Running Gear Council-ランニングギア評議会-
第12回「気温差が激しい季節はメリノウールで乗り切れ!」
スポーツシューズに関連したビジネスに従事して37年になるRunners Pulseの南井編集長が、ランニングギアをマニアックに考察する連載コラム「Running Gear Council-ランニングギア評議会」。第12回のテーマは、朝晩と昼、日によって気温差が激しい春を乗り切るのに最適な素材であるメリノウール。吸汗速乾性は最先端の化学繊維に若干劣るが、汗冷えがしにくく、保温性に優れ、消臭効果もあるので、一度着るとファンになるランナーは少なくない。さらに、その着心地のよさは、ポリエステルなどの化学繊維では実現不可能なレベルだ。そんなメリノウールを使用したプロダクトのトップランナーであるicebreaker<アイスブレーカー>の2モデルをピックアップして紹介する。

ここ10年近く、アイスブレーカーの200オアシスのロングスリーブモデルを秋冬のライフスタイルシーンで愛用している。6色を保有していて、ジャケットやフリースベスト、スウェットシャツ、スウェットパーカの下に着たり、襟付きシャツのインナーで着たりと、日々活躍してくれている。そして、このアイテムはランニング時のアイテムとしても超優秀。寒冷時にはウィンドシェルの下に着ることで、その着心地のよさと防寒性の高さから「今日は寒いから走るのはやめようかな!?」というときも意を決して走り出すことができる。そして、走り出した後も優れた保温性に加えて充分な吸汗速乾性もあるので、快適に走ることができる。さらに、走り終わった後に長めのストレッチを行うと、ポリエステル素材のインナーでは汗冷えと呼ばれる現象が起きやすいが、メリノウールだと起こりにくい。
自分が毎日のように200オアシスを着ていると言うと、「洗濯は面倒くさくないですか?」「化学繊維よりメンテナンスが大変では?」「耐久性があまり良くなさそう?」といったコメントを知人やランニング仲間にもらうこともあるが、そのいずれも問題なく、ネットに入れて洗濯機で洗えるし、毛玉になりにくいから特にこれといったメンテナンスも必要ない。写真のネイビーのオアシス200は8年ほど着ているが、まだまだ現役で着ている。一般的な化学繊維のウェアと同等、もしくはそれ以上の耐久性があるかもしれないと思う。そして、旅行時に自分が定番ルーティンとしているのが、前日にライフスタイルシーンで着た200オアシスを翌朝のランで着るということ。こうすることで、旅の洗濯物を半分に減らすことができるのだ。

アイスブレーカーのロングセラーかつベストセラーの一角を占める200オアシス。個人的には1着目はコレがオススメ。

8年間ヘビーローテーションで着用してきたネイビーの200オアシス。まだまだ現役バリバリだ!
最近、オアシス200とともに愛用しているのが、同じくアイスブレーカーのM150 メリノ ファインエース LS TEE。こちらは、前述の200オアシスよりも若干薄い生地を使用したモデルで、クラシック&ベーシックな200オアシスと比較すると裾のスリットや首裏がスプリットされていたりするなど、現代的な意匠が取り入れられている。こちらは手に入れてから日が浅いが、気温が高めの日のライフスタイルシーンやランニングシーン、そして「今日はいつもよりペースアップして走ろうかな!?」という日に選んでいる。
最近はkm/6分を超えるペースで6kmを走るのが日課となっているが、レース用シューズをテストする際は、これよりもずっと速いペースで走ることになるが、そういった際は200オアシスだと発汗しすぎるので、こちらのプロダクトが最適。17.5マイクロンという非常に細いメリノウール糸がもたらす、しなやかで心地よいタッチ感が魅力で、細い繊維とオメガツイストという紡績技術との融合により、シルクのようななめらかな風合いに。サイドはフラットロック縫製で、肌当たりがより優しく仕上がっている。また、高密度な編地のため、透けにくいのも特長である。ちなみに、150や200といった数字は1平方メートルあたりの生地の重さで、数字が大きいほど厚く、重くなる。

200オアシスよりも薄めの生地を使用し、モダンなシルエットを採用したM150 メリノ ファインエース LS TEE。

首裏中央がスプリットされているので、ブランド表記のプリントetc.は向かって左側にオフセットされている。

裾部分にはスリットが入れられ、通気性と動きやすさを向上させる。
最近になって、メリノウールを用いたランニングアパレルは他ブランドでも増えているが、やはりこの分野ではアイスブレーカーが一日の長があると思う。オーストラリアのとあるメリノウールを得意とするスポーツブランドの関係者と話したことがあるが、彼は「ウールを使用したスポーツアパレルに関しては絶対の自信を持っているが、アイスブレーカーだけには勝てると思わない。それは原料の選別のレベルが高すぎて、そこで勝負しようとすると思うような数量を生産できないからだ」と言っていたのを思い出す。メリノウールを使用したランニングアパレルをトライするなら、真っ先に選んでほしいブランドだ。価格は多少高めだが、自分のように飽きずに8年もヘビーローテーションで着たら、結果的にコストパフォーマンスはとても高いのである。