スタイリッシュに速く走りたい、すべてのランナーへ
COLUMN

第95回箱根駅伝予想。最大の注目は青学大が5連覇を達成するか、どうか。

2018.12.29
Shun Sato

最終調整に入る東海大のメンバー

第95回箱根駅伝、最大の注目は青学大が5連覇を達成するか、どうか。
最強の優勝候補を打ち破る大学が出てくるのか、どうか。
いずれにせよ、すべては青学大を中心に回っている。今シーズンに関しては、青学無双状態である。

青学大は、3大駅伝の内、すでに出雲駅伝を制し、全日本大学駅伝は7区まで東海大にリードを許していたもののエースの森田歩希(4年)が湊谷春紀(4年)を逆転し、2冠を達成した。チームは完全に勢いに乗っており、3冠達成への自信も士気も高い。それを裏付けるように選手は着実に力をつけ、その強さはデータからも見て取れる。

箱根駅伝エントリー16名中、1万mで28分台のタイムを持つ選手が9人、ハーフマラソンは62分台が2人、63分台が9人もいる。これは東海大と並び、ランナーが非常に高いレベルにあることを証明している。区間配置で言えば、2区は森田、5区は竹石尚人(3年)、6区は小野田勇次(4年)と主要区間に実力者、経験者が顔をそろえている。また、7区には昨年区間賞を獲得した林奎介(4年)もいる。さらに森田とともに3枚看板の鈴木塁人(3年)、橋詰大彗(4年)も往路の主要区間で走る予定だ。つまり、ほとんど穴がない。

タイムという実績と豊富なレース経験、それに5冠達成するという意欲と4連覇をしてきたチームのプライド。ピーキングも青トレ主宰の一人で中野ジェームス修一のスポーツモチベーションのスタッフが入って、調整している。そして、最後の仕上げは原監督の目利きだ。前日までの状態を見て、「これは」と思う選手を入れ替えてくる。原監督の勘ピューターがハマった区間配置ができれば、80%以上の確率で優勝するだろう。不安要素と言えば、原監督がいうように風邪や病気、怪我など、外的な要因で選手の体調に影響が出た場合のみだ。その可能性も極めて少なく、今のところ箱根駅伝5連覇は青学大の手中にある。

青学大を追うのが東洋大だ。
昨年の箱根駅伝では、1区の西川和弥がトップに立つとその後は一度も首位を譲ることなく、往路優勝を果たした。復路は6区で抜かれ、そのまま2位になったが、今年も往路死守が東洋大優勝のポイントになる。タイムは、箱根駅伝エントリー16名中、1万mで28分台のタイムを持つ選手は4人しかいないが、タイムに関係なく走れるのが東洋大の強みでもある。ただ、山本修二(4年)、相澤晃(3年)らが好調を維持しているのに対し、西山和弥(2年)、吉川洋次(2年)がもうひとつ調子が上がってきていないのが心配な要素だ。

また、山登りは昨年、5区を走った田中龍誠(2年)がいるが、6区は同じく昨年走った今西駿介(3年)がいくのか、他の選手を出すのか。往路は昨年同様、十分に戦える戦力があるが、問題は復路だ。昨年も36秒のタイム差を6区でアッという間に逆転された。東洋大が優勝するには、往路で青学大に先行し、なおかつ1分30分以上のタイム差を開いておく。先行逃げ切りでいくしかない。

3強のうち、最後は東海大だ。
昨年優勝した出雲駅伝は今年3位、全日本大学駅伝は7区で青学大に逆転され、悔しい経験をした。だが、その時期は主力に故障者が多く、両角速監督が描くメンバーをそろえることができなかった。幸い、故障していた鬼塚翔太(3年)、關颯人(3年)、阪口竜平(3年)は完全復帰し、コンディションを上げてきている。また、湯澤瞬(4年)と館澤亨次(3年)は駅伝シーズンに入ってから安定した走りを見せている。

タイムは、1万mで28分台のタイムを持つ選手が16名中6名。ハーフマラソンで62分台のタイムを持つ選手が6名、63分台は9人いる。ハーフでの全体のタイムは青学大よりもいいので、速さが武器の東海大だが長距離でも互角に戦えるということが証明されている。もっともタイム通りにいかないのが箱根なのだが、それでもタイムで優位性を持つのは悪くない。

東海大の不安要素はピーキングだ。一昨年も昨年も、そこで失敗した。昨年はチーム内競争が激しく、箱根駅伝直前まで全力で10個の椅子を競ったので本番当日、疲労でいい走りができなかった。今年は同じ轍を踏まないようにコンディション作りに細心の注意を払い、「やり過ぎない」ことを徹底してきた。山の5区には西田仁志(2年)が入り、6区には昨年区間2位の中島怜利(3年)がいる。8区には館澤がおり、10区には湯澤が控えている。復路は完璧だが、問題は往路だ。鬼門の4区でいい走りを見せ、5区の西田に1分30秒以内で繋げば、東海大に勝機が見えてくるだろう。

 

【あわせて読みたい】
第50回全日本大学駅伝予想。
2018年出雲駅伝予想。
大学陸上部の夏合宿。
日本陸上競技選手権で大会2連覇を達成した東海大学の館澤亨次選手。
神野大地と下田裕太

 

佐藤俊氏の箱根駅伝ノンフィクションが書籍になりました。

「箱根0区を駆ける者たち」
佐藤俊/著
12月19日発売 幻冬舎
箱根駅伝を走る選手たち、そこに届かなかった4年生の思い、チーム内に起こった主力選手の確執、さらに箱根駅伝を戦うシステムを描いています。
きれいごとばかりでは戦えない選手間の人間関係を始め箱根の裏の姿も見えてきます。
amazon

 

Shun Sato
佐藤 俊
北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て93年にフリーランスに転向。現在はサッカーを中心に陸上(駅伝)、卓球など様々なスポーツや伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著者に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「駅伝王者青学 光と影」(主婦と生活社)など多数。
RECOMMEND
CATEGORIES