マラソンも観光もグルメも楽しみたいなら やっぱりタイがオススメです!!!
海外からの観光客数が3000万人を超え、世界10位にランクされる観光大国のタイ。日本人にとっても人気の観光地です。そして、最近注目されているのが、タイ訪問とマラソンなどのランニングアクティビティを絡めた旅行。これまで7度のタイ訪問経験があり、昨年12月に行われたチェンマイマラソンに参加した南井正弘編集長が、その魅力を解説します。
ランニングが市民スポーツとしてポピュラーな存在となっている
自分が初めてタイを訪れたのは、今から29年前の1990年のことで、当時勤務していたスポーツシューズブランドのバンコク近郊にある契約工場を訪れる出張でした。タイに関して事前に知っていたのは、日本でも人気だったキックボクシングの起源といわれる国技のムエタイ、激辛スープのトムヤンクン、三輪タクシーのトゥクトゥク、そして、この当時はメナム川と呼ばれることも多かったチャオプラヤー川くらい。それだけに見るものすべてが新鮮でした。とても楽しい滞在となったので、「今度はプライベートで来よう!」と思いましたが、その後は、他のアジア諸国やアメリカ、ヨーロッパに行くことが多くなり、結局タイを再訪したのは21世紀になってから。2009年にムエタイの有名ジム、パタヤのフェアテックスに向かうためでした。
その頃はすでにほぼ毎日のランニングは始めていたので、現地でも走っていたのですが、パタヤはともかく、前泊と後泊したバンコクの街中を走るのは、歩道が狭く、人が多いので至難の業。ホテルのフロントで「どこか走れる場所は?」と聞いてみると、ベンチャシリ公園かルンピニー公園がオススメとのことで、BTSプロンポン駅そばのベンチャシリ公園に向かいました。都会のオアシスという表現がピッタリのこじんまりした公園で、1周800mほどの外周を走ることができます。2009年当時は、自分以外にランナーはチラホラといった感じ。それも現地駐在員らしき欧米人や日本人が多く、タイ人ランナーは1人のみ。日課の6kmランを終え、公園内の売店にてコーラで水分補給。このときのコーラの美味さは今でも覚えています。それから年に一度、パタヤのフェアテックスジムかバンコクのロンポージムでムエタイのトレーニングをするためにタイを訪れ、そのたびにベンチャシリ公園かルンピニー公園を走っていましたが、2016年7月に訪れた際、あることに気付きます。
それは、明らかにタイ人のランナーが増えているということ。そして、タイ国内では、2009年頃は、各ブランドの高価格帯製品の展開が日本やアメリカと比べると少なくかったのですが、2016年になると、タイ最大級の流通グループであるセントラルグループが展開する、タイ国内最大のスポーツ用品チェーンのスーパースポーツでは、各社のトップモデルもしっかりと取り扱うように。それに伴い、ローカルの人々が身に付けているシューズやアパレルも年々高機能モデルが占めるようになっていって、タイにおけるランニングカルチャーの成熟を感じました。現在のタイは、ランナーの増加もあって、全国で各種レース、ランニングイベントが開催されるようになり、ランニングが市民スポーツとしてポピュラーな存在となっています。
チェンマイの古都ならではの落ち着いた雰囲気を気に入る人も多いはず
タイ訪問は7回ほどになっていましたが、今回、チェンマイマラソンのハーフマラソンの部に参加することになり、タイにおけるランニングイベントへのエントリーは初めてだったので、とても楽しみでした。このレースに参加するまで、海外レースはちょうど40回出走していましたが、国によって特徴や雰囲気に独自性があり、走行中はもちろん、レース前後もその違いを楽しむことができたからです。チェンマイはタイ北部の中心都市であり、タイ第二の都市。観光業が盛んで、歴史的な名所も多く、日本でいえば京都みたいな感じですかね。
初めての訪問でしたが、城壁に囲まれた街並みは風情があり、標高1000mを超える山の中腹にあるチェンマイで最も有名なお寺であるワット・プラタート・ドイ・ステープは、本当に素晴らしく、心が洗われるような気持ちになりました。バンコクのエネルギッシュで躍動感のある感じもいいですが、チェンマイの古都ならではの落ち着いた雰囲気を気に入る人も多いはず。レース前日は、高級リゾートホテルの「ナ ニランド ロマンティック ブティック リゾート」のレストランで、地元グルメであるピリ辛麺のカオソーイや、ローカルで賑わう大衆食堂「クイッティアオ サボイ」でバミーナームサイというあっさり味の麺でカーボローディング。翌日のレースに備えました。
レース前日は、エクスポでゼッケンを受け取って、コースの下見と標高1000mを超える山の中腹にあるチェンマイで最も有名なお寺であるワット・プラタート・ドイ・ステープへ。
前日の昼食はチェンマイ名物のカオソーイ(左)、夕食はタイで最も普通な麺料理のひとつであるバミーナームサイ(右)でカーボローディング。
ゼッケン受け取りの際には参加賞のタンクトップも貰えます。レース当日もコレを着て走っている人は多かったです。
エクスポで購入したニューブランド、ビッグバンのエナジージェル。ランニングカルチャーが成熟するのに伴い、新たなブランドがタイでも生まれています。ちなみにエクスポでの価格は10バーツ割引の1個80バーツ(約282円)で売られていましたが、これはタイの物価を考慮すると、かなり高め。現地では大衆食堂で麺類なら一杯40~50バーツ(約141円~約176円)で食べられるので。
走り終わったランナーのほとんどに笑顔が見られたのが印象的!
チェンマイマラソンの正式名称は「ムアンタイ チェンマイマラソン」。ムアンタイとはタイの保険会社大手で、同社が冠スポンサーになっているのです。レースのスタートは当初ハーフマラソンが5時、フルマラソンが4時だったのが、それぞれ2時、1時に変更。前日は7時頃にはベッドに入ったので、睡眠時間は充分でした。自分はハーフマラソンにエントリーしたので、フルマラソンランナーが走っているのを横目にスタートラインへ向かいます。
日本やアメリカのレースとは異なり、あまりピリピリした雰囲気はなく、前方エリアにすんなり進むことができ、午前2時ちょっと前にスタート。デジタル温度計は20℃を表示していました。まだ暗い中のスタートでしたが、前日に自動車でコースチェックしたので、どのあたりを走っているかを理解しながら市街地を軽快に走りましたが、途中ライトアップされた街並みがキレイでした。しばらくして郊外に向かうあたりから多少のアップダウンはありましたが、概ね走りやすいコースでしたね。給水も水だけでなく、ゲータレードが用意されていたのは嬉しいところ。海外レースだと水オンリーの大会もありますから。
城壁に囲まれた市街地に戻ってくるとペースアップしてゴール。楽しんで走った割に、ここ数年のハーフマラソンでは最も速い、1時間52分15秒で完走することができました。かなり走りやすいコースだと思ったのと、走り終わったランナーのほとんどに笑顔が見られたのが印象的でした。
1時間早くスタートしたフルマラソンの選手の走りを横目にスタートエリアへと向かいます。
スタート前にパシャリ。冠スポンサーのムアンタイとはタイの大手保険会社です。
暗い中でのレースということもあり、ランナーには発光リストバンドが配布されました。
コースは所々でライトアップされていてキレイでした。
楽しみながらリラックスして走った割に、最近では一番速い1時間52分15秒でした。スタート時の気温は20℃くらいで、アップダウンはありますが、それほどでもないので、意外と走りやすいですよ。
ゴールエリアで会ったランナーたちは、ほとんどが笑顔。この大会の楽しさを象徴していました。
もうひとつの大きな魅力が、フィニッシュエリアの豪華な給食
そして、この大会のもうひとつの大きな魅力が、フィニッシュエリアの豪華な給食。ガポプラー(魚の浮き袋スープ)やカオニャオムー(もち米と揚げ豚肉)といった地元タイ料理からマクドナルドのハンバーガーまで、ここまで豊富なバリエーションが揃っている大会は、今までありませんでした。これを経験するためにチェンマイマラソンに参加するのもいいと思います。あとゴールエリアにはマッサージのサービスもあるなど、まさに至れり尽くせり。
あっさり味で美味しかったガポプラー(魚の浮き袋スープ)。
葉っぱに巻かれていたのはカオニャオムー(もち米と揚げ豚肉)。これも美味しい。
現地の人には、なぜだかマクドナルドのハンバーガーが一番人気。これだけは一人一個らしく、一度貰うと、ゼッケンにマーカーで印が書かれました。
「北方のバラ」とも称される美しい街、チェンマイ
前述の通り、チェンマイはタイ北部の中心都市であり、タイ第二の都市。「北方のバラ」とも称される美しい街で、タイのなかでも最もポピュラーな観光地のひとつです。それだけにせっかくチェンマイを訪れたのなら、チェンマイマラソンを絡めて、ビフォア&アフターを思う存分エンジョイしたいところ。
チェンマイで最も有名なお寺のワット・プラタート・ドイ・ステープを始めとした寺院めぐりをしたり、象と触れ合うことのできるメーサー エレファント キャンプや少数民族の村を訪れるのもオススメ。そしてマラソンだけでは物足りないというアクティブ派は、トレッキングツアーに参加してみたり、トレイルランニングを楽しむのもいいでしょう。また美味しい料理やタイ式マッサージをバンコクよりも安い価格で堪能できるのもチェンマイのよいところで、民芸品を始めとしたお土産もバンコクで買うよりもあきらかに廉価ですね。
チェンマイは他のタイの都市と比べても訪れるべきスポットは多いので、最低3泊、できれば4泊はしたいところ。そうすれば、チェンマイマラソンの前後で、タイの古都を120%楽しむことができると思います。自分も、このコラムを書きながら、今年もチェンマイマラソンへの参加を計画していますし、他のタイのマラソンのスケジュールも、いろいろチェックしています。みなさんとタイのどこかのマラソンでお会いできましたら幸いです!
象と触れ合うことのできるメーサー エレファント キャンプは人気スポット。
少数民族の村を訪れるオプショナルツアーも人気です。
タイ式マッサージなどもバンコクよりも若干安めの価格設定だと思います。
このエリアならではの民芸品もオススメです。観光客で賑わうナイトバザールをチェックするのも楽しいですよ。
主なタイのマラソンのスケジュール
・プーケットマラソン 2019年6月8日(土)、9日(日)開催予定
・パタヤマラソン 2019年7月14日(日)開催予定
・バンコクマラソン 2019年11月17日(日)開催予定
・チェンマイマラソン 2019年12月22日(日)開催予定
・コンケーンマラソン 2020年1月開催予定
・アメージング・タイランド・マラソン 2020年2月開催予定