12月の青島太平洋マラソンに向けて、「これからバリバリ走っていきます。」と自己ベスト更新を目指す。

金美淑さん

4000mを終えて、5分のレスト。夜は直射日光がないが、都会特有の空気に熱がこもり、蒸し暑さが残る。みんな、かなりの汗をかいている。「さぁ、1000mいきます!」村山さんの声に「はい!」とチームのメンバーが反応する。

20秒遅れでスタートしたのが西尾紗梨愛さん、加藤俊宣さん、新沼径さんの3名。そのなかで、ラスト1000mを3分32秒でまとめたのが新沼さんだ。高い身長を活かしたダイナミックな走りが特徴で、三津家さんに「フォームがきれい。」と言われた新沼さんが、ランニングを始めたのは4年前だ。初フルはその1年後の東京マラソン。周囲の人が出るとのことで、単純に自分も出たいと思ってエントリーした。マラソンは出走が決まってから練習し始めた。「試験がないと勉強しないタイプ」で、10キロを3回くらい走って出走、4時間26分33秒で走り切った。「終わった後、正直2度と走りたくないと思いました。30キロ過ぎて足が止まり、そこからは本当に地獄でした。」と言う。だが、それ以降もコツコツと走り、5月には月間走行距離が270キロを越えるなど、着実に距離を踏んでいる。「北海道マラソン、千葉アクアラインマラソン、東京マラソンを走る予定です。まずはサブ4が目標です。レースが始まると調子にのって行き過ぎてしまうので、そこを抑えて、無理せず欲張らずにやっていきたい!」。練習での果敢な攻めの走りとは裏腹に、レースプランは慎重。同チームの西尾さんとは、「メラメラと燃えながら切磋琢磨しています。」とのことで今後、ふたりしてステップアップしていきそうだ。

新沼径さん

加藤俊宣さんは、ラストの1000mを3分36秒で走り切った。ランニングを始めたのは6年前、社会人になって運動が出来ていなかったのと、奥さんがマラソンを走っていたので、その影響を受けたのがキッカケだ。その後、すぐに袋井クラウンメロンマラソンに出走した。すぐに大会に出たのには、理由があった。「小学校から大学までテニスをしていたのですが、練習は好きじゃなくて大会とか試合が好きだったのです。マラソンも、レースでアドレナリンが上がるあの雰囲気が好きなんですよ!」と語る。レース直前の1ヵ月程度しか練習しなかったので、特にタイムを追うことはしなかった。その後、本格的にマラソンにスイッチが入ったのが、コロナ禍の影響で在宅勤務になり、走る時間が増え、タイムが上がってきたからだ。昨年の富士山マラソンで3時間48分27秒の自己ベストを出し、サブ4を達成した。ここからサブ3.5かなと思いきや、1月に転職し、そこから多忙になり4月までほとんど走れなくなった。「その影響は大きいですね。4000m+1000mとか短い距離なら誤魔化しがきくのですが、10キロを越えるとスピードが落ちるんです。20キロ以上も走れていないので、これから戻していきたいですね。」と言う。12月の湘南国際マラソンでしっかりとサブ4を達成し、あわよくば自己ベスト更新を狙っている。

加藤俊宣さん

練習が終わり、メンバーの多くが三津家さんと写真撮影会。ランステに戻った後、三津家さんは、今回の練習会とR.R.C.について、こう語ってくれた。

「みなさん、動き作りをすぐにパっとできている人が多いので、びっくりしました。それができるということはレベルが高いということですし、神野選手たちが教えられていることが浸透しているんだなと思いましたね。あと、動画を見てくださっている方が多くて、事前に動き作りをやっていた方もいて、それがすごくうれしかったです。」

昨年11月に独立した三津家さんは、今やりたいことがあるという。
「ランニングのすそ野を広げることですね。ランニングって人から見ると、何で走っているの? とか、きついのになんでやっているの? って思われているのですが、それってランニングの楽しみ方をわかっていない方が多いのと、その楽しみを伝えられていないところに問題があると思うのです。でも、こうしたらラクに速く走れるようになるよ、っていうのを伝えたりして、ランニングの楽しさや魅力をより多くの人に理解してもらいたい。そのための活動をやっていきたいと思います。」

三津家さんは、そのために実際にスクールを行ったり、大会を催したり、動画を作り、ランナー対象のものばかりではなく、普段走っていない人にとっても面白い、カッコいいなと思えるものを作り、配信するように心がけている。同時に、陸上全体のことを考えている。

「陸上は、他のスポーツに比べると知名度も一般的な評価もまだまだです。この業界が発展していくためには、まず多くの人にこのスポーツの魅力を知ってもらうことだと思うのです。ただ、選手は普及活動とかやりきれないところもあるので、そういう部分を自分がそのスポーツの魅力を伝えていき、やるだけではなく、観ても楽しめるものにしていきたいですね。」

マラソンの人気は高いが、トラック競技は短距離や中距離はまだしも、長距離になるとどうしても離れてしまう人が多い。三津家さんのファンやフォロワーの視線を、どう陸上競技に向けさせていくのか。難しい課題だが、それを三津家さんがどう解していくのか楽しみだ。

こうした練習会の様子や富士見合宿などの写真から刺激を受け、三重県で高木コーチがアップした400mインターバルなどのメニューをひとりで消化しているのが、北岡剛さんだ。

北岡さんは今、病気と怪我からの復帰途上にいる。2018年、サブ4を達成し、さぁ次は金沢マラソンでサブ3.5だと意気込んでいた。だが、レースの2週間前、脳梗塞になって倒れ、その際に頭がい骨を骨折、入院生活は3ヵ月半にも及んだ。1年後には少し走れるようになったが、後遺症で右手が痺れ、さらに昨年の4月に脳を痛めた影響でてんかんを発症、しばらく練習ができなくなった。「医者からは、走るのは止められていないので、今年に入り、ようやくサブ4の練習ができるようになりました。健康第1ですけど、やはり目標を持ってやりたいので、サブ4と怪我を乗り越えていきたいと思っています。」と語る。R.R.C.に応募したのは、もともと神野選手の走りが好きだったこともあるが、練習に参加できなくても練習メニューやオンライン講習などで、いろんなことを吸収したいと思ったからだ。北岡さんのサブ4チャレンジは、12月に三重県で初めて開催される松阪マラソンになる。「地元で1回目のレースですし、そこでサブ4を達成したいですね。」と抱負を語る。今は病気のこともあり、遠出しての練習やレースは避けているが、いつか神野選手と一緒に走れる日を楽しみにしている。

北岡剛さん

メンバー同士の自主練も活発化してきており、各自の走力は確実に向上している。ケニアに到着した神野選手からは、連日現地の様子が届いている。次回は、第1クールのラストの練習会になる。




Team R.R.C.

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Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
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