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スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
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COLUMN

Running Gear Council-ランニングギア評議会-
第1回「タイツで走る!」

2023.11.30

スポーツシューズに関連したビジネスに従事して35年になるRunners Pulseの南井編集長が、ランニングギアをマニアックに考察する連載コラム「Running Gear Council-ランニングギア評議会」がスタート。第1回のテーマは、ここ最近着用するランナーがグローバルで増えている、ランニングタイツをピックアップする。

なぜタイツなのか?

ランニングというアクティビティにとってタイツは身近な存在である。特に冬季の防寒対策としては有効で、寒冷地で重宝されるようになったのがランニングとの関係のスタートである。そして2000年代に入ると、テーピング原理を応用した<ワコール>のCW-Xを始めとしたサポートタイプのランニングタイツがポピュラーとなり、フルマラソンを走るランナーのかなりの割合がこのタイプのタイツを着用していた。しばらくすると、タイツの主流はサポートタイプからSKINS<スキンズ>や2XU<ツータイムズユー>、C3fit<シースリーフィット>による段階着圧機能を備えたタイツへと人気は移っていったが、日本ではタイツを着用するのは専らレースのときであり、欧米のように普段のランニング時に着用するランナーは少なかった。しかしながら下記のような理由により、日本でも日々のランにタイツを着用するランナーが増えつつある。

デザイン&カラーリングがスタイリッシュに!
かつてタイツと言えば、ブラック1色やブラックにアクセントカラーを配したものが多く、スタイリッシュと言うには程遠いアイテムが多かった。しかしながら最近各ブランドがリリースするモデルのなかには、「ランニングシーンだけでなくオフシーンでも活躍しそう!」というものも存在している。そして、もうひとつ見逃せないのが、パターンやカッティング、素材の工夫により、以前のタイツよりも股間の形状が目立たなくなったこともタイツの復権に貢献していると思う。

快適性の向上
「タイツ=窮屈」「走り始めはいいが、途中から暑くなる」というイメージがあったかもしれないが、最近のタイツは窮屈さからの解放、吸汗速乾性の向上に成功しており、長距離を走っても快適な履き心地を失わない。

トップアスリートの着用
大迫傑が2020年の東京マラソンで日本記録をマークしたとき、鈴木健吾が2021年のびわ湖毎日マラソンで日本記録を更新したとき、エリウド キプチョゲが2021年の東京五輪の男子マラソンで金メダルを獲得したとき、ティギスト アセファが今年のベルリンマラソンで女子マラソンの世界新記録を達成したとき、ある共通点がある。それは4人すべてがハーフタイツもしくはショートタイツを着用していたということだ。このことが証明するように、トップアスリートの間では男女問わずレース時にショーツではなくタイツを着用する比率は年々増えており、それに伴い一般ランナーの間でもハーフタイツ、ロングタイツ問わず注目度がアップしている。

汎用性の向上
ロングパンツやショーツと比較してタイツの弱点とされていたのが、ポケットの容量の少なさ。それが原因で日々のランニング時に不便を感じていたランナーは少なくない。そんな状況を改善することに成功したのが、2018年に<ザ・ノース・フェイス>とC3fitのコラボレーションにより誕生したノベルティエレメントハーフタイツとノベルティエレメントエアーロングタイツ。太もも外側のパネル部分にサイドポケットをプラスすることで、ウエストポーチを使用しなくてもスマートフォンやエナジージェルを携帯することが可能となった。現在では各ブランドよりウエスト部分、太もも部分etc.に大容量ポケットを装備したタイツがリリースされており、以前と比較して汎用性が著しく向上している。

南井編集長が実際に履いてオススメする最新タイツ6選!

2023年はランニングカテゴリーにおけるタイツの当たり年。今シーズン実際に履いて走った11モデルから、特に機能性に優れた6モデルをピックアップ。いずれのプロダクトも汎用性に優れており、ランニングタイツ未経験者から、すでにランニングシーンでタイツを愛用しているユーザーまで、あらゆるタイプのランナーにマッチするはずだ。

 

Patagonia Men’s Peak Mission Tights – 28″

Patagonia:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」
トレイルランニングはもちろんのこと、最近ではオンロードランニングでも着用者が増えている<パタゴニア>のランニングギア。メンズピークミッションタイツ―28”は、ソフトで快適な肌触りのリサイクル・ナイロン/ポリエステル/ポリウレタン混紡素材を使用し、内側は独特のテリー素材とすることで、長時間のランニングでも快適な履き心地をキープするロングタイツ。大容量のサイドポケットには大型サイズのスマートフォンが収納可能で、キーやクレジットカードなどの小物を収納できるポケットを背中側中央に配したことにより、着用できるシーンが大幅に増えた。生地のテンションはそれほど強くないので、初めてランニングタイツにトライするランナーにもオススメ。カラーリングもブラック以外にスタイリッシュなブルー系もラインアップするなど、従来のランニングタイツのイメージを覆す洗練された1本となっている。

Patagonia:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

両サイドの大容量ポケットには大型のスマートフォンも収納可能。

Patagonia:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

キーやクレジットカード、エナジージェルの収納に最適なポケットを背中側中央に配した。

 

On Performance Tights

On:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」
ランニングシューズのみならずランニングアパレルにおいても快進撃を続けるOn<オン>。パフォーマンスT、ウェザージャケット、ランニングパンツといったロングセラーを始めとして、世界中のランナーから高い評価を得ることに成功している。Onがリリースするランニングタイツであるパフォーマンスタイツは、再生ポリエステル75%、ポリウレタン25%の素材を使用し、スマートフォンを入れるのに最適な右ももに配置されたサイドポケット、クレジットカードやキーの収納にピッタリなジッパー付きの腰ポケットにより、必需品を安全に携行できる収納力を備えている。買いやすい価格設定も嬉しい。

On:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

右ももに配されたサイドポケットはスマートフォンの収納に最適。

On:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

腰部中央のジッパー付きポケットは、クレジットカードやキーの収納にピッタリ。

 

New Balance Impact RUN TIGHT

New Balance:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」
ここ数年のニューバランスのランニングアパレルの評価は著しく向上しているが、今回紹介するインパクト ラン タイツも機能性と価格のバランスが素晴らしい。汗を吸湿拡散させることでハイレベルな吸汗速乾性を実現するテクノロジー「NB DRYx」を採用し、カラダをドライにキープ。腰にはウインドジャケットなどを通して収納できるトンネル状のポケットとジップポケット、スマートフォンを収納できるサイドポケットを装備するなど、ストレージにフォーカスしている。夜間や早朝時の視認性を高めるリフレクティブパイピングでアレンジし、裾はジッパーを配することで、脱着を容易にしている点もありがたい。

New Balance:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

腰にはウインドジャケットなどを通して収納できるトンネル状のポケットとジップポケット、スマートフォンを収納できるサイドポケットを装備しており、今回紹介したタイツのなかで、最も大容量のストレージを有する。

 

Rab Men’s Talus Windstopper Tights

Rab:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」
マンチェスター、ロンドンといった街を訪れた際に数多くの人々が着用していたブランドがRab<ラブ>。アウトドアフィールドを主戦場とするブランドだが、前述の都市ではオンロードランニングを楽しむランナーの多くがこのブランドを着ていたことが印象的だった。このタイツは、DWR耐久撥水加工を施したGORE-TEX INFINIUM WINDSTOPPERハイゲージニットを用い、保護性、防風性、透湿性に優れている。フィッティングに関しては一般的なタイツとロングパンツの中間程度で、締め付け感はほとんどない。「タイツは窮屈だからちょっと…」とこれまで敬遠していたランナーにぜひトライしてほしい1着で、今回トライしたタイツの中で最も防風性が高いので、寒風が吹く中でのランニングでも快適性をキープしてくれる。脱着時に便利なジッパーを裾に配している。

Rab:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

保護性、防風性、透湿性に優れたGORE-TEX INFINIUM WINDSTOPPERを使用。

Rab:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

腰部中央のポケットは二重になっており、内側はスマートフォンの収納に最適なジッパー付きポケット。外側は脱いだシェルも入れられる大容量のメッシュポケットだ。

 

2XU MCS Men’s Run Compression Tights

2XU:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」
現在のランニングタイツブームをつくったといっても過言ではない2XU。最近ではハーフタイツのほうがポピュラーだが、ロングタイツにおいても機能性に優れたプロダクトを数多くラインアップしている。MCS(マッスル・コンテインメント・スタンピング)は、重要な筋肉、腱、筋膜のグループをターゲットに、激しい運動中の疲労や緊張に対して、主要な筋肉をサポートする革新的なファブリックサポートシステム。段階的圧縮が、効率的なウォームアップとより速い回復のための血液循環を促進。独自のフィット感は、骨盤を正しい位置へと導いてくれる気がして、効率的な走りが期待できる腰高のフォームへと自然となるような気がする。普段のランでの使用だけでなく、レースの日に着用したい1着だ。そして、このタイツで嬉しいのは、スマートフォンが収納できるポケットを腰部中央に配していること。2XUはロングセラーシリーズにおいても現状に満足することなく、細部のスペックを見直し、機能性アップをトライし続けている点に、今後も注目したい。

2XU:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

腰部中央のポケットはスマートフォンやエナジージェルの収納にピッタリ。ジッパー付きポケットにはホテルのカードキーや家の鍵を入れるのに最適だ。

 

C3fit Compression Long Tights

C3fit:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」
C3 fitは、日本が世界に誇るコンプレッションウェアブランド。このロングタイツは、独自の段階着圧機能により、一般医療機器に認定されている。適切な着圧設計が血行促進効果をもたらし、コンディション維持に貢献。運動時からリカバリー時、日常のむくみ対策まで幅広く活用できるプロダクトで、ニュートラルなブランドの立ち位置なので、どのブランドのトップス、アウター、シューズともコーディネイトしやすい。今回トライしたタイツのなかでは2XUとともに、レースデイに履きたい1着で、2XUと違いポケットは一切ないので、スマートフォンを持って走りたい場合は、nakedなどのランニングポーチを活用すればよいだろう。収納に便利なポーチ付き。

C3fit:Running Gear Council-ランニングギア評議会- 第1回「タイツで走る!」

ウエストバンド内側には肌触りのよいパイル素材を用いることで、長時間の着用でも快適な着心地をキープしてくれる。

Masahiro Minai
南井 正弘 フリーライター、ランナーズパルス編集長
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「価格.comマガジン」「モノマガジン」「SHOES MASTER」「Beyond Magazine」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」「人は何歳まで走れるのか?」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
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