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SPECIAL

NEXT PHASE OF MIZUNO RUNNING オランダ・ロッテルダムのミズノ ヨーロッパを独占取材!

2020.03.27
Iori Matsudaira
Masahiro Minai

筆者が一昨年より、そのプロダクトの変貌ぶりに注目しているブランドがある。それがミズノだ。かつての日本のランニングマーケットでは、変わらないことを“良し”とするランナーの比率が高かったが、昨今は自己記録更新や、より快適に走るためには、従来の考え方を捨て、革新的で、奇抜にも思えるプロダクトをトライすることに対する拒否反応は少なくなった。ここ数シーズン、ミズノは、そうしたランナーたちを納得させるプロダクトを次々とリリースしているのだ。そんな同社の開発拠点のひとつであるオランダのロッテルダムにあるミズノ ヨーロッパを独占取材した。

ブランドマーケティングには、長期的なパートナーシップが重要!

JEAN-PAUL VAN DER LINDEN(ジャン・ポール・ファン・デル・リンデン)
General Manager – EMEA Mizuno Central Region
Deputy Head – EMEA Sport

「同じヨーロッパでも、北と南で求められる要素は異なります」

「ミズノへ入社する以前から、このブランドと深い関係がありました。大学を卒業して就職した会社がミズノ製品を扱うことになり、それが最初にミズノとかかわることになるキッカケです。選手のパフォーマンスを本当の意味で向上させる製品のみを扱う会社だったのですが、そういった意味で、ミズノというブランドはピッタリの存在でした。ミズノの最も大きな魅力は、長い歴史に培われたヘリテージと、いつの時代も技術革新に邁進する姿勢を融合することで、アスリートのパフォーマンスを向上させ続けている点ですね。私がミズノに入ってから、特に感じているのが、ヨーロッパと言っても南と北でアスリートがスポーツギアを選ぶ際の基準が異なるということです。北ヨーロッパではテクノロジーや機能性が最も優先されるのに対し、南ヨーロッパの国々では、履き心地や見た目が重要視される点ですね。もちろん機能性が軽視されるわけではないですが。その違いに合わせたマーケティングアプローチを行うようにしています。ランニングカテゴリーに注目してみると、ここ10年で市場環境が大きく変化しました。以前は記録や自分自身の限界に挑戦するシリアスランナー中心だったのが、最近では健康のためや走ることを純粋に楽しむランナーが急速に増え、ターゲットとして重要な存在となりました。さらに、走るときのシューズやウェアをシームレスにライフスタイルシーンにも活用することがあたり前となっています。それに伴い、フットウェアとアパレルの両方が一昔前とは比較できないほどスタイリッシュになったと思います。ヨーロッパにおけるミズノは、当初ランニング、サッカー、バレーボールに注力しましたが、現在では9つのカテゴリーに増えています。認知度向上には長期的なパートナーシップが重要で、アムステルダムマラソン、イタリアとオランダの女子バレーボールチームとの長期契約は、その象徴であると思います」

 

2020年はブランドの認知度を上昇させる最高のタイミング!

STEPHAN DEKKER(ステファン・デッカー)
Marketing Manager – EMEA

「オランダ、イギリス、ドイツ。趣味嗜好が異なるので細分化された戦略が不可欠です」

「子供のころからスポーツが好きだったのと、クラフツマンシップ(職人技)に対する憧れがありました。ミズノというブランドは、まさにその二つを兼ね備えた存在であり、それがミズノで働きたいと思った理由です。私にとって、ミズノの最も大きな魅力は、1906年創業という長い歴史とそれに伴うクラフツマンシップと開発力であり、ミズノは、その歴史と会社の規模にあぐらをかくことなく、常に進化を続けようとしているところが素晴らしいですね。そんなブランドで働けることは本当に幸せです。トレイルランニングはフランスではポピュラーですが、オランダでは全く需要がありません。国土のほとんどが平地なので、トレイルランニングを楽しめるようなアップダウンのある場所がないのです(笑) またインドアスポーツはランニングに次いで欧州では重要なカテゴリーですが、イタリアやオランダでバレーボールは人気ですが、英国ではそうでなく、ドイツではハンドボールが国民的なスポーツであるというように、ヨーロッパにおいては、人気のスポーツや趣味嗜好が異なるので、各国において細分化されたマーケティング活動が必要になってきます。

「トップアスリートと一般消費者を直接結び付けるようなスポーツマーケティングをこれまで以上に強化していきます」

そんななかでもオンロードランニングは概ねEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカの略)でポピュラーなので、最も重要なスポーツカテゴリーとなります。マーケティング戦略では、これまで以上にデジタルマーケティングが重要になってくると思いますし、トップアスリートと一般消費者を直接結び付けるようなスポーツマーケティングをこれまで以上に強化していきます。そして、2020年は全く新しいテクノロジー、マテリアルが発表される予定になっているのと、オリンピックが東京で開催されることもあって、日本という国が世界中から注目される年になると思います。ジャパニーズブランドであるミズノにとって認知度を上昇させる最高のタイミングであるということが言えるでしょう。2020年は、ポジティブな意味で、『ミズノは変わった!』と言ってもらえる年になると思います」

 

自信を持って薦められる機能、それがミズノウエーブなのです。

青江 茂
Running & Training Footwear Product Manager – EMEA

「充分な機能性があれば、無理にモデルチェンジする必要はないですよね!?」

「子供のころからサッカーを始めとしたスポーツに親しんでいて、いつかスポーツに関連した職業に就きたいと思っていました。自分は日本語と英語の両方を使うことができますが、ミズノと縁があり、働くチャンスに恵まれました。個人的にミズノの最も大きな魅力となっているのは、情熱を持って企画開発を行うチームの存在で、開発力の高さは、業界トップレベルにあると思います。彼らが創造するプロダクトは、自信を持って営業チーム、小売店、そしてアスリートに薦めることができます。なかでもミズノウエーブは、我々が自信を持ってユーザーに履いてもらいたいと思うテクノロジーです。ときどき『ミズノウエーブはずっと変わっていない…』という声も聞きますが、それは、このテクノロジーの基本部分は変更する必要がないほどに完成度が高いからだと思います。私たちは他ブランドのテクノロジーを分析していますが、衝撃吸収性、反発性、安定性etc.様々な性能面において、ミズノウエーブは遜色ないレベルにあります。現在あるプロダクトが、充分な機能性を保持しているのであれば、無理にモデルチェンジさせる必要はないですよね。これはランニングカテゴリーだけでなく、ほかのスポーツに関しても共通するミズノの開発ポリシーです。

青江氏の最高傑作であるウエーブシャドウ3。夏季に素足で履いても快適な履き心地を提供するシームレスなアッパー構造を採用。

これまでに数々のプロダクトに携わってきましたが、自分の想いを最も具現化できたのがランニングシューズのウエーブシャドウ3です。このシューズは中足部着地を促進させるプロダクトで、第2弾から大きくモデルチェンジさせたのですが、最も強調したいのが、夏季に素足で履いても快適な履き心地を提供するシームレスなアッパー構造です。アッパーの補強材の位置もミッドフット着地に対応して前寄りに配しました。欧州においては、日本のブランドであることは大きな価値なのですが、これからも機能性とデザイン性を高次元で追及した日本ブランドであることを訴求していきます」

 

ヘリテージとイノベーション。その両方を大切にしていきます。

LUCA MARCHET(ルカ・マルチェット)
Sportstyle Category Manager – EMEA

「歴史、革新、そして日本。この3つの言葉がミズノを象徴しています」

「3年半ほど前、イタリアの同業種のブランドで働いていたのですが、EMEAミズノゼネラルマネージャーの岡本氏に『新たなプロジェクトでリーダーになってほしい!』と誘われて、ミズノで働くことになりました。全く新しいことをゼロからスタートさせるという点に興味が湧いたのです。ミズノの魅力は3つの言葉で表現することができ、一つ目は創業から100年以上が経過しているというヘリテージ、すなわち長い歴史、二つ目がイノベーションで、いつの時代も進化を忘れないという点、そして三つ目が日本のブランドであるということで、ヨーロッパのブランドとは全く異なるテイストを有しており、これら三つの点が絶妙にミックスされている点が大きな魅力となっていると思います。ライフスタイルのカテゴリーでは、歴史的な傑作のデザインに現代のイノベーションや日本らしいカラーリングを融合したプロダクトをリリースしていますが、これこそミズノらしい製品ですね。私たちのチームは、マーケットからのフィードバックを収集し、常に正しい製品開発に役立てようとしています。それを日本の優秀な開発チームとキャッチボールすることで、欧州のみならずワールドワイドで受け入れられるプロダクト開発に役立っていると思います。

手にするのは、パリのストリートブランドFUTURとのコラボレーションによるウエーブプロフェシー8の限定モデル。

個人的な最高傑作は、手にしているパリのストリートブランドFUTURとのコラボレーションによるウエーブプロフェシー8の限定モデルで、FUTURはミニマムかつアーティスティックな製品を提供することで知られます。このプロダクトは、テクノロジーの最高峰であるインフィニティウエーブを搭載したハイパフォーマンスモデルに、ファッショナブルなディテールを組み合わせた点が斬新だと思います。ライフスタイルカテゴリーに関しては、最初の段階は幅広い復刻モデルをリリースしましたが、第二段階では、特に人気のあったプロダクトに集中してバリエーションを拡大していきます。長期的にはトレンドを取り入れたコレクションを提案していくことができるようになると思います」

 

Reasons To Choose Mizuno
有力ショップスタッフに聞いた、ミズノランニングの魅力とは?

アーネ・ホースト氏は、アムステルダムのランナーから高い支持を受けるRUN2DAYでアシスタントマネージャーを務めている。

オランダのランニング市場においてミズノランニングが高い支持を受ける理由を著名ショップのスタッフが語った!

「私はアムステルダムのランニング専門店であるRUN2DAYでアシスタントマネージャーを務めるアーネ・ホーストです。私たちRUN2DAYは、ロッテルダム、ユトレヒト、デンハーグなど、オランダ各地にショップ展開していますが、アムステルダムでも最もランナーに愛されるショップであると自負しています。RUN2DAYは、数々のブランドの様々なバリエーションを取り揃えていますが、ミズノのランニングシューズは、抜群のクッション性、優れた耐久性と快適な履き心地etc.を武器に、我々のショップにおいて高い評価を得ることに成功しています。ミズノのランニングシューズは、豊富なラインアップを取り揃えているので、ビギナーからシリアスランナーまで幅広く対応することができますが、脚力が充分でないランナー、ケガをしやすいランナーに薦めることが多いです。ミズノウエーブは高い衝撃吸収性、反発性と比類なき安定性を高次元で融合していますので、特にかかとから着地するヒールストライカーのランナーにはピッタリです。

ランニングシューズに関して造詣の深いアーネ・ホースト氏。各ランナーの着地スタイルや足形を分析した後に、適切なシューズを勧めてくれる。脚力が充分でないランナーにミズノを勧めることが多いという。

ウエーブライダー、ウエーブスカイ、ウエーブアルティマのようなプロダクトは、ファンランナーでスタイリッシュなデザインのシューズを求める人々から人気となっており、ウエーブシャドウは、シリアスランナーで速めのペースで走りたいユーザーや、レースに出走するランナーから高い支持を受けています。私たちのショップでは走行フォームや着地の瞬間をカメラで撮影する設備を備えていますが、オランダのランナーの着地スタイルを大まかに分類すると、60%以上が踵から着くヒールストライカー、残りの40%程度が、足の中央、土踏まず付近の中足部から着地するミッドフットストライカーと、踏みつけ部分ともいわれる前足部から着くフォアフットストライカーだといえるでしょう。そのことからも後足部にミズノウエーブという完成度の高いクッショニングテクノロジーを搭載しているミズノのランニングシューズコレクションは、オランダのランナーに特にマッチする存在だと思いますよ」

 

Head Office Of Mizuno Europe
これがロッテルダムの開発拠点だ。

ヨーロッパにおけるミズノの開発拠点は、欧州随一の港湾都市として知られるオランダのロッテルダム。各国からのフィードバックが結集し、製品開発に役立てられる。

ヨーロッパのスポーツ業界において確固たるポジションを築くことに成功したミズノ。その拠点はオランダのロッテルダムにある。ヨーロッパ随一の港湾都市として知られるこの街は、交通の便がよいことから世界屈指の食品、洗剤、ヘアケア、トイレタリーなどの家庭用品メーカーであるユニリーバを始めとした多国籍企業の本拠地も置かれる。第二次世界大戦の際、ナチス・ドイツの空爆により市街地は破壊されたため、戦後の復興に伴い近代的な計画都市として復活した。それゆえアムステルダムを始めとした他のオランダ国内の都市と比較して近代的な建物が目立っているのが大きな特徴だ。

ジャン・ポール氏らのインタビューにもあるように、一口にヨーロッパと言っても、その嗜好は多種多様。ポピュラーなスポーツ、人気のあるカラーリング、マテリアルは国や地域によって異なる。そして、このオフィスが担当するのはヨーロッパだけでなく、中東やアフリカ諸国もカバーするので、求められるプロダクトの特徴は多種多彩。各国からのフィードバックはロッテルダムのヘッドクォーターに集められ、分析。分析されたフィードバックは日本の開発チームに送られ、密接なコミュニケーションにより、欧州マーケットのアスリートの要望を具現化したプロダクトが完成するのである。1906年に水野利八氏が創業した水野兄弟商店を原点とし、114年という古い歴史を持つミズノ。一方でランニング、サッカー、野球etc.といった様々なカテゴリーにおいて、他ブランドにはない革新的なテクノロジーを発表してきたことでも知られる。今回のオランダ滞在では昔ながらの街並みが残るアムステルダムと世界遺産に登録されるキンデルダイク、斬新なデザインの中央駅やビルディングが目立つロッテルダムの両方を走ったが、新旧両方のエッセンスが共存するさまは、ヘリテージとイノベーションの両方を大切にするミズノというブランドのイメージと重なった。

ミズノ ヨーロッパのオフィスから車で40分ほどの場所にあるのが、世界遺産に登録された“風車の村”キンデルダイク。世界各国から観光客が訪れる人気スポットだ。

INFORMATION
ミズノお客様相談センター
TEL:0120-320-799(月~金9:30~17:00)
www.mizuno.jp/running

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