Topo Athleticの創業者、トニー・ポスト氏が来日。
箕面の山を駆け巡り、同ブランドの魅力を語ってくれた!
10月某日、Topo Athletic(トポアスレチック)の創業者であるトニー・ポスト氏が来日。最新モデルであるULTRAVENTURE 4を履いて、メディア関係者と交流すべく箕面の地でトレイルランニングを楽しみ、その後は、自らがブランドの優れている点や魅力を語ってくれた。
軽量ドレスシューズで
NYシティマラソンを完走した男
「トニー・ポスト」
自分と付き合いの長い人は知っていると思うが、1988年から1998年までリーボックジャパンに勤務し、フットウェアのプロダクト部門に従事していた。その頃はリーボックとロックポートは同じ企業グループに属しており、トニー・ポスト氏はロックポート本社の副社長で、優れたビジネス手腕に加え、ランニングシューズではなく、軽量ドレスシューズでニューヨークシティマラソンを完走したこともあって、グループ内では誰もが知る人物だった。個人的にはリーボックで開発部門のエースであったスペンサー・ホワイト氏やピーター・フォーリー氏とともに憧れの存在だったが、トニー・ポスト氏はグループ内だけでなく、フットウェア業界全体でも著名な存在で、コンピュータ業界でいえば、アップル創業者のひとりであるスティーブ・ウォズアニック氏のような存在といっても過言ではないと思う。
「ULTRAVENTURE 4」
のスペックとは
ULTRAVENTURE 4は、定評あるソールユニットを前作から継承しつつ、アッパー細部を改良することでパフォーマンスが向上した。
今回のトレイルランニングは、東京から複数のメディアが参加。まず走り始める前に、トニー・ポスト氏よりアメリカで先行販売されたULTRAVENTURE 4のスペックが紹介される。前作ULTRAVENTURE 3で高い評価を得た、軽量性と反発性に優れるZipFoamのミッドソール、低めのラグが様々な路面で適度なグリップ性をランナーへと提供する Vibram XS Trek EVO アウトソールの組み合わせはあえて継承し、アッパーを変更。戦略的にPUコーティングを施すことで、型崩れしにくく、フィット感、耐久性も増しているという。メッシュ素材を変更したことで、土埃がシューズ内部に入りにくいことも大きな特徴。実際に足を入れると、人間の足の自然な状態をキープしてくれるTopo Athletic独自のフィット感に、前述のPUコーティングが上手く組み合わさったことを感じられるとのことで、このシューズで箕面の山を走るのが楽しみになった。
路面を掴み過ぎない
「適度なグリップ」
登山客や観光客も多いので、スタート地点まではゆっくりと歩く。スタート箇所に到着すると「unité」の田所さんが、「箕面スタイルは上りも走ります!」という掛け声とともに、勢いよく走り始める。自分は「えっ、ゆっくりじゃないの!?」と思いつつ、「トニーさん大丈夫かな?」と心配したが、流石、かつて全米トップレベルで走っていたランナー。軽快に上りを走っていくから、我々も後を追随する。高尾あたりと比べると、登山者もトレイルランナーも圧倒的に少ないから走りやすいし、景色、路面の変化もあるから走っていて飽きない。そして、落ち葉の上、木の根、石や岩が積み重なってできたガレ場といったあらゆる路面でしっかりとグリップしてくれたのだが、トニー・ポスト氏が出発前にULTRAVENTURE 4のVibram XS Trek EVO アウトソールが、「適度なグリップ」といった意味がわかったのである。それはグリップしすぎないから、足首や膝への負担が少ないということだ。これは以前インタビューしたトポ アスリートの南 圭介氏も「路面を掴み過ぎないところがいい!」と語っていたことと合致する。このアウトソールとフィット感が向上したアッパーが相まって、参加者全員が7kmほどのトレイルランを快適に楽しむことができたのである。
いつの時代も進化することを忘れない
Topo Athleticのポリシー
充実したトレイルランを終え、「unité」に戻ってトニー・ポスト氏へのインタビューがスタート。インタビューの本題に入る前に、何人かのロックポートジャパンのスタッフの名前を挙げると、彼の表情が緩み、「みんなは元気にしているかい?」と聞かれ、当時の思い出を話してくれた。「大学時代にシリアスランナーだったので、『ランニングシューズの機能性をカジュアルシューズやドレスシューズに活用することができたら!?』と思い、シューズ業界に就職しました。それがロックポートでした」と語り、それが彼とシューズ業界の関わりのスタートであった。ロックポートでは入社当時35億ほどの売り上げだったのを550億まで伸ばし、副社長へと上り詰めた。そして彼がロックポートで残した伝説が、軽量ドレスシューズであるドレススポーツを履いて、ニューヨークシティマラソンを完走したことだ。そして、この成功に飽き足らず、彼はアウトソールブランドVibram社のアメリカ法人ヴィブラム社USAへと転職する。ここではアウトソールのシューズブランドへの供給だけでなく、ベアフットシューズのパイオニア的な存在であったヴィブラムファイブフィンガーズをローンチ。ランニングシューズ業界に旋風を巻き起こした。
そんな彼は2013年、自らの名前Tony Postから命名されたTopo Athleticを設立。本国アメリカのみならず、ワールドワイドで着実にシェアを伸ばしているのはご存じの通り。自分自身もスポーツシューズに関連した仕事を36年ほど続けており、同ブランドのシューズは高い製靴技術で製造されていることがわかるので、どういった条件で工場を選定しているかを聞くと、「まず重要なのが工員の働く環境が快適であること。それと工場の目指す方向性が我々と同じであることですね」と、働く人のことを第一に考えてくれていることがわかった。「それ以外にシンプルに3つ条件を挙げるとするならば<Quality><Communication><Price>となります。素材に関しても厳選しており、ミッドソール素材に関して言えば、我々がハイパフォーマンスモデルに最高レベルの素材PEBAXを使っているのに対し、他社は汎用品のPEBAを使っていたりします」と教えてくれた。最後に、これまで発売されたTopo Athleticのシューズで最も好きなモデルを聞くと、「それは次にリリースされるモデルだね」と、笑いながら答えてくれた。これまでに同じ質問を10人以上のブランド創業者に聞いてきたが、その多くが、ブランドが最初にリリースしたプロダクトを答えたのとは対照的。このコメントからもいつの時代も進化することを忘れないTopo Athleticというブランドのポリシーを垣間見ることができた。
ULTRAVENTURE 4
価格:24,200円(税込)
カラー:(Mens) Dark Teal/Orange、Aqua/Orange、Grey/Grey (Womens)Stone/Grey、Purple/Dark Teal、Aqua/Black
PURSUIT 2/価格:24,750円(税込)
SPECTER 2/価格:27,500円(税込) 「Runners Pulse」の「Topo Special Edition 2024」ではトレイルランニングとロードランニングのキーモデル、PURSUIT 2とSPECTER 2がフィーチャーされている。
INFORMATION
アルコインターナショナル株式会社
TEL:06-6563-7346
https://www.topoathletic.jp/