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COLUMN

スポーツシューズの画期的なリサイクルプログラム。「adidas FUTURECRAFT.LOOP」がスタート!

2019.05.29
Masahiro Minai

2019年4月17日、ニューヨーク ブルックリンにおいて、革新的なスポーツシューズのコンセプトが発表された。それがアディダスの「FUTURECRAFT.LOOP(フューチャークラフト ループ)」である。

アディダスは、海洋汚染を防ぐためのプロジェクトに献身的に取り組む「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)」との間でパートナーシップを締結するなど、これまでもサステナビリティに高い関心を持つブランドとして知られてきた。今回発表されたFUTURECRAFT.LOOPは、一般的なスポーツシューズが10種類以上の素材を原料とするのに対し、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を唯一の素材とすることで、シューズを履きつぶしても100%のリサイクルが可能。リサイクルの際に厄介な存在となる接着剤も使用していない。そして、このシューズの驚くべき点が、そのパフォーマンス性能の高さだ。

こういったコンセプチャルなプロダクトは、「街履きレベルならいいが、実際にスポーツするのは難しい!」というレベルの製品が少なくなかった。その点、このFUTURECRAFT.LOOPとして誕生したプロダクトは、しっかりと高い機能性をキープしている。イベントの終了後、ランチタイムをはさんで、筆者を始めとした世界中から集結したメディアの人間は、このFUTURECRAFT.LOOPのランニングシューズを履いてゲーム性の高いランニングイベントに参加。途中Km/4分15秒という速めのペースでも走ったが、本当に走りやすく、自然とスピードに乗ることができ、サステナビリティとパフォーマンスを高い次元で融合していることを体感することができたのである。

TPUからスポーツシューズに最適な糸を開発することはかなりの困難だったらしい。

イベントにはウィル・スミスの娘であるウィロー・スミス(右)も登壇。サステナブルなプロダクトの開発が次世代にとって、とても重要になることを強調した。

「一般的なスポーツシューズに使われている素材の種類は12~15種類。このことが履きつぶしたシューズのリサイクルを困難としていた」と、アディダスのエリック・リッキー氏は語った。

ペットボトルを収集する際に、ボトルを洗浄し、キャップとラベルを外すように、素材のリサイクルに重要なのは他の素材を混ぜないこと。FUTURECRAFT.LOOP は、TPU単一でスポーツシューズを製造し、接着剤も使わないことにより、100%のリサイクルを可能としている。

回収されたシューズは裁断され、リサイクルされ、新たなシューズへと生まれ変わる。

イベント後にはゲーム性の高いランニングセッションが行われ、世界中から参加したメディアetc.は、このシューズの走行性能の高さを体感することとなった。


2日に一度のヘビーローテーションで履いたFUTURECRAFT.LOOPのランニングシューズ。履きつぶした段階で回収され、新たなシューズへと生まれ変わる。今回はテストケースとして早期に回収され、秋には別のシューズへと変身!

このFUTURECRAFT.LOOPは現在テスト段階だが、2021年春夏シーズンより展開を予定。正式リリースが今から楽しみである。

INFORMATION
アディダスグループお客様窓口
TEL:0570-033-033(営業時間:月~金9:30~18:00)
adidas.com

Masahiro Minai
南井 正弘 フリーライター、ランナーズパルス編集長
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「価格.comマガジン」「モノマガジン」「SHOES MASTER」「Beyond Magazine」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」「人は何歳まで走れるのか?」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
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