スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
COLUMN

“挑戦”をサポートする、RETO Running Club powered by Runners Pulse 第1回活動レポート。

2022.05.19

神野大地選手が主宰するRETO Running Club (以下、R.R.C.)が、5月16日スタートした。この日、大手町に集合したのは、サブ3、サブ3.5、サブ4のメンバー合わせて39名。メンバーは4月2日のプレイベント終了後の応募期間にエントリ―し、その後、選考を経て、この日を迎えた。募集時には、サブ3を中心に多くの方からエントリ―があった。

「応募した人をできるだけチームに迎えたい。」というのが神野選手の意向でもあったが、コースごとにきめ細かいサポートをしていくには人数の限界があり、残念ながら漏れた方もいた。

集合場所には、時間前だがすでに多くのメンバーが集っていた。お互いに誰かもわからないので静かな時間が流れていく。どんな人がいるのか? どんなメニューが出るのか? 初めて学校に登校するような独特の緊張感が漂う。

スタート時間になり、神野選手が登場。
雨上がりの空気がピリっとする。

「このチームでは、自分の目標を達成することが一番の目標になります。現状を確認し、しっかりといい練習をして、目標を達成していきましょう。よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします!!」
メンバーの声が大きく響く。

左から、田村選手、神野選手、高木コーチ

神野選手の考えるR.R.C.は、各自の「目標達成」がメインコンセプトになっている。「目標を持っているけど、どのように練習したら目標を達成できるのか?」という悩みを抱えているランナーのために、神野選手やコーチ陣がサポートし、目標を達成する喜びを味わってもらう。そのため、練習は基本的にポイント練習と呼ばれるような、ややきつめのメニューを隔週でこなし、その合間は練習メニューを提供したり、また座学を行い、知の部分でも走りに活かせるように全方位でサポートしていく。  

また、3ヵ月ごとに細かくテーマが設定されていて、スタートから1クール(3ヵ月)は、「自分を知る」がテーマだ。自分の現在地=目標に対して今の実力、状態を理解してもらい、どんな練習をやる必要があるのか知ってもらう。

さらに、練習環境には、かなり力を入れている。コーチ陣は、神野選手を筆頭に、青学大元陸上部主務で神野選手のマネジメント業務を請け負う高木聖也さん、青学大元陸上部でトレイルランナーの田村健人選手が軸となり、さらに低酸素ジム「RUNNING SCIENCE LAB」のスタッフもペーサーとして参加する。今後は合宿や全員参加のレースなども考えていくという。練習面の分厚いサポート体制に加え、毎回、カメラが入り、ランナーは練習写真を自由にダウンロードできるようになっており、Runners Pulse(ランナーズパルス)では練習がレポートされ、公開されていく。

「じゃ、二重橋前までジョグしていきましょう!」、神野選手の合図で、全員が動く。練習地点に到着すると神野選手が前に立ち、ストレッチを始める。練習会などで神野選手のストレッチを見て秀逸だなと思うのは、青トレを熟知しているのはもちろん、そのストレッチはどんな効果があるのか、どこに効くのか、きちんと説明してくれるところだ。普通は、こうしてください。あーしてくださいと動きを追うだけで終わることが多い。そこに「なぜ?」が入るとランナーの理解度が違うのはもちろん、効いていることを意識するのと、しないのとでは効き目が全然違う。全員が集中して行う中、高木コーチはうしろから見て回り、メンバーに助言していく。

この日のメニューは、皇居1周と1500mのタイムトライアルだ。皇居一周(5キロ)は、各チームに分かれて、Mペース走。まずは、自分が目指すマラソンペースにしっかり慣れてもらうことを意図としている。皇居は坂があるが、そこを含めてMペースを維持して走るのは意外と大変だが、「ぼっち練」の人はペースが上下してしまいがちなので一定のペースで走ること自体、いい練習になる。

サブ3クラスは4分15秒、サブ3.5クラスは4分58秒、サブ4クラスは5分41秒のペース。最初にスタートしたのはサブ4、つづいてサブ3.5、そしてサブ3がトリを務める。

「ついていけるかなぁ」「こんなに速いペースでいくのは初めて!」

そんな声がメンバーから漏れてくるが、それは不安というよりも怖いもの見たさみたいなものでワクワク感に近いものだった。サブ4が竹橋前付近を通り過ぎていくと、次にサブ3.5が大きな塊になってやってきた。サブ3は、神野選手を先頭に駆け上り、「4分8秒ペース!」という声がかかる。Mペースよりも少し早いが、全員ついていく。遅れる人も出てくるが、それはある意味、仕方がない。同じチームと言えども、例えばサブ3.5では3時間50分の人と35分前後の人では走力が異なる。それじゃタイムが速い人の練習にならないんじゃないかと思われがちだが、実はどちらにもメリットがある。遅い人は速い人に追いつこうと努力するし、速い人は余裕があるので引っ張ることで力がつく。そうしてお互いに切磋琢磨し、力を上げていけばチームに一体感が出てくる。

5000mをMペースで走った後、10分間休憩し、1500mのTTがスタートした。
・サブ3チームの設定タイムは、5分04秒(3’24/km)
・サブ3.5チームの設定タイムは、5分59秒(3’59/km)
・サブ4チームの設定タイムは、6分55秒(4’36/km)
二重橋前のコースを2周弱だ。

スタート地点では、サブ3チームが準備するが早くもメラメラ感が出て、なんともいえない緊張感を醸し出していた。神野選手が「いいですか。サブ3スタートします。」と声をかける。ウオッチに手をやり、「いきます。」でスタートが切られた。勢いよく飛び出していき、1周してきた。800m地点では、通過タイムが読み上げられる。なんだか大学の部活みたいな雰囲気だ。TTを見守る他コースのメンバーは、「がんばれ」「ファイト」と声をかける。

1回目の練習だが応援する雰囲気が自然にできているのは、素敵なこと。サブ3.5がスタートするとTTが終わったサブ3のメンバーが声掛けをしていた。ゴール地点には、サブ4の選手が続々と駆けてくる。不思議なもので「ラスト!!」「ファイト」という声が飛ぶとスピードがアップする。そうして、全員がこの日、1500mのタイムを記録した。

全チームが集まって神野選手を軸に輪を作る。
「みなさん、今日はすごく意識高く練習に参加してくれたと感じました。このチーム、みんなで切磋琢磨していきましょう。今日はこれで終わります。お疲れ様です。」

メンバーから「お疲れさまでした!」と声が上がり、拍手が起きた。メンバー全員、つづいてチームごとに写真を撮影し、解散した。解散後は、メンバー同士、今日の練習や自分自身について情報を交換していた。こういうやりとりはチームがコミュニティとして成長するためには大事なこと。お互いをもっと知るようになると、よりチーム感が出てくるだろう。

神野選手は、終始笑顔で、楽しそうだった。「初回、無事終了できてよかったです。サブ3チームについては、顔も覚えました。これからサブ3.5、サブ4のメンバーのところにも参加し、みんなのことを理解しつつ、練習の質をさらに高めて、みんなが目標達成できるようにしていきたいですね。」、神野選手にとって走ることは仕事ゆえに楽しさばかりではなく、練習や結果に苦しむことも多いが、市民ランナーに自身のノウハウを提供し、導くことに新たな楽しさを感じているようだった。

「素晴らしいメンバーが集まってくれました。目標達成のためにも、ハードな練習メニューをおこなっていきますが、基本的には楽しくやっていけたらと思っています。」髙木コーチは、そう語る。これから個々がどう成長していくのか。そして、どんなチームになっていくのか、今のところワクワク感しかない。




Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著者の「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
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