THE NORTH FACE “VECTIV 3.0” ザ・ノース・フェイスの最新トレイルシューズ「VECTIV 3.0」を徹底解剖!
【CONTENTS】
The Inside Story of VECTIV 3.0
本国担当者が語るVECTIV 3.0開発秘話
Spring Summer 2025 VECTIV 3.0
VECTIV 3.0各モデルの特徴を解説
TRAIL RUNNERS’ VOICE
トレイルランナーたちによる実走インプレッション
Interview with KOJI MORIMOTO
VECTIV 3.0の魅力とは? 森本幸司が語る。
HIGH SPEED TRAIL KIT & FEATURED PRODUCTS
トレイルを高速で駆け抜けるためのトータルコレクション
※この記事は、2025年2月27日発売の雑誌Runners Pulse Vol.11の特別付録を再編集しています。
The Inside Story of VECTIV 3.0
本国担当者が語るVECTIV 3.0開発秘話
トレイルランナーのパフォーマンスを引き出す「VECTIV」が進化を遂げ、2025年春、「VECTIV 3.0」へとアップデートを果たす。これまでと何がどう違うのか? 開発の経緯やコンセプトを、プロダクト担当のマリオン・マイナリーに聞いた。

Marion Minary(マリオン・マイナリー)
ザ・ノース・フェイス フットウェアカテゴリーシニアディレクター
検証と改善を重ね、より高い反発力と優れた快適性を実現。
―「VECTIV 3.0」の開発に至った経緯を教えてください。
「私たちザ・ノース・フェイスの製品チームが常に念頭に置いているのはエンドユーザーです。イノベーションはいつでもエンドユーザーから始まりますから。『VECTIV 3.0』の開発において私たちにとってエキサイティングだったのは、ゼロから始めたわけではないということ。『VECTIV 3.0』はこれまでの2世代にわたって培ってきたイノベーション、そしてエンドユーザーやアスリートからのフィードバックをもとに、設計やテストを通じて改善を重ねました。また、私たちが思い描いたのは、レース当日のアスリートのパフォーマンスを向上させるテクノロジーを再考し、最適化するという明確な目標です。『VECTIV 3.0』は2年以上にわたるプロトタイプの改善と革新の結果であり、レース当日にベストなパフォーマンスを発揮できるよう、エネルギー消費をより効率的にするというランナーの課題を解決へと導きます」
―これまでの「VECTIV」と比較して、進化したポイントは?
「窒素を注入した超軽量のDREAMフォームミッドソールに内蔵した3D構造のプレート、および高い推進力を生み出すロッカー構造は、初代の『VECTIV』とは比較にならないほど進化を遂げています。それらのアップデートによって、より高い反発力と優れた快適性を実現しました。また、長距離を走っても最高のパフォーマンスをキープし続けられるよう、アウトソールには耐摩耗性に優れたSurfaceCTRLを採用し、ラグのパターンも再設計しています」

「VECTIV 3.0」の開発中のプロトタイプ(製品版とは仕様が異なる)。アッパーはいずれも新開発の「Summit VECTIV Pro 3」のもので、左のソールユニットは先代の「Summit VECTIV Pro 2」のもの。新旧を比較検証することでより良い製品づくりを図る。

「VECTIV 3.0」のソールユニットは多層構造。安定性、推進力、グリップ性を備え、着地時の衝撃を推進力に変える。
―製品のテストはどのような環境で行いましたか?
「製品のテストは、当社のイノベーションプロセスにおいてとりわけ重要検証と改善を重ね、より高い反発力と優れた快適性を実現。な要素です。私たちはアメリカ、アジア、ヨーロッパの厳しい地形や、あらゆる距離の厳しく技術が必要なトレイルにおいて製品のテストを行っています。ザ・ノース・フェイスの強みは、世界中の才能のあるアスリートたちと協力体制を築いていること。『VECTIV 3.0』の開発においても同様です。当社の素晴らしいアスリートチームとともに、あらゆるフィールドでテストと検証を行いました」
―「VECTIV 3.0」の開発において苦労した点は?
「とくにチャレンジングだったのは、推進力と快適性を両立させることです。また、軽量性や耐久性、安定性など、シューズに求められるあらゆる要素のバランスを取ることにも徹底的にこだわりました。それらを最大化するために、私たちに妥協は許されませんから」

「VECTV 3.0」のフラッグシップモデル「Summit VECTIV Pro 3」の開発中のプロトタイプ。アスリートからのフィードバックやリクエストを受け、アウトソールを削って軽量化を図るなどの工夫も。

レースに向けて「Summit VECTIV Pro 3」のプロトタイプをテストするザ・ノース・フェイスのアスリート、ジョン・アルボン選手。アスリートからのフィードバックは製品開発に生かされる。
Spring Summer 2025 VECTIV 3.0
VECTIV 3.0各モデルの特徴を解説
「VECTIV 3.0」コレクションは3つのモデルがラインナップ。シューズの持ち味や得意とするフィールドはモデルごとに異なる。シーンや好みにあわせて最適な一足をチョイスしてほしい。
推進力と安定感を両立。反発性を好むランナーに!
「速く、遠くに」のVECTIVの特性を追求した「VECTIV 3.0」のフラッグシップモデル。最大の特徴は5層構造の新しいソールユニット。軽量・高反発・高クッションが特徴のDREAMフォームを内蔵したミッドソールは、前作から厚みを7mm増すことで衝撃吸収性と反発性を高め、トゥスプリングの角度を再設計してロッカー構造の推進力を向上。さらに、3D構造のTPU&リサイクルカーボンプレートとカーボンプレートの2枚のプレートを搭載し、推進力と安定性の両立を実現した。アウトソールはグリップ性に優れたSurfaceCTRL。ラグの設計を見直し、接地面を広く取ることでグリップ力と安定感が高まり、よりアグレッシブな走りが可能に。
「サミット ベクティブ プロ 3」¥33,000(税込)
大幅な軽量化を実現。軽さにこだわるランナーに!
このモデルの特徴は「軽さ」。ソールユニットの厚みを前作から6mm増すことで衝撃吸収性と反発性を高めながら、軽量・高反発・高クッションが特徴のDREAMフォームを採用することで、前作比で約30gの軽量化を実現した。重量約240g(US9)とトレイルランニングシューズのなかでは軽量な部類に入るが、軽さだけを追求したわけではない。ミッドソールには3D構造のカーボンプレートを内蔵し、前作から高さを1.5mm増した5mmのラグのアウトソールにはグリップ性に優れたSurfaceCTRLを採用。推進力、安定性、グリップ性といったランナーのパフォーマンスを最大化する「VECTIV 3.0」の特性を存分に味わえる。
「サミット ベクティブ スカイ 2」¥29,700(税込)
短距離から長距離まで。クッション重視派のランナーに!
トレイルランニングシューズに求められる機能をバランスよく備えたこのシューズは、「VECTIV 3.0」コレクションのなかでもっとも汎用性が高い。DREAMフォームを採用したミッドソールには3D構造のTPUプレートを内蔵し、「VECTIV 3.0」の特徴である優れた推進力や高い安定性を備えながら、ソールの厚みが前作から4mm増したことでクッション性がさらに向上。SurfaceCTRLを採用したアウトソールは、高さが0.5mm増した4mmのラグ設計により、グリップ性も高めた。走るフィールドや距離の長短を問わず、幅広いシーンで活躍してくれる一足だ。
「ベクティブ エンデュリス 4」¥24,200(税込)
TRAIL RUNNERS’ VOICE
トレイルランナーたちによる実走インプレッション
シューズ選びに一家言持つトレイルランナーたちは、「VECTIV 3.0」の実力をどう評価するのか。実際に着用してトレイルを走った3人に、シューズ選びで重視するポイントや「VECTIV 3.0」の感想を尋ねた。
Photography by MASATAKA NAKADA, SOMA DOI

Summit VECTIV Pro 3
厚底とは思えない安定感の高さに驚いた。
―岩垂さんがシューズ選びで重視するポイントは?
「トラブルが起こらないことです。僕が主戦場とする100マイルレースは長丁場。シューズは自分の足にきちんとフィットし、長時間にわたって快適に走り続けられることが大切です。すこしでも違和感や不快感があると、その積み重ねが後半の走りに響きますから」
―「Summit VECTIV Pro 3」でトレイルを走ってみてどうでしたか? 率直な感想を聞かせてください。
「私が以前履いていたこのシューズの初代モデルよりもソールの厚みが増しているのに、安定感が飛躍的に高まっている。そのことにまず驚きました。初代モデルは反発性が高く、ペースを上げると跳ねるように速く走れる一方、ペースを落として登っているときに踏ん張りにくい印象がありました。一方、このシューズは、ペースを上げたときにソールの反発力で前方への推進力を得られると同時に、ペースを落としたときでも安定して走れる。そ
のバランス感が良くなったように感じます。また、アウトソールが幅広で接地面積が広いものの、下りのトレイルでスピードを上げたときでも取り回しが良く、軽快な足さばきで気持ちよく走れました」
―このシューズはどのようなシチュエーションに適していると思いますか?
「トレイルはもちろん、ロードでも違和感なくスムーズに走ることができるので、ロード率が比較的高いMt.FUJI100のようなレースにもふさわしいと思います」
Shin Iwatare 岩垂 晋
会社員。トレイルランニング歴約10年。2023年のFUJI 100マイルで総合11位(年代別1位)、2023年と2024年のLAKE BIWA 100で総合5位など、数々の大会で上位に入賞。

Summit VECTIV Sky 2
軽快な走り心地やグリップ力の高さを実感。
―冨井さんがシューズ選びにおいて大切にしているポイントを教えてください。
「誤解を恐れずにいうと、私はシューズに頼る派です。具体的には、ソールにカーボンプレートが入ったタイプを選ぶことが多いですね。レースはもちろん、普段のジョギングでも、カーボンの反発力を利用して省エネで走るのが好きです」
―「Summit VECTIV Sky 2 」を履いてトレイルを走ってどう感じましたか?
「カーボンの反発力を感じながら気持ちよく走れるうえ、シューズ自体がとても軽く、走り心地は軽快。着地時の安定感やグリップ力の高さも印象的で、テクニカルな路面でも地面からの突き上げを感じにくく、安心して走ることができました」
Natsuki Tomii 冨井 菜月
会社員。トレイルレースでの主な戦績は、KAI 70kで10位、ITJ 70kで3位(ともに2024年)。フルマラソン自己ベストは2時間44分54秒(東京マラソン2024)。

VECTIV Enduris 4
柔らかすぎず硬すぎないソールが心地いい。
―植木さんがシューズを選ぶ際、とくに重視しているポイントは?
「ソールのクッション性です。好みでいえば、マシュマロのような柔らかさよりも、ハリボーのグミみたいなムチッとした感じが好き。その点、『VECTIV Enduris 4』のソールは、私好みで心地いい。柔らかすぎず、硬すぎない、ちょうどいいバランスだと感じました。あとはフィット感かな。とくにヒールのフィット感を重視して選びます」
―実際にこのシューズを履いてトレイルを走ってみた感想を聞かせてください。
「スピードを上げたときの気持ちよさは格別。結果を出したい勝負レースや、ちょっと意識高めのトレーニングをしたいときにふさわしい一足だと思いました」
Kaori Ueki 植木 香
ランニング&コンディショニングトレーナー。2025年5月23~25日、静岡県富士市で開催される女性だけの100マイルレース「ROUND GIRLS 100」のオーガナイザーを務める。
Interview with KOJI MORIMOTO
VECTIV 3.0の魅力とは? 森本幸司が語る。
Photography by SHIMPEI KOSEKI
アスリート目線で分析する、各モデルの特徴と選び方。
トレイルランニングの世界選手権に日本代表として出場するなど、国内外で活躍する森本幸司。ザ・ノース・フェイスアスリートでもある彼は、「VECTIV 3.0」の全3モデルを日々のトレーニングに取り入れ、レースでも活用している。実際に履き比べることで見えてきた、各モデルの特徴とは?また、どのように履き分けているのだろうか? 自身が感じるそれぞれの魅力や、選ぶ際のポイントを語ってもらった。
まずは『Summit VECTIV Pro 3』から。「前作よりもソールの厚みが増し、クッション性と反発性が高まった」と率直な印象を語る。「とくにロードや林道のようなフラットな路面では、力をかけることなく、前にグイグイ進む感覚が得られます。スピードのあるアスリートならさらにかっ飛ばせるし、市民ランナーの方でもシューズの力に頼りながら前へ進める。幅広い層の人が履きこなしやすいシューズだと思います」。
続いて、『Summit VECTIV Sky 2』。3モデルのなかでもっとも気に入っているのがこれだという。「このシューズの良さは、軽くて足さばきが良く、グリップ性が高いこと。足の踏み場に気を遣うテクニカルな下りでも攻めた走りができます。クッション性も十分にあり、ショートからミドルを主戦場とする自分のスタイルにあっていると感じますね」。このシューズでアジア選手権を含む4レースに出場し、トータル150kmほど走ったが、ヘタりやダメージはほぼないとか。「走りやすいだけでなく、耐久性の高さも実感しています」。
そして『VECTIV Enduris 4』は、「3モデルのなかでもっともバランスが取れたシューズ」と評価する。「クッション性がもっとも高く感じるのもこれです。自分の場合、レースやトレーニングのときよりも、仲間とゆるく山を楽しむときにこのシューズを選ぶことが多いですね」。
森本幸司
1980年生まれ。熊本県阿蘇市出身。長距離選手として活躍した後、トレイルランナーに転身。国内外のレースで優勝多数。地元阿蘇では大会のコース設計やイベントの企画運営を手掛けるなど地域活性化にも尽力。写真は地元の阿蘇山にて。
HIGH SPEED TRAIL KIT & FEATURED PRODUCTS
トレイルを高速で駆け抜けるためのトータルコレクション
2025年春、トレイルを高速で走り続けるために軽量性や通気性を追求した新しいウェアリングシステム「HIGH SPEED TRAIL KIT」が登場する。「VECTIV 3.0」のシューズと相性が良く、あわせて活用したい。加えて、トレイルラン用の今季の注目アイテムもピックアップ。
HST S/L Hypervent Crew
暑い時期のトレイルランに最適なスリーブレスカットソー。生理学に基づきマッピングされたメッシュ構造により、ウェア内の汗や蒸れを素早く放出。動きを妨げないカッティングや裾脇のスリットがスムーズな走りをサポートする。¥12,100(税込)
HST Aviator Tight
トレイルラン向けに開発されたショートタイツ。部位によって素材を変えることで運動性と防護性を両立させている。ウエスト部にはジェルなどの小物の揺れを抑えながら携行できるメッシュポケットを装備。¥16,500(税込)
HST Fume 6
軽量性と通気性を兼ね備えたランニングベスト。肌面に使用されたモノメッシュは通気性が高いうえに保水しにくく、汗をかいても重くならずに快適さを保つ。チェストストラップはマグネットタイプで素早い着脱が可能。容量は6L。¥23,100(税込)
FL Trail Peak Jacket
防水性と通気性を兼ね備えたフード付きジャケット。外部からの濡れから身体を守りつつ、内部から出る汗や蒸れを放出し、ウェア内を快適に保つ。約130g(Lサイズ)と非常に軽く、付属のスタッフサックでコンパクトに携行可能。¥36,300(税込)
Trail Peak Cap
防水性と通気性を兼ね備えたランニングキャップ。雨天時にジャケットのフードをかぶることを想定し、キャップ前部に通気防水生地、後部に通気性の高いメッシュ生地を採用。様々な気候下でのランニングで活躍。¥6,050(税込)
Trail Durable Wool Crew
メリノウールとCORDURAナイロンをハイブリッドしたランニングソックス。調湿性と耐久性に加え、フィット感を高める左右非対称の構造や抗菌防臭加工により長時間のランニングでも快適に履き続けることが可能。¥2,530(税込)
『Mt.Takao Base Camp』で、「VECTIV 3.0」の試し履きが可能。
2025年3月16日より、東京・高尾山の麓の飲食&宿泊施設「Mt.TAKAO BASE CAMP」にて、ザ・ノース・フェイスのトレイルランニングアイテムのレンタルサービスがスタート。「VECTIV 3.0」の各シューズのほか、「HST Fume 6」をはじめとするバックパックを実際のフィールドで試すことができる。気になる人はぜひ利用してみてほしい。
INFORMATION
ゴールドウイン カスタマーサービスセンター
TEL:0120-307-560
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