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南井正弘
南井正弘

Masahiro Minai

南井 正弘 : フリーライター、ランナーズパルス編集長

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「Number Do」「モノマガジン」「日経トレンディネット」「SHOES MASTER」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間56分09秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。

2015 年 11 月 のアーカイブ



lululemon athletica

[15.11.30]

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ルルレモンと聞いて、すぐにどんな存在か思い浮かぶランナーは少ないと思いますが、ヨガ好きな方なら知っている方は多いかもしれません。ルルレモンはカナダのバンクーバー発祥のスポーツウェアブランド。落ち着いたベーシックなデザインの品質に優れたプロダクトに定評があり、特にヨガのカテゴリーに絶大なる強さを見せますが、最近ではランニングウェアでも勢力を伸ばしています。以前日本でも展開していましたが、現在では正規では買えないみたい。

そんなルルレモンですが、自分は2010年にニューヨークのミートパッキングのお店で出会ってから、ハワイのアラモアナセンターの直営店で購入するなど以前から注目していて、今夏最も着用したランニングウェアのひとつになりましたが、今回ニューヨークシティマラソンのためにニューヨークを訪れると、街でこのブランドの赤い買い物袋を持った人を本当にたくさん見ました。落ち着いたデザインは飽きが来ないから、高価でも長く着られることを考えれば結局はお得ということかもしれません。日本でもまた店舗展開してくれることを願いたいところです。

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ベーシックなデザインで、素材を厳選しているので本当に着心地がいい。自分と行動を共にすることも多いスポーツシューズ業界のキーパーソンS氏も自社のアパレルととともに愛用しているらしい。

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シャツの裾にはこんなメッセージが。ナイキのDRI-FITニットも同様のスペックですが、ルルレモンのメッセージのほうが遊び心があるように思います。

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パンツの縫い目には皮膚との擦れを防止するための加工が施される。こんなスペックはユーザーからのフィードバックを大切にしているこのブランドらしい。

上越国際トレイルフェス 2015

[15.11.24]

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11月15日にサロモンやスントを展開するアメアスポーツジャパンの御厚意によりフイナムランニングクラブのみんなと上越国際トレイルフェスに参加してきました。この大会はゴールド(35Km)、シルバー(12km)、ブロンズ(2.5km)が開催され、自分はシルバーで参加。翌週からオレゴン出張を控えていたために、サッカー解説者 川平慈英の「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」じゃないですが、とにかく「絶対にケガだけはできないレースが、そこにはある」ということで、慎重に走ることを心がけました。

当日はあいにくの土砂降り。ということもあって、ゴールドは35Kmではなく27kmに短縮されました。自分たちシルバーはゴールドよりも1時間遅れの8時にスタート。最初は泥んこの道をひたすら登るタフなコース。途中でツルかロープのようなものに右足を引っ掛け、右足首を軽く負傷。幸先悪いです。とにかく上りがしばらく続き、正直トレイルランニングの楽しさはありません。ようやく下りになってもゲレンデやアスファルトで舗装されている道なんで。

ニューヨークシティマラソンで緩い上りには自信を付けているので、アスファルトのアップダウンのある道では歩いている人を何人もパスするのに、ゲレンデの急坂を下る箇所ではケガを回避するために歩いたり、極端にスピードを落とすので、逆に抜き返される。ホント悔しいですが、「ケガだけはできないんだ!」と自分に言い聞かせ、ゆっくりと安全第一でゴールを目指します。

途中絶景が見える箇所では「ヒャッホー!!!」と絶叫しスピードを上げますが、慎重に走ることは忘れません。
最後のゲレンデではゴール前からテンションの上がる音楽が流れていたので、溝に気を付けながらスピードを上げてゴール!
1時間39分17秒でした。

ケガをせずに無事ゴールできて何よりでしたが、考えてみたらトレイルランニングの醍醐味である森の中のコースを一度も走っていないことに気づく。今回の12Kmのコースはアスファルトやゲレンデがほとんどで、固い路面が多かったから本当に足裏が痛かったです。コースもちょっと単調でしたね。

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今回も装備だけは速そう!アームカバー以外はサロモンで揃えました。

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雨でぬかるみスリッピーな路面でも高いグリップ性を発揮してくれたサロモンのスピードクロス プロ。

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シルバー(12Km)に出場したメンバー。

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ゴールド(35Km→27Km)に参加したメンバー。

TCS NEW YORK CITY MARATHON 2015

[15.11.09]

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ニューヨークシティマラソンといえば5万人のランナーが参加する世界最大級の都市型マラソン。2年前にも走りましたが、200万人を超える沿道の声援は本当にランナーにパワーを与えてくれます。ニューヨークの人々は自分の知り合いだけでなく、すべての人に声援を送り続ける。それが当地の流儀らしく、世界中からこの街にやってきたランナーは折れかけた心をこの応援によって修復し、42.195kmという長丁場を最後まで気持ちよく走り続けることができるのです。

今年もエクスポは11番街にあるジャビッツセンター。ゼッケンを受け取り、参加賞の長袖Tシャツを受け取ります。スポーツシューズ&アパレルのオフィシャルスポンサーのアシックス製だから品質は問題なし。たまに無名ブランドの場合もあって、その場合は吸湿速乾性が悪すぎてランニングに使えませんが、その心配はありません。デザインもカッコイイし。本番で着てる人もチラホラいました。ピックアップエリアを抜けるとアシックスの巨大なブースへと繋がっており、そこでは魅力的なオフィシャルグッズがたくさん販売されています。シューズはゲルカヤノ、ゲルニンバス、そして360度ゲルを配したニューモデルのゲルクァンタムのメンズ&ウイメンズの計6モデルがラインアップ。いずれもアッパーにはニューヨークのグラフィティアート風のグラフィックを配し、インパクト充分。日本におけるアシックスのイメージとはかなり異なります。そしてオフィシャルスポンサーではないブランドもこのタイミングにニューヨークを意識したデザインのモデルを発表するのはこれまで通り。サッカニーのトライアンフシリーズのニューモデルあたりはかなりカッコよかったです。

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アメリカでは日本以上にニュートラルタイプの人気が高く、そのなかでもベストセラーの一角を占めるアシックス ゲルニンバス17のスペシャルモデル。アッパーデザインはニューヨークのグラフィティアートをモチーフにしています。

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こちらはサッカニーのトライアンフのニューモデルのスペシャル版。ニューヨークは別名ビッグアップルと言われることからリンゴをモチーフに!

レース前々日の金曜日にはスタッテン島で行われたRUN Airbnbという宿泊サービスで急成長を遂げているAirbnbがスポンサードするイベントへ。ウータンクランのライブもあり、地ビールやフードも供されるなど素敵なイベントでした。世界中のランナーたちと交流できたし。

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RUN Airbnbのイベントにて。左からプーマジャパンの石井さん、自分、AFEのDKJさんの地元の友達の深野君、ナイキタウン ニューヨークのNRCのペーサーを務めるRASA CLUBのロノ君。

レース当日は6時30分にミッドタウンを出発するバスに乗るということで5時に起床。この日よりサマータイムが終了するので、1時間余分に眠れる計算となりますが、いつもとおり興奮して眠れない。不安ではなく「自己新記録が出るかも!?」みたいなポジティブな興奮で。そのうちいくつかはここには書けないような恥ずかしい妄想もあったりします。飛行機のなかで「ロッキー」の第一作を見たのがいけないな。異様にテンション高くなって(笑)。当初天気予報では雨も予想されていましたが、当日は曇り。バスに乗っている最中ローアーマンハッタンあたりではぽつりぽつりきてましたが、7時45分頃スタッテン島のスタートエリアに到着した際には雨は止んでいました。セキュリティゲートを通過して待機エリアへ。自分はセカンドウェーブだからスタートは10時15分。スタートまで2時間半ほどあります。2年前と同じくダンキンドーナツのフリース製キャップをゲット。天気予報では最低気温も11度ほどと高めで、前回の一桁台の気温が嘘のよう。まあ、それでもじっとしていると寒いので、エンジンをかけっぱなしにしている衛星放送機材を積んだ中継車のボンネットの前を陣取り、暖をとってスタートを待ちます。ほかのランナーも自分と同じく芝生に寝そべったり、本当に爆睡してるランナーもチラホラ。日本の一部の大会のようにウォーミングアップしているランナーはほとんどいません。

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天気予報によると暖かそうだったので、アシックス フジトレイルの半袖ジップアップシャツとアームカバーの組み合わせをセレクト。

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朝食は愛知県半田市名物の生せんべいとホテルそばの「ZAIYA」で買った鮭のおにぎり。レース当日は食べ慣れた食事が一番です!

そんなこんなしてるうちにスタートのためのコラル(区分け)に入場の時間が。ここで自分は大きなミスをします。第2ウェーブのブルー、Aというコラルに行くべきなのを、第2ウェーブのグリーン、Aというコラルに入ってしまったのです。このコラルはスタートのヴェラザノ・ナローズブリッジの下段を出発し、橋を渡った後に住宅街ではなく、ハイウェイを走るコース。ブロックごとに居住する移民が変化し、流れる音楽も変わる4番街を通ることがないのです。よくよく考えたら前回と同じコースを走るよりもジャーナリストの立場としては正解かもしれませんが。ちなみにブルー以外にオレンジのランナーも4番街を走ることが可能です。

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スタート前にダンキンドーナツでもらったフリースキャップをかぶって。

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今回のシューズはアシックスのゲルカヤノ22。前回はGT-2000ニューヨークで走りましたが、このレースのコースは日本よりも明らかに固いため、今回はよりクッション性に優れたこのモデルをセレクト。タイツはサポートタイプよりも段階着圧タイプが好きなので、SKINSのA200をピックアップ。このミックスグレーというカラーは本当に美色だと思います。

10時15分、大音量で流れるフランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」のもとスタート。しばらくすると2年前と違ってかなり暑いことに気づき、アームウォーマーと手袋をしまいます。そして半そでのジップアップシャツの下にインナーシャツを着ていることをすぐに後悔しました。とにかく暑い!自分は周囲の誰よりも暑がり。あるサイトによると、結果的にこの日の気温は最高華氏63度(摂氏17.2度)まで上がり、 最低気温も華氏53.2度(摂氏11.8度)あったらしいですが、体感温度はもっと高く、日が射す場面では実際は20度前後あったかと。というわけで自己記録の3時間56分09秒の更新は諦め、ファンランでいくことに。沿道の観衆とのハイタッチを楽しみながらハーフ地点まではKm/6分ペースを刻み、脚力の余力もあることから二年前に苦しんだクイーンズボロブリッジもそれほど苦労せずに走破。多くの応援が待つマンハッタンの1番街へ。ここでの歓声はニューヨークシティマラソンの大きな醍醐味。二年前に自分はここで泣きました。今年は二回目ということもあって涙は出ませんでしたが、応援のいないクイーンズボロブリッジとのギャップがランナーのハートを刺激するんだと思います。

ニューヨークシティマラソンのコースですが、アップダウンが多くて実は記録が出にくい。1番街も途中で長い距離をダラダラ上るので、結構タフ。そんなときにハイタッチで元気をもらうと本当に生き返ります。世界中からやってきた見ず知らずのランナーを精一杯応援してくれるのは本当にありがたい。このマラソンを走っている間は誰もがロックスターのように「ワーワー!キャアキャア!」応援される。エチオピア、ルーマニア、イスラエル、イタリアといった国旗を振る応援者とハイタッチする経験などなかなかありません。最終的にゴールするまでに300人以上とハイタッチすることに。ハイタッチともうひとつ元気をもらえるのが日の丸の存在。視界に日の丸が振られていると、早くそこにたどりつきたいという意識が湧いてきて足取りが軽くなる。あとブロンクスの和太鼓隊には2年前と同様に今回もパワーを貰いました。やっぱり日本人なんで日の丸と和太鼓は体内のDNAを刺激するんですね。というわけで、ここで生まれる心理が「いつまでもゴールしたくない!」というもの。ゴールした瞬間に一人の旅行者に戻ってしまうのを2年前に経験しているから。というわけでその気持ちが湧いてからはハイタッチの回数も増え、走るペースもかなりゆっくりに。そうこうしていると21マイルすぎにロノ君たちが陣取っている応援エリアに到着。いつもの「いいね!」ポーズで写真を撮ってもらったりすると、なんか異様なエネルギーが湧いてきました。やっぱり知っている人の応援が一番ありがたいということを実感します。

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21マイル過ぎのエリアでロノ君が撮ってくれた写真。我ながらいい表情しているなぁ。

そうこうするうちに22マイルに到達。あと4マイルちょっとでゴール。ここで「まだゴールしたくない!」という気持ちと「4時間30分は切らないと立場上マズイでしょ!?」という気持ちが葛藤し、後者の気持ちが上回ったので、少しペースを上げてマンハッタンを南下します。セントラルパークに入るとアップダウンがあり、ランナーを苦しめますが、今年の自分は余力があるからかあまりきつくない。セントラルパークを抜けて59丁目に出ると、また凄い声援。ここでパワーをもらってKm/5分台前半にペースアップしてセントラルパークへと再び入る。しばらくして時計を見ると1分30分ほど余裕がある。「4時間30分以内はたぶん大丈夫だ!」そう思うと少しホッとするものの、テンションが最高潮に上がっているので、足の回転は速いまま。そしてゴール!手元のSUUNTOで4時間29分29秒(正式タイムは4時間29分22秒)でゴール。正直いうと「4時間30分切れた!」というよりも「あーあ終わっちゃった!」という気持ちで、もう一度クイーンズボロブリッジを渡り終えたあたりから走りたいくらい。メダルをかけてもらい、素晴らしいこの大会で数少ない不満点のゴール後に延々と歩かされて、荷物を預けていないランナーの特権であるポンチョをかけてもらい地下鉄の駅へ。なんだか現実に引き戻される感じがしましたが、地下鉄の駅でも「Congratulations!完走おめでとう!」と声を掛けてくれるニューヨークの人々も多数。だからこそ完走した夜も翌日もニューヨークシティマラソンを完走したランナーはメダルをかけてニューヨークの街を歩くんだろうなぁ。

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完走後のセントラルパークにて。完走メダルもやっぱりカッコイイ!

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翌日のニューヨークタイムスには5時間前半よりも速い人の名前が掲載されます。これはやっぱり嬉しい!

こうして2回目のニューヨークシティマラソンが終わりました。前回もそうでしたが、この大会は自己記録を更新できなかったりしてもあまり悔しくない。この檜舞台を走れることそれ自体が幸せだし、200万人を超えるという応援は本当に財産だと思います。2010年に東京マラソンを走り、その後も東京マラソンの現場を見たりしていますが、この大会ほどの高揚感は参加ランナーにも応援者にもない。やっぱり一日の長があるというか、ニューヨークの人たちのほうが応援する楽しみ方を知っている気がする。そんなわけで自分も今度の東京マラソンでは日本中、そして世界中からやってきた知らないランナーにも大声で精一杯の声援を送ろうかと思います。