記念すべき第1回、「BAREFOOT EXPO 2025-歩くフェス-」に参加!
その未来を想像してみた。

BAREFOOT(ベアフット)とはそもそも裸足のことだが、BAREFOOTシューズやサンダル自体は今に始まったものではなく、歴史自体はそれなりに長い。速く走るランニングシューズとは違い、人が持つ本来の動きを促し、よりケガをしにくい歩き方や走り方に導いていくシューズやサンダルのことを指している。その効果は、足が本来持つ機能を引き出し、自然な歩き方や体の使い方を取り戻すことができ、普段使わない筋肉やバランス感覚を鍛える効果が期待できるという。そして一般的にその構造は、ミッドソールが薄く、つま先とかかとの高低差がほとんどないフラットな設計で、つま先部分が広いため、足指を自然に広げられるという特徴を持っている。
そんなベアフットシューズやサンダルを取り扱うメーカーが一堂に会したイベント「BAREFOOT EXPO 2025-歩くフェス-」が、10月25日(土)、小雨のなか、多摩川沿いの「せいせきカワマチ」で開催された。

ではなぜ、今回「BAREFOOT EXPO 2025-歩くフェス-」が開催されたのか? そのきっかけと、実施するにあたっての工夫を実行委員会の今井亮瑠氏に聞いてみた。
「きっかけは、地域に根差したランニングコミュニティを盛り上げる店舗展開で知られている、STRIDE LAB多摩店の店長さんからの提案でした。東京マラソンが開催されて以来、日本でランニング人口が拡大し、それに伴い足の怪我に悩まされるランナーも増えていきました。そこで、ゼロドロップシューズやベアフットシューズが見直されたり、新たに注目されるようになり、今では多くのメーカーが扱うようになりました。そこで、それらのメーカーが一つになって、ベアフットシューズを体験できる場所を作ってみたら面白いことになるのかなと思ってスタートしました」という。

ゲストには為末大氏も駆け付けた。
とはいえ、いきなりベアフットシューズ体験会と言われても、一般の方にはピンとこない人も出てきてしまう。そこで、一般来場者に向けて何を一番考えたのか? という質問に対しては、「あまりに健康志向や機能を前面に押し出してしまうと、固くて面白みが伝わりづらくなるので、まずは『歩く』ということをメインにしたうえで、親子で参加できる『裸足パン食い競争』や、お年寄りでも無理なくできる『ノルディックウォーキング』などのワークショップをコンテンツに入れて、来場者が“楽しんで歩く”ことで参加しやすい内容にしました」ということだった。

「イベントに参加して、ワークショップを楽しむなかで、商品を体験して良さが分かってもらえれば、それが一番着実で、確実にベアフットシューズの良さを理解してもらえるのかなと思います」と続ける今井氏。「ただ、まだまだ改善点はたくさんあるので、次回も開催して少しずつ充実したイベントにしていきたいです」と意気込みを語ってくれた。

実行委員会の今井亮瑠氏。
さらに、今回の出展社のひとつでもあるMERRELL<メレル>の丹下氏にも話を聞くことができた。「<メレル>では、昔からベアフットシューズを取り扱っていて、ようやく他社さんと協力して今回のようなイベントが開かれてとてもうれしいです。ベアフットのカテゴリー自体は今は小さいかもしれないですが、怪我や足の健康を考えたときに絶対に必要なカテゴリーだし、ランナーが増えれば、それだけ必要になってくるものだと思っています。それを如何に楽しんで、体験して、理解してもらえるかということに取り組んだ今回の試みには本当に賛同できたので出展しました。<メレル>としては、トレイルやロードランナー用のシューズもありつつ、トレーニングや怪我の予防・回復のためのベアフットシューズもあるので、必要に応じてランナーに選んでもらえたらいいなと思っています。もちろん次の機会があれば協力したいと思っています」と語ってくれた。

ようやく、今回のようなイベントが開かれてとてもうれしいと語る<メレル>の丹下氏。
そして、今回のBAREFOOT EXPO開催の追い風になった要因がもう一つあるという。実は、ファッション誌や女性誌などでもベアフットのデザインやその機能が取り上げられ、オシャレであったり、健康=美といった方向で取り上げられ、その注目度が上がったことで、各メーカーへの問い合わせが増えたという。確かに、弊誌でも取り上げさせてもらったLUNA SANDALS<ルナサンダル>などは、機能もデザインも兼ね備えている良い例かもしれない。

ランニングギア、ウォーキングギア、健康ギアなど、さまざまなメーカーが「楽しく歩く」というキーワードから、見晴らしの良い広々とした多摩川の河川敷で、今回のイベントが開催されたことは、「ベアフット産業」にとって意味ある大きな一歩となったのではないだろうか。そこには、真剣にランニングやウォーキング、そして健康を考える人たちが集まり、楽しみながら来場者とコミュニケーションをとる姿があった。ランニングのみならず、それが「歩く」「健康」といった人間生活の根源のカテゴリーである限り、このイベントが今後拡大していくことは想像に難くない。
