[ランニング・インプレッション] HOKA ONE ONE 最新作の魅力に迫る。
ホカ オネオネの軌跡と未来。
ランナーはもちろんのこと、今やファッション業界からも注目を集めるブランドに成長したホカ オネオネ。そのルーツは山にあり、アスリートがより速く、より安全に、より遠くへ走るためにデザインされたプレミアムランニングシューズブランド。快進撃を続けるホカ オネオネの軌跡と未来、各業界から支持を集める理由を編集長の南井正弘が解説する。
スポーツ業界において、数々のエポックメイキングなプロダクトを発明してきたジャン・リュック・ディアード。彼がランナーの脚への負担を少なくし、効率よく山を駆け下りるためのツールを開発しようとしたことから、ホカ オネオネの歴史はスタートした。ブランドは2009年に創業したが、筆者がホカ オネオネのシューズを初めて見たのは2013年1月のこと。
あるモノ系ファッション誌のスポーツギア特集の執筆を担当していて、知り合いのスタイリストが、注目のランニングシューズとして撮影のためリースしていたのである。当日は成人式の日で、都内では珍しい大雪となり、交通機関が大幅に乱れ、かなり遅れてスタジオに到着したが、目に飛び込んできたインパクト充分なデザインのランニングシューズのことは今も忘れることはできない。
極厚ミッドソールを装備した、そのボリューミーなシルエットからは想像できない軽さも印象的だったし、2010年のハセツネCUP男子の部を制した選手が、ホカ オネオネを履いていたという情報を聞いて、その走行性能の高さを想像することはできたが、それでも「こんなデザインで本当に走ることが出来るのだろうか?」という気持ちが、心の片隅にはずっとあった。
それから数ヶ月が経過して、遂にホカ オネオネのシューズを試す日がやってきた。このときトライしたのは、スティンソン、マファテ、ボンダイといった特にミッドソールの厚いタイプで、走り始めて、まず感じたのが、そのフワフワしたミッドソールの感触。ゆりかご状のソールユニットも相まって、着地から蹴り出しまでの一連の動作がスムーズ。これなら、いままでのシューズ以上に走ることが楽しくなるだろうことは、すぐに理解できた。
そして最初にこのブランドのシューズを見たときに思った「これだけミッドソールが厚いと安定性に問題はないのだろうか? 特にコーナーを曲がったり、折り返し点を廻るときには、足首に負荷がかかって 捻挫しそう…」という点も、ソールユニットの接地面積がかなり広いので、カーブする際にもある程度減速すれば、フラつくこともなかった。それからというもの、筆者のランニングシューズコレクションに、青い箱のホカ オネオネが、急速に増えていったのである。そして、筆者のストックルームにホカ オネオネが増えるペースよりもさらなる速さでシェアを伸ばしたのが、アメリカを始めとした、海外のレースデイにおける同ブランドの着用率。シカゴマラソン、ホノルルハーフマラソン ハパルア、ゴールドコーストマラソン、エルサレムマラソンと、世界中のロードレースを走ったが、ホカ オネオネは、そのいずれもで、高い着用率をキープしていたのである。
さらにホカ オネオネの快進撃はパフォーマンスシーンに留まらない。ここ数シーズンでは、急速にファッションシーンでも注目されるようになっている。最近ではエンジニアドガーメンツとのコラボレーションも記憶に新しいが、それだけでなく、インラインプロダクトもファッショニスタやスニーカーフリークにピックアップされることも珍しくなくなった。このようにホカ オネオネは現在では知る人ぞ知るブランドというポジションから完全に脱却し、スポーツシューズ業界のメインストリームにしっかりと食い込むことに成功している。今後もより一層成長することは間違いないだろう。
金哲彦氏がホカ オネオネを選んだ理由。
ランニング評論家として著名な金哲彦氏。現役時代から星の数ほどのランニングシューズを着用してきており、シューズに関する知識は業界トップクラスとしても知られている。今年ホカ オネオネとアドバイザリー契約を締結したニュースは大きな話題となったが、そんな金哲彦氏にこのブランドの魅力を語ってもらった。
Photo:Masataka Nakada(STUH)
ホカ オネオネを最初に知ったのは、妻が日医ジョガーズ(日本医師ジョガーズ連盟)という走ることを習慣としている医師・歯科医師の全国組織のメンバーなのですが、その団体に所属している鈴木先生が、全米すべての州のフルマラソンでサブ4のタイムで走るという偉業を達成されました。そして、この方が履いていて「このシューズが本当に走りやすいんですよ!」と絶賛していたのが、ホカ オネオネでした。
最初に見たときは「ずいぶんとミッドソールが厚いランニングシューズだなぁ」と思いましたが、ウルトラマラソンも走る、しかも医師を職業とするランナーが気に入っているということは、科学的な根拠があるのは想像に難くありませんでした。
そして、去年のことになりますが、第5回白山白川郷ウルトラマラソンに出走することになり、コースをチェックすると凄いアップダウンがありました。大学時代に山登りの箱根駅伝5区を走っていたように、上りは得意ですが、実は下りが苦手なんです。脚への負荷は平地や下りとは比較にならないですから。そのときに思い浮かんだのが、ホカ オネオネのランニングシューズでした。
練習ではいろいろなブランドも試しましたが、ホカ オネオネの下りの走りやすさは群を抜いていて、さらに走ったあとの疲労感の少なさは特筆すべきレベル。翌日も疲れがほとんど残ってなかったです。本番は当然ホカ オネオネを選びましたが、比類なき衝撃吸収性、下りの走りやすさもあって、無事に100kmを完走。それ以降も毎月のようにフルマラソンを走っていますが、ホカ オネオネのシューズのおかげで、ほぼノーダメージで楽しく走ることができています。
私がホカ オネオネのシューズを薦めたいと思うタイプのランナーは、まず初心者やケガしたくないランナー。それと自分のように下りが苦手なランナーにピッタリで、下りの苦手意識が無くなるでしょうし、ウルトラマラソンを走るランナーにも最適なスペックのシューズを備えていると思います。
このブランドの魅力をもうひとつ付け加えると、これは機能的な部分ではないのですが、デザインが従来のランニングシューズよりもスタイリッシュなところ。これまではラン用のシューズと街履きシューズを分けていましたが、ホカ オネオネなら1足で両方のシーンに対応してくれます。ちなみに自分が一番気に入っているのはクリフトン4です。ランだけでなくカジュアルシーンまでシームレスに履くことができる点を気に入っていて、今日履いているブラックを含めて4色持っているくらい大好きなモデルです。
金哲彦(きん てつひこ)
1964年、福岡県出身。早稲田大時代、箱根駅伝の山上り5区で活躍、2度の区間賞と総合優勝を経験。卒業後はリクルートに入社しランニングクラブを創設。マラソン選手として東京国際マラソン3位などの実績がある。フルマラソンのベストタイムは2時間11分48秒。引退後はコーチに就任、数多くのトップアスリートを育成している。
ホカ オネオネ ランニング・インプレッション「走ればわかるさ」。
ホカ オネオネの最新モデルを実際に履いて走ってレビューするランニング・インプレッション。編集長の南井正弘が、今季を代表する4モデルのポテンシャルに迫った。
■CLIFTON 5
CLIFTON 5
17,000円(税別)
ホカ オネオネの顔ともいえる数々の業界賞を受賞したクリフトンシリーズ。クリフトン5は、昨シーズンのクリフトン4をさらに進化させた最新モデル。独自のボリュームEVAミッドソール構造には先進のフォーム素材が採用され、歴代モデルよりもさらに軽く、優れたクッション性、反発性を備えている。また、前作を超える通気性の良いエンジニアードメッシュアッパーと、柔軟性のある前足部が快適で滑らかな走り心地を提供してくれる。
MINAI’S IMPRESSION
「クリフトンはホカ オネオネのラインアップにおいて、日本を始めとした世界各国でベストセラーのひとつとなっているが、その魅力は同ブランドならではのクッション性の高さと、ある程度速めのペースにも対応する走行性能の高さを兼ね備えている点。筆者は第2弾モデルのクリフトン2から着用しているが、このシリーズはそこまでミッドソールの厚みないので、他ブランドのランニングシューズからの履き替えもスムーズであった。
仕事柄知り合った人にオススメのランニングシューズを聞かれることも多いが、“クッション性がよく、楽しく走ることができるランニング シューズを探しているユーザー”には、クリフトンの歴代モデルを薦めることが多かった。
今回のクリフトン5は、クリフトン4のソールユニットを流用しつつ、アッパーデザインを変更したモデル。前作が足をガッチリと囲むようなホールド感を着用者に提供してくれたのに対し、今作ではアッパーの樹脂製オーバーレイの配置とエンジニアードメッシュのデザイン変更により、中足部のフィット感が優しく足を包み込むような感じとなっている。
実際に走ってみるとアッパー全体のフィット感が高く本当に履き心地がよい。スピードを上げても踵が浮き上がるようなことはなく、快適性と機能性を見事に融合していることを理解できた。前作のホールド感の高さを気に入っていたランナーは着用感の違いに最初は戸惑うかもしれないが、筆者がそうであったように、しばらくすると“こっちのタイプのフィット感のほうが、長時間走る際にはいいかも…”と新たなフィット感を受け入れることができると思う」。
MEN’S
Caribbean Sea / Storm Blue、Alloy / Steel Gray、Evening Primrose / Nine Iron、Black / White
WOMEN’S
Marlin / Blue Ribbon、Green-Blue Slate / Canton、Black / White
■BONDI 6
BONDI 6
21,000円(税別)
ボンダイは、硬い路面での長時間ランニングでもクッション性を持続し、ライトトレイルにも対応できる十分なグリップ性能を兼ね備えた高機能モデル。最新のボンダイ6は、ニュートラルシリーズ(ロード用)で最高のクッション機能を搭載。軽量性、クッション性、ホールド性から通気性に至るまで全面的にアップグレードさせ、独自のメタロッカーテクノロジーにより、滑らかでバランスの取れた快適な走りを実現してくれる最上級の1足。
MINAI’S IMPRESSION
「ボンダイシリーズは、ホカ オネオネのロードランニング向けシューズの代表モデルであり、今作で第6弾となる。歴代モデルは、そのマシュマロのような比類なきクッショニング性能、ゆりかご状のソール形状が生み出す着地から蹴り出しまでのスムーズな体重移動で、より楽に走れることにより、それまで走ることを中断していたランナーが再び走ることができるようになったという話も珍しくない。
今回リリースされるボンダイ6は、前作からアッパー、ソールユニット両方が変更されたフルモデルチェンジ。ボンダイ5の履き心地を気に入っていただけに、“自分が気に入らない方向に変更されていなければいいのだが…”と思っていたが、実際に履いて走ってみると、それは杞憂に終わった。まず足を入れてみると、新しいアッパーパターンのフィット感のよさに驚く。シューズと足が一体になったようなフィット性の高さだが、窮屈さは決してない。これなら脚力を効率よくシューズに伝達でき、さらに路面に力を無駄なく伝えられそうだと思った。
実際に走り始めると、弾むようなソールユニットと転がるような走行感は健在。そして思ったのが、これまでのボンダイシリーズよりもミッドソールの厚みを感じさせない点。これは走っている途中に急カーブを曲がったり、折り返し点を戻るときに感じたのだが、とにかく安定性が高くふらつきが少ない。外見でもデザイン処理の影響からか、極厚な雰囲気は前作よりも薄れているが、走行感はそれ以上に変わっている気がした。これまでより走行時の独自性は薄れたが、それはポジティブな意味であり、これなら一般的なランニングシューズからの履き替えもスムーズだと思う」。
MEN’S
Caribbean Sea / Storm Blue、Alloy / Steel Gray、Black / Black
WOMEN’S
Marlin / Blue Ribbon、Boysenberry / Blue Depths、Black / Black
■FLY AT NIGHT MACH & CAVU
FLY AT NIGHT MACH
20,000円(税別)
MEN’S & WOMEN’S Black / Nine Iron
ランニング&フィットネスアクティビティ用として新たに誕生したニューコンセプト“FLY”(フライ)。マッハは、PROFLY™ミッドソールがソフトな着地と前足部の推進力、R-BOUND™アウトソールが高い反発性と耐久性を提供してくれる新しいランニングシューズ。FLY AT NIGHTマッハは軽量で、ナイトランニングのために、反射ヒールタブ、反射ミッドソールや黒い反射ロゴを備え、夜を楽しく安全に走ることができる。
FLY AT NIGHT CAVU
MEN’S 16,000円(税別)、WOMEN’S 15,000円(税別)
MEN’S & WOMEN’S Black / Nine Iron
FLY AT NIGHTカブーは、ナイトランのための黒の反射ロゴと反射スクリーンを備え、スタイリッシュなオールブラックは、タウンユースとしても重宝する汎用性が高いランニングシューズ。かかと部分はPROFLY™ミッドソールにより衝撃を吸収できるよう柔らかく、前足部は推進力とエネルギーリターンを高めるために硬く、 その反発性はアウトソールの部分的なR-BOUND™によってさらに強化されている。
MINAI’S IMPRESSION
「ホカ オネオネから新たにリリースされたコレクションであるFLY。MACHとCAVUという二つのモデルがラインアップされており、筆者はその両方をトライし、これまでのホカ オネオネのシューズよりも軽量かつ反発性に優れた設計、ランニング以外にフィットネスアクティビティにも使用できる汎用性の高さに好感を持った。
そして2018年のFWシーズン、このFLYコレクションに新たなバリエーションが登場する。それがFLY AT NIGHTと呼ばれるコンセプトで開発されたモデル群。ブラックを基調としたシックなカラーリングのMACHとCAVUが展開されるが、アッパーの一部にリフレクター(再帰反射材)を使用することで、夜間のランニング時にも自動車やバイクのヘッドライトを反射することでランナーの存在をドライバーに確実に知らせ、夜間走行時の安全性を高めてくれる。時間的な制約で夜やまだ暗い早朝にしか走ることのできないランナーには嬉しいシューズのデビューである」。
ホカ オネオネのシューズテクノロジー。
ホカ オネオネのシューズは、足入れした瞬間から今まで体感したことのない不思議な感覚がある。そして、実際に走ってみると高いクッション性と軽量性を同時に実現し、ユニークなランニング体験を可能にする。オンロードでもオフロードでも、ジオメトリー、形状、クッションがより柔らかく、ストレスフリーに衝撃を吸収し、長時間使用しても快適なクッション性が持続し、楽しいランニングライフを約束してくれる。それがホカ オネオネのランニングシューズの特徴である。
■CUSHIONED MIDSOLE
従来のランニングシューズと比べ、非常にボリュームのあるミッドソールは、とても軽量でありながら衝撃吸収性にも優れている。この軽量マキシマムクッションによって、極上の快適性、様々な距離を走るための高いパフォーマンス設計を可能にしてくれる。
HOKA特有のマキシマムクッション
・抜群の衝撃吸収システム
・極上の快適性
・様々な距離を走るための高いパフォーマンス設計
■META-ROCKER
メタロッカーミッドソールは、スムーズな足運びを促すために、ドロップの差を少なくし、つま先とかかと部分を滑らかに削ぎ落とした独特のアウトソール形状をしている。まるでロッキングチェアーのようなローリング運動を導くことで、自然な体重移動を実現する。
メタロッカーテクノロジー
・ランニング時の正しい足運びをガイド
・着地から蹴り出しまでスムーズなローリング運動
・自然な体重移動で効率的なランニング
■ACTIVE FOOTFRAME
ミッドソールに搭載されたアクティブフットフレームは、足全体をしっかり包み込み、足とシューズを一体にする。踏み込んだ時の縦横の揺れやズレを防ぎ、高い安定性を保つ。
バケットシート型のミッドソール
・シューズと足を一体化させ高い安定性をキープ
・様々な形状の足から走り方まで幅広く対応
・プロネーション抑制サポート
■J-FRAME™
ダイナミックスタビリティの象徴であるJフレームは、その名の通りアルファベットの“J”の形状をしている。硬くて重い素材を使わずに、足のサポートとプロテクションを高め、体重移動を正しく導く。この画期的なテクノロジーはサポートシューズの新しい代名詞となるだろう。
Jフレームテクノロジー
・オーバープロネーションの抑制
・硬くて重い素材を使うことなく、足裏の重心移動を正しく導く
・クッション性と軽さを残しつつ高い安定性をキープ
■PROFLY™
プロフライミッドソールは、クッション性を高めるために程よい弾力と厚さを持ったヒール部分と、推進力を高めるためにある程度の硬さを持たせた前足部分が、速く快適な走り心地を提供してくれる。
デュアル構造のミッドソール
・着地時の衝撃から足を守るためのかかと部分のクッショニング
・推進力を生み出すために程よい硬さに仕上げた前足部のクッショニング\
・速く快適な走り心地
2018 FALL & WINTER PRODUCT CATEGORY
INFORMATION
デッカーズジャパン
0120-710-844
www.hokaoneone.jp
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・ HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)最大のクッション性をもつ「BONDI(ボンダイ)」が全面刷新。「BONDI 6」が発売。
・ ランニングやレースで疲れた足を癒す「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)」のリカバリーサンダル。
・ 「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)」の定番モデルに秋冬の新色が登場。
・ HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)のベストセラーランニングシューズ「CLIFTON 5(クリフトン 5)」が発売。