あらゆるタイプのランナーが楽しめる。「STRAVA」の魅力をCEOが語る。
ランニング、サイクリングを始めとしたアクティビティを、これまで以上に楽しむことができるアプリとして、ワールドワイドで急速に利用者が増加している「STRAVA」。その魅力を来日したCEOのジェームズ・クォールズ氏に聞いた。
-STRAVAが他のランニングアプリと比較して優れているところはどこですか? 反対に、この部分は改善を図りたいと考えている点はありますか?
「STRAVAの最大の強みはコミュニティ機能だと思います。単純に個人のログを記録するアプリではなく、コミュニティにいる他のランナーからトレーニングに対する励ましを受けたり、競争したりというようにハードワークを認め合うことができます。それ以外にもMatched Runsという機能があり、例えば私が皇居を走ったとすると、前回走ったときと比較して、今回のランがどうだったか? ということを比較することができ、この機能も多くのランナーから高い評価をいただいています。我々はSTRAVAをより完成度の高いアプリにするために日々活動しており、改善すべき部分はあると思います。日本におけるプレゼンスを高めるために、三島さんにカントリーマネージャーに就任していただきました。あと、マラソンを走る人にとってトレーニングプランはとても重要ですが、具体的な目標を設定して、目標を達成するにはどのようなトレーニングをしたらいいのか? というようなオススメが通知される機能も考えています。すでに提供していますが、ランニングコースをオススメする機能は高い評価を得ています」
-ライバルだと考えるランニングアプリはありますか?
「STRAVAは、パートナーというかたちで、数々のディバイスを製造しているブランドと提携しています。スント、ガーミン、ポーラー、フィットビット、アップルといったブランドですね。彼らは独自のアプリも用意していますが、STRAVAのようなコミュニティ機能は備えていません。ですので、ディバイスを製造しているブランドは競合ではなく、協力し合う関係にあります。アパレルブランドなどもGPS機能を活用したランニングアプリをリリースしていますが、その場合もSTRAVAのような強いコミュニティ機能は備えていないので、モチベーションの維持や知り合いのランナーと競争したりということは、STRAVAの唯一無二の特徴だと思います。よって直接競合するアプリはないと思います」
-以前STRAVAを利用したランニングウォッチをニューバランスがリリースしていたことがあったと思いますが、今後自社でハードウェアをリリースする予定はありますか?
「私たちは独立性を保つために、自社ではハードウェアをリリースすることは考えていません。現在STRAVAと接続可能なディバイスは380以上あり、パッケージにはSTRAVAのロゴが入っているのですが、使っている機材のブランドがどこであろうとSTRAVAという共通のプラットホームにおいて、ランを楽しむことができます。そのことで私たちは独立性も保っているのです」
-日本は高価格帯ランニングギア(シューズ、アパレル、ウォッチetc.)に関してはアメリカに次ぐ存在なのですが、STRAVAにとっての日本のランニングマーケットはどのような位置付けになりますか?
「結論を先に述べると、日本は成長市場であり、私たちにとってとても大切なマーケットです。2015年にはフルマラソン完走者の数でアメリカを抜くなど、世界屈指のランニング先進国であることは間違いありません。そのような日本でプレゼンスを上げていくことは、STRAVAにとって高いプライオリティになります。日本はハイレベルで走ることを目指すランナーも多いので、そういった人々に向けたトレーニングプログラムも提供しています。日本のマーケットには大きな特徴が三つあります。まずひとつ目は、山がちの国土ということもあり、走った距離1kmに対する獲得高度が3mで、他の国々よりも傾斜があるということ。二つ目はアプリ上の滞在時間と実際のアクティビティ時間の比率がグローバル平均の約2倍ということ。三つ目は、ランニングやサイクリングのグループアクティビティは世界的にも伸びていますが、日本ではその傾向が顕著で、ランニングのグループアクティビティは、過去3年間で500%伸長していることです」
-STRAVAを最大限に楽しむオススメの使い方を教えてください。
「トレーニング機能とコミュニティ機能における自分のお気に入りを紹介したいと思います。走力向上のための代表的なトレーニング方法にインターバルトレーニングがあります。STRAVAでは、有料サービス(STRAVAサミット)で使うことができるモバイルワークアウトアナリシスという機能があり、2分5回でペースをどんどん上げていくのですが、トレーニング内容が視覚的にも確認ができ、ランナーにとって本当に便利な機能です。もうひとつ効果的なトレーニング機能としては、心拍数やトレーニング負荷を前の週の同じトレーニングと相対的に比較することにより、ストレスなどから『オーバートレーニングではないか?』ということが確認できます。決まったレンジにトレーニング負荷が収まるようにして、これを超える強度になるとケガの心配があるので、警告のシグナルが通知されるのです。
一方でコミュニティサイドでは、ヒートマップの機能が面白いと思います。この機能は『どのコースがランナーやサイクリストにポピュラーか?』ということが一目でわかります。初めて訪れた土地でも、この機能を活用すれば、その都市で人気のルートを走ることができるのです。そして、最後に紹介したいのが、ルート作成の機能です。現在地から目的地まで指でトレースすることで、実際に走ることのできるルートが作成でき、そのルートには距離や高度などの情報も提供されるのです。これら機能の多くは有料サービスであるSTRAVAサミットをサブスクリプションすることで使用可能なのですが、STRAVAのコミュニティに根差したツールであり、自分ひとりだけがメリットを享受するのではなく、他のアスリートが使用しているからこそ、個々のランナーも恩恵を受けることができるのです」
編集後記
筆者は日々のランニングは6kmと決め、あまり変わり映えのしないコースを走っているために、STRAVAの走行データを共有するのは、地方に行ったときや海外へ渡航した際だけにしているが、そういったランに対し、コミュニティのメンバーが「スゴイ!」を押してくれるのは嬉しいものだ。今後も海外レースなどを走った際にはSTRAVAのデータを共有することだろう。そして、今回CEOのジェームズ・クォールズ氏にインタビューし、STRAVAサミットを契約することで使用可能となる様々な機能の存在を知り、これまで以上にSTRAVAというアプリを使いこなしてみようと思った。