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SPECIAL

[ニュージーランド本社取材] Icebreaker キーパーソンに聞く、その魅力。

2020.03.25
Daiki Suzuki
Masahiro Minai

ワンランク上の着心地を求めるランナーは、Icebreakerをセレクトする!

ニュージーランド産メリノウールが持つ利点を徹底的に活かしたアパレルコレクションが、地元ニュージーランドのみならず、ワールドワイドで高い評価を得ている「Icebreaker(アイスブレーカー)」。いずれのプロダクトも、一度着たら手放せなくなる快適な着心地、汗をかいても素早く外部に発散する点、ランニングを始めとしたスポーツシーンからライフスタイルシーンまで幅広く対応する汎用性の高さなど、従来のウール製品の常識を覆す特徴をいくつも有しており、ワンランク上の着心地を求めるランナーは、このブランドをセレクトするのだ。今回、Icebreakerの本社があるニュージーランドのオークランドを訪れ、キーパーソンに、その魅力を語ってもらった。

 

「いくつもの偶然が重なってこのブランドが誕生しました!」

Jeremy Moon(ジェレミー・ムーン)
Founder – Icebreaker

「アイスブレーカーの歴史は、アメリカ人バックパッカーの友人が、一人の農場主の男性を紹介してくれたことから始まりました。彼は『コレを着てみてよ!』と、自分で作ったという1着のウール製のTシャツをくれたのです。最初は『ウール製品を素肌に着たらチクチクするんじゃないか…』と思ったのですが、実際に着てみると、柔らかな繊維でできたそのTシャツは、シルクを着ているような着心地で、快適そのもの。マウンテンバイクやランニングといったスポーツのときだけでなく、当時はリサーチ関係の会社に勤めていたので、オフィスに行くときもシャツの下に着たりしていました。実は、このときに初めてメリノウールという存在を知り、それまでは、この素晴らしい存在を全く知らなかったのです。普通の羊毛は一本一本の繊維が太くて重いのに対し、メリノ種の羊から採取されるウールは、繊維が細くて軽量なことから、今までにない秀逸な着心地を提供してくれたのです。それからは毎日のようにそのTシャツを着ていたのですが、あるときから『この素材の素晴らしさをより多くの人に伝えたい!』と、考えるようになり、アイスブレーカーというブランドを始めることにしました。まだ若かったので、大きな決断でしたが、メリノウールに運命のようなものを感じていたのです。

あまりの着心地の良さからボロボロになるまで着用され、感謝の手紙とともに返送されたメリノウールの半袖トップス。

メリノ羊からの原毛の採取、洗浄、脱脂、糸にする工程etc.を経て、比類なき着心地のアイスブレーカー製品が完成する。

農場主からメリノウールの繊維の作り方を伝授してもらうとともに、彼には株主にもなってもらいました。それからはアイデアが出るとカタチにして、いくつものプロトタイプを作りました。デザイナーは雇えないから自分たちでデザインも行って、幾度ものトライ&エラーを経て、最初のコレクションが完成します。半袖Tシャツ、ロングスリーブトップ、ハーフジップロングスリーブ、ボタンアップシャツ、そしてレギンスの5型で、最初はニュージーランド国内で製造していました。個人的に一番気に入っていたのはハーフジップロングスリーブで、マウンテンバイクに乗るときにいつも着ていましたが、暑くなったらジッパーを開けて、衣類内部を冷却することができ、本当に便利でした。

完成したコレクションの小売店からの反応は、正直言うと、最初はあまり良くなかったです。当時のスポーツ業界の常識は、『激しい運動の際に着るスポーツウェアは、ポリエステルやナイロンといった化学繊維であるべき!』という考え方が全盛だったので、仕方ないのですが。それでも、一度着てもらうと、『こんな快適な着心地だと思わなかった!』と、アイスブレーカーの製品は徐々に受け入れられていき、現在では、ここニュージーランドで、アイスブレーカーというブランドは誰もが知る存在となりました。最近では化学繊維を使用した一部の衣類は、洗濯するたびにマイクロファイバーという微小繊維が抜け、海に流入。最終的に人体にも悪影響を与えるという危険性が指摘されています。天然素材の素晴らしさを啓蒙し、プラスチック製品の消費を減少させることも、我々にとっての使命であり、人類にとっての重要な課題だと思います」。

 

「自分自身が走るから本当に手放せない存在です!」

Carla Murphy(カーラ・マーフィ)
Vice President, Global Brand & Product – Icebreaker, VF Corporation

「私は2015年まで、別のスポーツブランドに勤めていましたが、創業者のジェレミーのものづくりや地球環境に対する考え方に共感して、アイスブレーカーに入社を決めました。現在私たちがマーケティング活動を行うにあたり最優先しているのは、アイスブレーカーというブランドの本質を消費者に伝える活動に注力することです。他のブランドであれば、自分たちの製品を着たカッコいいモデルが登場する広告やビルボードにお金を使うことで、消費者の購買意欲を高めようとするでしょうが、私たちのブランドは、“どうしてサステナブルな素材を選んだほうがいいのか”、“使われているメリノウールはどのように採取され、製品化されているのか”、“メリノウールは他のマテリアルと比較して、どのような点が優れているのか”といったことを、ユーザーにダイレクトに伝えていきたいと思っています。

それと、現代はアパレルを始めとしたモノを所有しすぎている社会構造となっていますが、地球環境に与えるインパクトを考慮すれば、本当に必要なものだけを所有するほうが幸せなのだという方向に変えて行くべきだと思います。『Less is more』ですね。その点、アイスブレーカーは、ライフスタイルにおいてもスポーツシーンにおいても汎用性が高いので、多くの人にとって持つべきものであると思います。私はUTMBやCCCにも出場するくらいトレイルランニングが大好きなのですが、ご存じのように山の天気は本当に変わりやすく、気温の上下も激しいですよね。そんなときに天然繊維であるメリノウールは、優れた調温機能で、着用者に快適な着心地を与え続けてくれます。100マイルのトレイルレースは、40時間を超える制限時間だったりしますが、その間に競技者は大量の汗をかいたり、気温の変化も平地とは比べ物になりません。そのような状況でもアイスブレーカーのウェアは、1着で、あらゆる状況に対応してくれるので、私にとってもマストアイテムです」。

 

「このブランドの素晴らしさをより一層伝えられたらと思います!」

Scott McNab(スコット・マクナブ)
General Manager
Icebreaker – New Zealand & Australia

「私は2011年にアイスブレーカーに入社し、専らセールスを担当していましたが、2017年の6月からは、ゼネラルマネージャーとして、ニュージーランド及びオーストラリアの営業及びマーケティング、経理などの責任者をしています。自分はランニングやマウンテンバイクが大好きで、元々はアイスブレーカー製品の大ファンでした。そんなこともあり、このブランドで働くことができるようになったときは、本当に嬉しかったです。最高のプロダクト、最高の仲間etc.働く場所としても素晴らしい環境でした。今はマーケティングも担当しているので、いかにしてアイスブレーカーの素晴らしさを伝えるかを楽しんでいます。

最近では他ブランドもウールを使用したスポーツアパレルを発売していますが、アイスブレーカーは最高品質のプロダクトを提供するために、素材の品質には徹底的にこだわっています。ニュージーランド国内の契約牧場との密接なコミュニケーションにより、メリノ羊の栄養状態までも把握しているのです。そして、他ブランドのウールプロダクトは、使用用途を限定しているデザインやスペックだったりしますが、アイスブレーカーの製品は、ハリウッドのセレブリティも愛用しているように、飽きのこない洗練されたデザインを採用しているので、自ずと着用回数が多くなります。例えば、スキーのためにセーターを買ったとして、他ブランドの製品だったら年に2回しか着ないということになりますが、我々のプロダクトはそのようなことはなく、スポーツのときだけでなく、日常生活のシーンでも大活躍してくれるのです。これまで自分はトレイルランニングやトライアスロンなどのスポーツを楽しんできました。最近では、より多くの種類のスポーツに参加しようと思っていますが、そういったときもアイスブレーカーの製品を着ていて、優れた吸湿発散性、快適性、そして耐久性を享受しているのです」。

 

Icebreakerの本社があるオークランドはどんな街?

プライベートでもIcebreakerのウェアコレクションを愛用し、その優秀性を体感しているモデルのNachosとBridget。最新の2020SSコレクションを着用して、ヘッドクォーターのあるオークランドはポンソンビー地区を走った。

オークランドは、ニュージーランド北島の北部に位置するニュージーランド最大の都市。ニュージーランドの人口の4分の1が、このエリアに居住する。オセアニアでも屈指の都市ながら、その周囲には大自然が広がり、アクセスもイージー。この街に住む人々は、ランニング、トレイルランニング、ハイキング、マウンテンバイクetc.といった様々なアクティビティを楽しむことができる。アイスブレーカーの本社は、市内ポンソンビー地区にあり、このエリアはチェーン店よりも個人商店が目立つエリアで、お洒落なブティックやフラワーショップ、オーガニックのスーパーマーケット、そしてカフェやバーも充実。オークランドで最も注目されるエリアである。

オークランド(写真上2枚)から車で約5分の街、ポンソンビーを駆け抜ける二人。

 

現地ショップスタッフに聞く、他ブランドにはないIcebreaker の魅力とは?

ニュージーランドでは老若男女問わず、誰もが知っているIcebreaker。その優秀さを最前線でユーザーに伝えているのがリテールストアで実際に接客するセールススタッフ。今回は本社の1階に位置する直営店とニュージーランド屈指のアウトドアショップのスタッフに、Icebreakerが他ブランドよりも優れている点を聞いた。

Shaneez Ahmed
Icebreaker Ponsonbyスタッフ

「こちらのショップは、アイスブレーカーのヘッドオフィスが入居するビルの1階にあるので、関係者の訪店も多いですが、ポンソンビーというオークランドでも注目されているエリアにあるので、スタイリッシュなお客さんも多いですね。私がアイスブレーカーというブランドを気に入っている点のひとつが、ニュージーランドのブランドであるということ。フィジーの出身ですが、ニュージーランドに長く住んでいるので、地元のブランドを応援したいという気持ちもあります。使用しているメリノウールも、ニュージーランド国内で飼育されているメリノ種の羊から採取したものですしね。自分自身も毎日愛用していて、トップスやボトムス、アウターも好きですが、一番気に入っているのは、アンダーウェアです。他のアイテムと違って、下着はほぼ一日中身に着けるものじゃないですか? だからこそ、肌触りがよく、汗の発散性に優れたメリノウールを使用したアイスブレーカーのアンダーウェアコレクションを一度試すと、他のブランドの下着は身に着けたくなくなってしまいますよ(笑) 私たちのショップで、ランナーのお客さんに評判が良いのは、メリノウールとテンセルを混紡したクールライトというマテリアルを使用したコレクションになります。ライフスタイルやちょっとした運動では、メリノウール100%の製品がオススメですが、暖かい季節の長時間ランニングのような、特に発汗量の多い有酸素運動の際は、クールライトの優れた高い吸水性と速乾性が欠かせないと思いますよ」。

 

Jessica Swift
Bivouac Outdoor Sylvia Parkスタッフ

「ビバークスポーツはニュージーランドを代表するアウトドアショップで、様々な著名ブランドを展開していますが、当店において、アイスブレーカーは最も重要なブランドのひとつであり、店内でも最も広い面積でコーナー展開しています。それ故、アイスブレーカーを指名買いされるお客さんも多いです。私がこのブランドが優れていると思うのは、天然素材であるメリノウールを使用していて、このマテリアルの優れた調温機能は、寒いときは温かく、暑いときは涼しくしてくれるという特性があり、本当に優秀だと思いますよ。あと、素材の調達、加工、製造といったすべての段階で透明性があるのも好感が持てる部分です。メリノウールは、石油など化石燃料を原料とする化学繊維と異なり、サステナブルな素材ですしね。私は普段着としてもアイスブレーカーを愛用していますが、走ることが大好きで、トレイルランニングやウルトラマラソンのレースにも出場しており、そんなときにもアイスブレーカーの優秀性を体感しています。このお店で安定した人気があるのは、ベースレイヤーで、150g/m²や200g/m²、260g/m²というように、季節や用途、ユーザーの好みに合わせて、様々な厚みの生地が用意されているのも嬉しいですね。最近では他ブランドからもメリノウールの使用を謳った製品がリリースされていますが、品質を考慮すると、アイスブレーカーの製品は他の追随を許しません。値段に釣られて、安物買いの銭失いになるくらいなら、初めからアイスブレーカーを買ったほうがいいですよ」

 


編集後記

ニュージーランドの滞在は2回目となるが、前回プライベートで渡航したときも思ったことだが、この国におけるアイスブレーカーの知名度は、日本とは比べ物にならない。今回滞在したホテルで、滞在の目的を聞かれ、「アイスブレーカーの本社への取材だよ!」と告げると、「ポンソンビーに本社はあるらしいね? 車で5分くらいだよ。着心地いいよね!」とすぐに返ってきたし、今回インタビューした人々の多くが「一度着たら手放せなくなるし、地元ニュージーランドのブランドだから応援したい!」とコメントしたように、優れた機能性だけでなく、地元ブランドだからこそ、ここまで深く愛されているということを知った。アイスブレーカーは、キウィ(ニュージーランド人が自分たちのことを呼ぶ表現)にとっては、欠かすことのできない国民的ブランドなのだ。

 

INFORMATION
ゴールドウイン カスタマーサービスセンター
TEL:0120-307-560
www.goldwin.co.jp/icebreaker/

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