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COLUMN

3月10日、立川で日本学生ハーフが開催される。

2019.03.04
Shun Sato

昨年の日本学生ハーフマラソンの模様

毎年3月に開催される「日本学生ハーフマラソン選手権大会」は、今年は7月にナポリで開催されるユニバーシアード、ハーフマラソン派遣の選考会も兼ねているのもあるが、学生長距離ランナーにとって非常に重要なレースになっている。

まず、ハーフという距離が箱根駅伝とほぼ同距離で、このタイムが箱根の走るためのひとつに基準になるということだ。また、箱根駅伝の予選会は学生ハーフと同じ場所で開催され、昨年からハーフマラソンになったので予選会を走る各大学は試走を兼ねる意味もある。コースは、高低差15mと比較的平坦だが最後の坂が意外とキツく、走力が試されるコースになっている。この大会の上位で走れるということは、箱根の距離をしっかりと走れる力があるということの証明になる。

さらに、このレースには毎年1000名(昨年は973名)近い学生ランナーが出場している。ハーフのレースはいろいろあるが、この規模で学生同士がガチンコ勝負できるレースはこの学生ハーフしかない。学生のトップランナーと競うことで自分の現状の力と同時に1年間、そして箱根駅伝から2か月間のロードシーズンにどれだけ成長できたのかを確認する場でもあるのだ。

監督目線で言えば、このレースで結果を残せば、箱根での計算が立つことになる。ここでのレース結果が箱根駅伝に通じているのだ。例えば、今年、箱根駅伝で初優勝を果たした東海大学を例にとって見てみよう。

2018年学生ハーフ成績
3) 西田壮志   1時間03分36秒 自己ベスト
9) 小松陽平   1時間04分05秒
56) 郡司陽大  1時間05分20秒
85) 東優汰   1時間05分50秒 自己ベスト
103) 中島怜利 1時間06分04秒
127) 河野遥伎 1時間06分23秒
158) 加藤拓実 1時間06分47秒
159) 上村亮太 1時間06分52秒 自己ベスト
213) 鈴木雄太 1時間07分34秒

2018年学生ハーフでの東海大の学内上位9名である。
館澤亨次、鬼塚翔太、關颯人、阪口竜平らエースクラスの選手はアメリカ合宿のために参戦していない。

この上位9名の内、箱根駅伝のエントリーメンバーの16名に入ったのは、8名。そして、実際に箱根駅伝を走ったのは、5区西田、6区中島、8区小松、10区郡司の4名で、いずれの選手も好結果を出している。西田は山上りで区間新の2位、中島は山下りの区間2位、小松は20年ぶりの8区区間新(1時間03分49秒)を叩き出して東洋大を逆転し、大会MVPにも輝いた。

「そのシーズン最後のレースであり、ロードの締めとなるレースになります。ここで力を発揮して、上位に入った選手が箱根を走れるひとつの目安になってきています。そういう意味でも非常に重要なレースになっています」
東海大の両角速監督は、そう語る。

東海大以外では箱根駅伝5位に入賞し、シード権を確保した帝京大は昨年の学生ハーフでトップ50内に6人が入った。そのうち島貫温太(6区)、小野寺悠(5区)、星岳(10区区間賞)、横井裕仁(4区)の4名が箱根を走っている。ちなみにここ2年の優勝者は、2017年が鈴木健吾(神奈川大)、2018年が梶谷瑠哉(青山学院大)で、ともに箱根を走っている。

今回のレースには、東海大では小松を始め、箱根を走った選手たち、さらに1,2年で箱根を狙う選手ら38名が参戦を決定している。学生ハーフで走れる姿を見せ、アピールしたいところだ。青学大も新主将の鈴木塁人、箱根8区で好走した飯田貴之を始めとして主力と中間層の選手、東洋大も相澤晃主将らがエントリーしている。箱根予選会を走る早稲田大学、明治大学なども主力選手が出場予定だ。

有力な選手はトップ3に入ってユニバーシアード出場の権利を獲得するのと同時に、各大学はどれだけ多くの選手を上位に送り込み、結果を出せるか。このレースの結果で今年の箱根駅伝を走る選手、活躍する大学が見えてくる。シーズンの終わりであり、そして来年の箱根を意識した学生ハーフは質の高い学生ランナーたちが非常に高いレベルで競う姿が見られるはずだ。

 

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Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
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