Running Gear Council-ランニングギア評議会-
第6回「日々のランニングをランクアップさせたいランナーに最適な2足」
スポーツシューズに関連したビジネスに従事して35年になるRunners Pulseの南井編集長が、ランニングギアをマニアックに考察する連載コラム「Running Gear Council-ランニングギア評議会」。第6回のテーマは、今年に入ってHOKA<ホカ>からリリースされた2足をピックアップ。どちらのシューズも普段のトレーニングをレベルアップさせるのにピッタリなプロダクトで、快適な走行感とスムーズなペースアップを高次元で両立させている。
物価高が叫ばれる昨今だが、一昔前と比較するとランニングシューズの価格もかなり高くなった。「レースで好記録を出すためなら…」と、レーシングシューズに3万円、4万円と支払うランナーは珍しくないが、普段のランに使うシューズに2万円以上支払うのを躊躇するランナーは少なくない。しかしながら、走行距離や走行時間を考えると、「日々のランニングにこそ、お金を使うべき!」という考え方も一理ある。良いシューズを買えば「今日も走ろう!」というモチベーションになるし、高いモチベーションで走ることは走力アップの近道だ。今回このコラムを書こうと思ったキッカケが、<ホカ>からリリースされたSKYWARD X(スカイワード X)とSKYFLOW(スカイフロー)の2足を履いたから。
前者のスカイワード Xは、今春リリースされたプレミアムなランニングシューズ。一歩踏み出すたびに押し戻される画期的なサスペンションシステムや、推進力の高い凸型のカーボンファイバープレートを搭載。また、足に最も近い位置にソフトで反発性の高いPEBAフォームを、下部に高い安定性のスーパークリティカルフォーム EVAを採用し、衝撃の少ない軽快で楽な走り心地を可能にしている。
初めにこのプロダクトの存在を知ったときは、2021年に発表されたボンダイ Xと似た走行感かと思ったが、スカイワード Xのほうが対応ペースのレンジが広く、特に速いペースに対応している感じがした。6月にゴールドコーストマラソンに向けて函館で25km走をこのシューズで行ったが、疲労が蓄積されているはずの後半のほうがペースアップできたのには驚いた。足をしっかりと保護しつつ、速いペースでの走行も可能としたスカイワード Xは、日々のランニングをこれまで以上に楽しくしてくれる存在だと思った。
スカイフローのほうは、7月1日にリリースされたばかりの<ホカ>の最新モデル。クッション性とスムーズな走り心地のスカイワード Xから着想を得て、開発されたプレミアムな構造と、改良されたフォーム素材が融合されたシューズ。スーパークリティカルフォーム EVAが優れたクッション性と弾むような走りを実現し、Active Foot Frameがかかとから足を包み込みサポート。さらに、フォアフットのロッカー形状を滑らかな形状にすることで、スムーズなストライドを提供してくれる。ゴールドコーストでは、レースこそ別のシューズを履いたが、前日のモーニングランetc.滞在中は、その快適な履き心地、走りやすさ、スタイリッシュなデザインから、このシューズを最も多く着用した。スカイフローの特筆すべき点は、<ホカ>のベストセラーであるクリフトンシリーズと同様に、優れた足の保護性を有しつつ、高レベルの推進力をプラスしていること。これにより、効率的にペースアップすることができる。まさに開発コンセプトである「日々の走りを高める」を具現化したプロダクトとなっている。
今回ピックアップした2足は、スカイワード Xが35,200円(税込)、スカイフローが22,000円(税込)と、一般的なランニングシューズよりも高めの価格設定となっている。特にスカイワード Xは、プレミアムなレーシングシューズと同レベルの高価格帯にあるが、前述の走行距離や走行時間、さらには着用回数を考慮すると、購入して損はないと思う。ついつい選んでしまうほど履き心地がよく、走っているときの満足感がとても高いからだ。<ホカ>のスカイワード Xとスカイフローは、On<オン>のクラウドモンスター 2や、New Balance<ニューバランス>のフレッシュフォーム X1080 v13、adidas<アディダス>スーパーノヴァ ライズとともに、この半年で最もヘビーローテーションで履いているランニングシューズとなっている。