新たなトライによって、より多くのランナーをランニング障害から守るALTRA<アルトラ>。創業者のブライアン・ベクステッド氏が語る最新プロダクト戦略！

「人間が裸足で立っているのと同じ自然な状態のランニングシューズがあれば、ランナーのケガは減るのでは？」というコンセプトから誕生したALTRA<アルトラ>。2009年の創業以来、同社が製造するゼロドロップ、すなわち踵とつま先の高低差のないシューズは、数多くのランナーに受け入れられ、全世界で着実にシェアを伸ばしてきた。今回、来日した創業者のひとりであるブライアン・ベクステッド氏（以下、ブライアン）にインタビューする機会があり、ケガの少ないランニングシューズを創ることに対する熱い想いを語ってもらった。

アルトラブランドの
現在地を分析する

ブライアンは、友人で元アメリカ代表の長距離ランナーであったゴールデン・ハーパーらとともに、2009年にALTRA<アルトラ>を創業した。「踵とつま先の高低差のないゼロドロップのシューズで走れば、人間が裸足で立っているのと同じ自然な状態で走ることができ、ケガは確実に減るはずだ！」と考え、彼らのデザインしたシューズを履くことによって、ランニング障害によって走ることをあきらめたランナーが再び走れるようになることも珍しくなかった。こうしてALTRA<アルトラ>は、その独自のコンセプトによる機能性の高さで、着実にシェアを拡大していった。Runners Pulseは2018年末に創業の地であり、本社機能のあったユタ州を訪れ、その誕生秘話を聞いた。あれから5年半が経過したが、ALTRA<アルトラ>は競合ひしめくランニングカテゴリーにおいて、確固たる地位を築くことに成功している。

ブライアンは「アメリカにおいてALTRA<アルトラ>は好調な業績を記録しています。アウトドア専門店の雄であるREI（アールイーアイ）で売り上げを復調させ、全米で250店舗を展開するランニングスペシャリティストアであるFleet Feet（フリートフィート）では二桁成長を示すなど、主要店舗でも売り上げを伸ばしています。業績好調の要因としてはエスカランテ4が自社オンラインストアで歴代最高の売り上げを記録しましたし、新たなプロダクトラインとしてローンチしたエクスペリエンスシリーズがとても好評だったことが挙げられると思います。ちなみにアメリカにおけるロードとトレイルの売り上げ比率は60：40です。日本では45：55と逆のようですね。6，7年前はアメリカでもトレイルのほうがシェアは高かったのですが、ロードランニングに注力することにより逆転しました」と語り、好調な業績を強調。そしてティンバーランドやヴァンズといったブランドを擁するVFコーポレーションのグループ入りをしたことについては、「資金力に余裕ができました。それにより多くのスタッフを雇用することができることになったのが大きなメリットのひとつで、最適な配色を提案するカラリストや人体構造に精通した医療コーディネーターといった専門スタッフをフルタイムで雇うことができるようになりました。さらには製造拠点を見直すことによりプロダクトの品質も向上し、創業当時と比較して明らかにクオリティがアップしました」という。

ドロップありシューズの
市場からの反応は？

そして個人的にも興味があったのが、創業以来、頑なに守ってきた踵とつま先の高低差のないゼロドロップ構造をすべてのシューズに採用するというポリシーを覆してリリースした、ドロップありシューズのエクスペリエンスコレクションのランナー及び市場からの反応だ。これに関してブライアンは「アメリカではとてもポジティブなリアクションでした。ゼロドロップのシューズは一部のランナーのためだけのプロダクトであると誤解されていたことがあり、10年ほど前から『4mm程度のドロップのあるシューズを出してほしい』といった要望が頻繁に寄せられて、我々は4，5年前よりドロップありシューズやインソールの開発を考慮し始めましたが、ALTRA<アルトラ>らしい走行感をしっかりとキープすることは忘れないようにしました」とコメント。自分も「高低差を設けることで、ALTRA<アルトラ>ならではの走り心地が変わってしまうのでは！？」と懸念したが、今まで通りの脚部全体をショックアブソーバーのように機能できる自然なミッドフット着地を促進してくれ、それに加えて適度な推進力がプラスされ、その心配は杞憂に終わった。「オンロードでいえばエスカランテ、トレイルならローンピークetc.といったように、これまで通りにゼロドロップシューズも多数ラインアップしていますので、高低差の無い構造を好むランナーは従来通りにセレクトできます。我々としては選択肢を増やすことで、より多くのランナーに安全かつ快適にランニングというスポーツを楽しんでもらえるようになったと思います」と、ドロップ付きシューズの背景を解説してくれた。

最新「EXPERIENCE COLLECTION」
その機能性と役割

そんなALTRA<アルトラ>の低ドロップシューズであるエクスペリエンスシリーズの最新作であるEXPERIENCE FLOW（エクスペリエンス フロー）とEXPERIENCE FORM（エクスペリエンス フォーム）の2機種が登場。ブライアン自らが、その機能性の高さを説明してくれた。「EXPERIENCE FLOWは、ALTRA<アルトラ>初の低ドロップシューズとしてリリースされたALTRAFWD EXPERIENCE（アルトラ フォワード エクスペリエンス）の後継モデルとして開発しました。このシューズは着地時に極端な脚の倒れ込みの心配がないニュートラルランナーに向けた低ドロップシューズで、踵部分の厚みがメンズで32mm、つま先が28mm。女性向けはそれぞれ2mm少なくなっていますが、前作と同様に4mmドロップで、従来のALTRA<アルトラ>のシューズと同様に自然なミッドフット着地に適度な推進力をプラスしました。一方でEXPERIENCE FORMは、着地時に極端な脚の倒れ込みが見られるオーバープロネーションのランナーに向けた低ドロップシューズ。ガイドレールを配することで着地安定性と着地から蹴りだしまでのモーションコントロール性能を高め、ランニング障害の発生を予防すべく脚部の保護性能の高いスペックを結集しています。さらにトレイルランニング向けの低ドロップシューズであるEXPERIENCE WILD（エクスペリエンス ワイルド）もラインアップしました」と語る。

昨今の日本のランニングシューズ市場は価格の高騰が指摘され、トレーニングタイプでも2万円を超えるプロダクトも少なくないが、この2モデルは、高い走行性能をキープしつつアンダー2万円を実現しているのも嬉しいところだ。そしてブライアンから聞いて面白いと思ったストーリーが、「ゼロドロップシューズと低ドロップシューズをひと目で見分ける方法があるのですが、わかりますか？　それはアッパーの中足部にアルトラのブランドロゴがあるのがゼロドロップシューズで、踵部分にブランドロゴがあるのが低ドロップシューズなのです」とのこと。ALTRA<アルトラ>は、低ドロップシューズという新たな試みによって、より多くのランナーを快適に走らせることができるだろう。

EXPERIENCE FLOW

価格：17,600円（税込）
重量：（Men’s）238g（US10.5／28.5cm）　（Women’s）204g（US8.5 / 25.5cm）
カラー：（Men’s）White/Gray、Gray/Orange、Black/Black（Women’s）White/Gray、Taupe、Black/Black

EXPERIENCE FORM

価格：18,700円（税込）
重量：（Men’s）272g（US10.5／28.5cm）（Women’s）221g（US8.5 / 25.5cm）
カラー：（Men’s）Black、White/Gray、Gray/Orange（Women’s）Black、White/Gray、Blue/Gray

EXPERIENCE WILD

価格：18,700円（税込）
重量：（Men’s）283g（US10.5／28.5cm）　（Women’s）246g（US18.5 / 25.5cm）
カラー：（Men’s）Gray/Orange、Gray/Green、Black（Women’s）Red/Orange、Black

INFORMATION
ALTRA JAPAN（株式会社ロータス）
TEL：050-3797-1943
https://altrafootwear.jp/