連載第23回「Breaking Limit」 ~3ヶ月の練習note~
第23回 横山航希(市民ランナー) 24時間勤務明けでもジョグで足作り。-Breaking 2.5-
職業柄、体力にはそれなりに自信のあった横山さん。マラソンの知識があまりない時に出場したハーフマラソンで感じた「失敗」と「手応え」。そこから達成したサブ2.5までのプロセスとは?
横山航希
職業:消防士
年齢:20代
ラン歴:6年
フルPB:2時間29分47秒 (2021年11月7日 下関海響マラソン2021)
3months Challenge—breaking 2’30”
Start(走り始めたキッカケ)
私は消防署勤務なので、体力作りの一環としてずっと走ってはいました。そしてある時、先輩にハーフマラソンに誘われたのです。先輩が出るならということで、練習もせずに夜勤明けに、しかも何を履いたらいいのかも分からないまま、薄いシューズで走りました。すると次の日、歩けないくらいに足が痛くなって(苦笑)。でも、2歳から水泳を始め、走る前までずっと続けていたせいか、心肺機能は普通の人よりは鍛えられていましたし、体力的には問題がなく、「これならいける。」と思ったのです。その後、先輩から熊本城マラソンの誘いを受けて、走ったのですが、思いの外楽しくて、サブ3.5(3時間23分)を達成できました。そこからサブ3を達成したいと思って、練習に真面目に取り組むようになったのが、本格的に走るようになったキッカケですね。
Marathon(マラソン)
熊本城マラソンは、自分にとって初のフルマラソンでしたし、熊本地震の時にボランティアで入って活動したところでもあるので、思い入れがある大会でした。それまで長崎のローカルレースしか知らなかった自分が、熊本の街の中を走れたのはとても気持ちがよかったです。沿道の応援もすごくて、まるで自分が主役になったかのようにいろんな方が声をかけてくれたのが本当にうれしくて(笑)。当時は、箱根駅伝とかあまり理解できなかったのですが、実際、大勢の方が応援してくれる中を走ることを体感すると、その楽しさが分かりました。これがマラソンの良さのひとつかなって思います。
Training Menu(トレーニングメニュー)
★3months(3ヶ月前)/Training Menu Point
(1)jog(ジョグ)
ジョグは、仕事が24時間勤務なので、朝に仕事を終えた後、ジョグして家に帰り、午後もジョグをしたりしています。ジョグは、すごくまじめに走る感じではなく、キツくなったら歩いてもOKみたいに割り切って考えています。もちろん4分30秒を切るレベルのジョグですと、ちゃんと走ります。勤務明けで大変な時もありますけど、足作りは大事にしているので、多少疲れていても「体を動かす」、「長い距離を走る」ということは必要だなと思っています。
(2)tempo running(ペース走)
夕方のポイント練習では、5キロを目安にしたペース走を入れています。5キロの設定に特に意味はないですが、キリがいいのとマラソンのラップが5キロごとなので、ラップを作りやすいということでそうしています。ペースは、サブ2.5はキロ3分33秒くらいなので、それよりも20秒くらい早く、10キロの場合は、キロ3分27秒から30秒くらいを目安に設定しています。ポイント練習は、練習会に参加する以外はひとりでこなしています。ただ、インスタで同じレベルのランナーさんと繋がっているので、お互いにポイント練習をした後ポストして、刺激し合っています。SNSのおかげで頑張れているというのはありますね。
★2month (2ヶ月前)/Training Menu Point
(1)long running(30キロ走)
プチポイント練習の30キロ走は、足作りと距離を苦手にしたくない練習です。ペースはちょっとゆっくり目です。走れる方は、短い距離でも質の高い練習をこなせば大丈夫だといいますが、たぶんそれは走力があるとか、才能がある人だからできることだと思うのです。やっぱり3時間を切る、2時間半を切って走る場合、僕みたいに普通の人は距離を走らないと厳しいですね。僕は、ロング走も大事にしていますし、月間の走行距離の目安は、400キロから450キロを目指しています。
★1month (1ヶ月前)/Training Menu Point
(1)interval(インターバル)
5000m×3本の練習は、かなり効果的でした。きついメニューなので、気持ちを作らないとできないのですが、いい刺激になりますし、5000m 3本だと、翌日それほど疲れが残ることがありません。設定もいじりやすいので、通常は17分05秒前後ですが、調子がいい時は16分30秒でいけたりします。
(2)tempo running(25キロペース走)
これは、11日に入れているのですが、この1ヶ月前に30キロ走を入れて思い切り外してしまっているんです。そのため、ここでもう1回チャレンジということで25キロ走を入れて、レースペースより、5秒程度早い設定で走っています。2週間ちょっと前にハーフのペース走を入れていますが、これはレース前の自分のルーティンですね。非公認ですが、前回2時間28分台で走れた時も同じメニューをしていて、うまく調整できたので、自分の中では大事にしているメニューです。
(3)tempo running(ペース走)
1週間前ですが、10キロのペース走を入れています。これも自分の中ではルーティンになっています。レースを意識し、ペースは3分25秒。この時は、大会と同じウエアで走ります。今回は、ポケットがないハーフタイツだったので、自分で内ポケットを縫って作り、ジェルが落ちてこないのか実際にジェルを入れて走ってチェックしました。僕は不安症なので、こうしてひとつひとつ不安を解消していくことがいい走りに繋がるのです。
Another Point -1
Q.「今後の目標は?」
A. 職場の消防署で、最速のタイムが2時間25分40秒らしいのです。大きな目標としては、そのタイムを越えていきたいと思っています。ただ、今すぐには無理なので、まずは2時間27分台ですね。地道にタイムを上げていって、25分切りができたら、大きなマラソン大会、例えば北九州などのレースで入賞したいです。今回、下関海響マラソンは11位だったのですが、10位以内を逃したのが本当に悔しくて。それは、タイムをクリアするだけでは得られない感情だったので、25分を越えたら、順位にもこだわって挑戦していきたいですね。今シーズンは、別府大分マラソンと北九州マラソンを走る予定です。別大は、昨年レース前日に原因不明の下痢にやられて、出るのをやめようかなって思ったんです。翌日、なんとかおさまって出場したのですが、初めてレース途中で立ち止まって、大失敗しました。今回は、そのリベンジを果たしたいと思っています。
2021年11月7日 下関海響マラソン2021 2時間29分47秒。
0km -5km 17分19秒
5km-10km 17分22秒
10km-15km 17分32秒
15km-20km 17分17秒
20km-25km 17分36秒
25km-30km 17分23秒
30km-35km 18分09秒
35km-40km 18分19秒
40km-FINISH 8分45秒
最初は、ハーフまで3分27秒ペースで行きたかったのですが、風が強く、暑さもあり、ほぼ単独走だったので、1分くらい遅れて「ちょっとまずいな。」と思っていたのです。20キロを越えるとそこから坂が続くのですが、25キロで足がつりかけてきたので配っていた塩タブレットを4、5個掴んで、食べて走りました。この時点で、このままもてば2時間27分台出るなって思ったのですけど、甘かったですね。30キロを越えると足にきて、34キロ付近ではキロ4分をキープできれば最低限の30分は切れる感じでした。ただ、36キロの下りからきついけど意外と動く感じになって、10番目の選手を抜いたんです! 東京五輪マラソンの大迫傑じゃないですけど、前だけ追っていけば行けるかなって思ったのですが、残り2キロの地点で手がしびれてきました。足もきつくて、屈伸しようかなと思ったのですが、止まると走れなくなると思ったので、そのまま走ったのです。ゴール地点には奥さんが初めて見に来てくれていたので、手を振ってゴールしようと思っていたのですが、そんな余裕はまったくなくて、ゴールして倒れてしまいました。その時、ゴール地点にチップのラインが3本あって、1本目は越えていたのですが、2、3本目は越えていなかったのです。「これはもしかしたらゴールしてないかも!」って、焦ってハイハイしながらゴールしました。レース後は、初めて車いすに乗せられて、それがすごく嫌でしたけど、そのくらい出し切れて、タイムを出せたことを考えると、いいレースだったのかなと思います。
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