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吉田香織、復活の序章
北海道マラソン2位・特別インタビュー

Text & Photographs by Runners Pulse

新シーズンの本格的な幕開けを前に、Runners Pulse所属の吉田香織が、日本で唯一の夏のレースである北海道マラソンに参戦した。結果は、2位表彰台。復帰2戦目であり、シーズンを占う前哨戦でもある今大会の結果を、果たして彼女はどう捉えているのか。帰京間もない9月初旬、レース当日を振り返ってもらった。

吉田香織

30km付近。向かい風の中の単独走。

“2位という順位は、身体に余力があっただけに残念ではありますが、必ず次に繋がると思います”

— まずは北海道マラソン2位、お疲れ様でした。これはおめでとうと言ってよいでしょうか? それとも残念と捉えるべきでしょうか。今回の結果について、率直な感想を聞かせてください。

Y: フルマラソンは難しい競技ですから、スタートラインに立てたこと、完走できたことだけにまずはホッとしています。ただ、2位という順位に対しては、身体に余力があり、不完全燃焼感があるだけに残念ではあり、微妙な思いです。しかし、この思いは必ず次に繋がるので、得るものがあったと思います。

— タイム、またレース自体は納得できましたか?

Y: 本来はオフシーズンである夏に、日本で唯一開催されるのが北海道マラソンなので、位置付けとしては、スムーズに秋冬のシーズンに入るための足掛かりになればと思って出場しました。ですので、そういう意味では、新しいスタイルのレース展開(ラストに追い上げる)もできて、最後は順位もあげられ、次に繋がるレースになったので、納得できると言えますね。

— 今回はどのような作戦を立てていたのですか?

Y: 暑さもあるので特に前半は慎重に、そしてラスト5kmは頑張りたいなと思って走りました。

— 実際のレースを振り返ってみて、レース中に予想と違うなど戸惑った点はありましたか?

Y: ウィン選手(ウィンフリーダ・ケバソ・モチャチェ)が先行するのは読めていましたが、そこに優勝した岡田選手がついていっていることは、新川通りの折り返しで初めて気づきました。青いユニフォームだったので、男女混合レースだと(男子の中に隠れてしまって)分からなかったです。気付いてから(ハーフ地点で)追いましたが、対応が遅かったですね。

━ 後半は特に向かい風が強かったと思いますが、追い上げの走りに影響はありませんでしたか?

Y: 完全な単独走でしたから、かなりキツかったです(笑)。

— レースできつかったポイントなどはありましたか?

Y: "きつい"という表現自体が難しいですが、筋力や心肺、内臓など肉体が極限に近づく状態はあっても、精神的な部分でカバーして踏ん張ることを練習で身に付けて来ています。何度もある極限状態の波は、応援してくださる方々の顔を思い浮かべたりして乗りきりました。今回は精神的に充実していたからこそ出来たので、支えてくださった方々のおかげです。

━ 給水では知り合いにスペシャルドリンクをまわしてあげようと思った、などの話も聞いていますが、余裕はありましたか?

Y: 前半は特にスローペースだったこともあり、今までにないほど給水もしっかりできて、周りを見渡す余裕がありました。

— レース中はどんなことを考えて走っていましたか?

Y: 今回はお姉さん的存在で、自分の憧れでもある谷川真理さんも応援にきてくださったり、沿道の声援も絶えることなくあったりと、本当に沢山の方に応援してくださったり、その姿を見ながら感謝の気持ちで走りました。

吉田香織

見通しの良い新川通りにて。反対車線には、一般参加ランナーが約5km先の折り返し地点を目指す。

━ 3月のソウルマラソンと今回とでは、走りや準備などで変えた点はありますか?

Y: 実業団ランナーや学生ランナーと違って、高地や避暑地に合宿に行けるわけではないので、季節的なことを考慮して、距離は追わずに、スピードを戻す練習をするように打越忠夫コーチに組み立てていただきました。距離走は20kmまでしかしていません。

— 今回使用していたギアについて教えてください。

Y: サングラスはPUMA、セパレートウエアはZOOT、そしてシューズはadidas匠sen boostです。

━ 今後の予定を教えてください。

Y: 9月27日の一関国際ハーフマラソン、10月12日の山形県南陽さわやかマラソン(ゲスト)、そして11月15日のさいたま国際マラソンに出場する予定です。年内は今のところ、12月6日の増田明美杯いすみ健康マラソンまでです。

— では最後に、読者のみなさんにひと言お願いします。

Y: 皆さんの応援のおかげで、ようやく自分の居場所に戻ってこられました。ありがとうございます。これからも皆さんと共にランニングの楽しさを見出しながら、努力を積み重ねていきたいと思います。また応援のほどよろしくお願いします。

吉田香織

ゴール直後。吉田香織のために北海道まで応援に駆け付けてくれた谷川真理氏と。

吉田香織

練習パートナーであり、今回男子2位のサイラスと。

吉田香織

記者会見にて。