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COLUMN

“挑戦”をサポートする、RETO Running Club powered by Runners Pulse 第3回活動レポート。

2022.06.18
Kanta Nakamura

RETO Running Club(以下、R.R.C.)第3回目の練習が6月13日に行われた。今回の練習メニューは、皇居10キロのビルドアップ走だ。前回の400mx10のインターバルは初めて経験するメンバーが多かったが、ビルドアップも正確にタイムを上げていく難しさがあり、「初めてです。」というランナーが多かった。

練習前、神野選手が全員に伝える。
「今日のような練習前は不安になり、緊張すると思います。でも、こういう練習をしていかないと成長しません。緊張しつつも楽しんで。注意点としてはキツくなってもフォームを崩さないこと。では、今日もがんばっていきましょう!」

神野選手の声にメンバーが「はい!」と反応する。皇居を2周するビルドアップということで、チームが少しばらける可能性が出てくる。そのため、今回は神野選手を軸に高木聖也コーチ、田村健人コーチに加え、RUNNING SCIENCE LABから邊見勇太さん、山岸穂高さん、村山智彦さんの6名が各チームの前後につくという分厚いバックアップ体制がとられた。

スタート場所近くまでジョグし、そこでアップ。練習前の丁寧なアップはパフォーマンス向上と怪我防止に不可欠だ。今回は、これまでと違う新しい動きが入った。

サブ3のAチームは、邊見さんと田村コーチ、サブ3.5のBチームは高木コーチと山岸さん、サブ4のCチームは神野選手と村山さんが担当することになった。Cチームは、AチームやBチームに抜かれることを想定し、一番先にスタート地点に移動。やれるのか、どうなのだろう、そんななんともいえない緊張感が漂う。

「じゃ、みなさんスタートしましょう!」神野選手の声が響き、10キロのビルドアップ走が始まった。最初の3キロは5分50秒ペースで村山さんが前で引っ張り、神野選手は最後尾につく。スタートからいいリズムで前についていたのは、塩谷祥加さんだ。

塩谷さんがランニングを始めたキッカケは、会社での飲み会が多く、年齢とともにお腹が出ている先輩が増えているという危機感からだったという。最初は5キロ前後をゆるゆると走っていたが東京マラソンに当選。2019年大会に出走、「雨で寒かったのですが、沿道の応援がすごくてマラソンって自分がヒーローになれるんだ。」と感動し、見事、完走した。つづいて同年のつくばマラソンを走り、4時間48分の自己ベストを出した。その後、サブ4を狙って走り続けていたがコロナ禍の影響で大会がなくなり、モチベーションが低下。でも、「このままじゃダメだ!」と奮い立ち、ランニングチームを探していたところR.R.C.に出会った。「それまで仕事が忙しくて、走ることを妥協してしまうこともあったのですが、疲れてもちょっと走るとか、高いモチベーションを維持していた頃に戻りました。」という。秋のレースは未定だが、冬は大阪国際女子マラソンなどの出走を考えている。

塩谷祥加さん

俵田みふみさんも前を走っていたひとりだ。俵田さんは、ある雑誌が主宰するランニングチームに属していた。コーチが付き、練習メニューも提供されていたが、あまりガチな感じではなかった。高校時代はチアリーディング部、音大ではミュージカル科で、大会に出たり、いい役を得るためにヒリヒリするような競争をしてきた。楽しいだけのランニングチームに物足りなさを感じ始め、「がんばれる何かがほしい。」と思い、サブ4にチャレンジすることを決めた。現在、フィットネスクラブのインストラクターと小学校の体育教員をしており、自ら「体力お化け」と語るほど、体力には自信がある。そこに走力がついてくれば、PBの4時間55分をすぐに更新し、一気に伸びてきそうな気配を感じさせる。「負けん気が強いのでコーチについていきます。」とメンタルも強い。秋の横浜マラソンでのサブ4達成だが、俵田さんならクリアできるだろう。

俵田みふみさん

3キロを越え、5分40秒程度にペースアップ。坂を下り、メンバーの表情にもまだ余裕が感じられる。この区間、安定した走りを見せていたのが、野崎七菜子さん、田中智子さんだ。

野崎さんがランニングを始めたのは、10年前。病気から体力を回復するために多摩川でウォーキングを始め、そこでジョグをしている人を見て、「これならいけるかなと思ってゆっくり長く走ることから始めました。」という。そこからランニングにハマり、初フルでサブ4を達成、5年前のつくばマラソンで3時間34分をマークした。さらにサブ3.5を狙ったが今ひとつモチベーションが上がらず、タイムも落ち、2年前は5時間もかかった。「前はもっと走れたのにと思うと、大会に出るのもイヤになって。」と気持ちが落ち、ファンラン主体に切り替えようと思っていた。そんな時、R.R.C.に出会った。練習に参加し、「みんな、モチベーションが高くて、刺激になりました。走りたいという気持ちが沸いてきました。」と徐々に巻き返すことを考えている。ターゲットレースは、愛媛マラソンを予定。サブ4を達成できると3年間抽選なしで出走できるので次も達成し、その権利を獲得するつもりだ。

野崎七菜子さん

田中さんが、ランニングを始めたのは32歳だった。すぐに長い距離を走るようになったが、月間200キロを越えると頻繁に故障した。そのために大会前にも痛みが出て、我慢して走る状態が続いた。4時間30分のPBを出した徳島マラソンも痛め止めを飲んでのレースだった。「200キロ走れる人と、私の違いって何なのだろう?」と悩んだが、故障から解放されるキッカケになったのはトレイルランだった。マラソンランナーは痩せている選手が多いが、トレイルは山の上り下りがあるので筋肉がついている選手が多い。「炭水化物を採らないと山を登れないので、食べてトレイルをしていたら膝の故障とかなくなりました。」という。再度、マラソンを走ろうと思ったのは、トレイルではサブ4を達成している人が多く、ロードの経験が活きていると感じたからだ。まずはサブ4を達成し、いずれトレランに戻る予定だ。秋冬のレースは未定だが、今は走力を高めていくことに集中している。

田中智子さん

6キロを越えると、ここから1キロごとに10秒程度上げていく。徐々に集団が縦長になり、前後に開きが出始めてくる。村山さんのラップを告げる声に、メンバーが反応する。最初は、わりと淡々と走っていたが、テンポが上がり、ちょっと疲れが出てくる中での声出しは、気分を変え、パワーを与えてくれる。やや無理やり盛り上がりを作った感もあったが、笑いが起こり、とってもいい雰囲気になってラストに入っていった。ここで強さを見せたのは、鈴木裕子さんと西尾紗梨愛さんだ。

鈴木さんは、ここからラストまで村山さんについていくのだが、軽快な走りはさすが元陸上部。中高時代、400mの選手で、2回目のメニューだった400mのインターバル走は問題なくクリアできたという。高校を卒業後、走ることに興味がなくなったが、10年前に再び走り始めたのは、走るのに適した光が丘公園近くに引っ越してきたのと、東京マラソンを走ってみたいと思ったからだ。ただ、そこからフルマラソンを走るまで6年かかった。「なかなかレースに出る踏ん切りがつかなかったのです。でも、子供がスポーツで頑張っている姿を見て、私も走ろうと思ったのです。」と奮起し、荒川で初フルに挑戦。「本当につらくて、でも歩いたらおしまい。」と思い、4時間50分で走り切った。そして、3年前に板橋シティマラソンで4時間21分のPBを出した。目標は東京マラソンでのサブ4だ。「目標を早くクリアして、トレランで楽しく走る方にシフトしたいんです。」というが、400mを駆けた元陸上部、ひとつひとつクリアしていけばサブ3.5やその先にも手が届くレベルになっていきそうだ。

鈴木裕子さん

西尾さんも終始、余裕があった。ラスト1キロは激走し、4’03”/kmまで上げた。ランナーとしてのタレントを開花させつつある西尾さんがランニングを始めたのは昨年9月。毎年、目標を考えているが、昨年はそのひとつにハーフマラソンを走ると書いてあった。まだやっていなかったので友人とランニングを始め、10キロのレースに出たらランにハマった。初フルは、4月の「かすみがうらマラソン」を4時間03分で完走。あと少しでサブ4達成だった。「人間って、こんなに痛みを感じるんだというくらい痛みがすごかったのですが、おじいちゃん、おばあちゃんがイスに座りながら手を振ってくれる姿を見て、泣きそうになりました。でも、泣いたらタイムが落ちると思って必死でした(笑)。」という初フルだったが、すぐにまたレースを走りたいと思ったという。R.R.C.に参加してからモチベーションが上がり、月間180キロを目標に、週に4‐5日走っている。秋のターゲットレースは湘南国際マラソン。ここでサブ3.75をクリアし、来年の名古屋ウイメンズではサブ3.5を目指す。このまま順調に伸びていけば、実りの秋を迎えるだろう。

西尾紗梨愛さん

ラスト2キロはほぼフリーで、集団が一気にばらけていく。先頭は、村山さんが引っ張り、男性陣がついていき、そのうしろを鈴木さん、西尾さんがつづく。そこで歯を食いしばりながら懸命に足を動かしていたのは、小渕美和さんだ。

小渕さんは、ランニングを始めたのは、今年4月。剣道2段の猛者だが、陸上経験はなく、初回、集合場所まで走っていくジョグが「私が普段走っているジョグのペース。」で、1500mTTも「TTって何?」という感じだったという。それから2ヵ月で10キロのビルドアップを設定通りにこなせたのだからポテンシャルが高い。小渕さんがランニングを始めたキッカケは、自分周りの環境の変化だった。「結婚や出産のラッシュで、友人の話についていけなくて、取り残されているなぁと思ったのです。でも、私なりに20代ラストを全力で楽しみたいと思った時、達成感を一番感じられるのがマラソンかなと思ったのです。それに何かを始めるのに年齢は関係ないんだよっていうのも伝えたくて。」と、R.R.C.の門をたたいた。飽き性だというが、「夢中になってがんばりたい。ちょっとでもみんなに追いつくぞ。」という気持ちで、忙しい仕事の合間をぬって走っている。サブ4クリアの設定レースは、名古屋ウイメンズか東京マラソンで「高い壁を上ってみたい!」とメラメラとやる気に満ちている。

小渕美和さん

「じゃ、次いきます」
神野選手が時計のある手を上げて、6本目がスタートした。

練習は、10キロのビルドアップで終わりではない。仕上げは、200mのダッシュ3本だ。息を整えて、スタートするがメンバーのテンションが上がっているのか、ペースが相当に速い。神野選手も「速くない?」と驚いている。しっかり、5本こなして、今日もいい練習ができた。

Cチームが集まり、神野選手が練習についての感想を述べる。「お疲れさまでした。今日、目の前を走っていた人を次は抜くんだという気持ちをもって日々トレーニングしていきましょう。ちゃんと栄養とって、睡眠もとって休養してください。では、最後、ひとこと言いたい人?」

神野選手の問いに、ちょっと間をおいて吉岡美帆さんが手を挙げた。「今日は、最後遅れたんですけど、最後まで諦めず走れたことで成長できると思いました。今日はありがとうございました!」その言葉に神野選手、メンバーが拍手を送った。

吉岡さんは、4年半前、箱根駅伝が好きで、神野選手と青学の選手が楽しそうに走っている姿に感動し、ちょうど皇居でランを始めようと思った時期に重なってランニングを始めた。最初は1周キロ8分くらいかかったが一度も止まらず、汗をかいて走ることに爽快感を得られた。「それからどんどん走るようになると痩せて、タイムも上がったのです。がんばるとちゃんと結果が出てくることがうれしくてすっかりハマってしまいました。」となり、友人4人で湘南国際マラソンに応募し、完走した。2019年も同大会に出走し、4時間17分のPBをマークした。その後、高知の龍馬マラソンを走ったが、PBを更新できなかった。「これ以上、ひとりでやっても記録が伸ばせない。」と感じて、R.R.C.に参加した。ここで練習して再度、龍馬マラソンにチャレンジしようかなと考えている。「駅伝もやってみたいです。襷渡ししたその場で泣き崩れ落ちそうですけど(笑)。」と語るが、それが実現したら吉岡さんの激走が見られそうで、とても楽しみだ。

吉岡美帆さん

Cチームは、やる気に満ち、個々のパワーと静かな闘志がたぎっていて、いいチームだ。女性陣に勢いがあるが、彼女たちの走りに負けずに踏ん張る男性陣の走りを次回以降にお届けする予定だ。6月17日から19日の富士見高原での合宿を経て27日、4回目の練習が始まる。

Team A

Team B

Team C

Team R.R.C.

施設協力:ラフィネ ランニングスタイル Otemachi One
営業時間
平日 7:00~22:00(最終受付21:00)
土日祝日 7:00~20:00(最終受付19:00)
TEL.03-6269-9097
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Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
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